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ロボットが嫌われる「不気味の谷」現象

2016.01.06  | 
WRITER:
石井妙子
 

テレビでおなじみ「マツコロイド」。本人そっくりのこのロボット、あなたは不気味に感じますか?

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個人的には最初こそちょっと気味悪いなと感じたものの、番組でマツコデラックス本人と会話したり、バラエティー番組で本人同様キレッキレのコメントをしているのを見ると、だんだん違和感がなくなってきました。これは慣れなのかな?

「あと一歩で人間」のロボットはブキミ?

たとえばPepperくんやドラえもんは、いかにもロボット然とした佇まいで、人間とは別物だと直感的に感じられますね。ペットのようで可愛らしいと思う人も多いのではないでしょうか。

一方、人間そっくりのマツコロイドを始め、生物を再現したロボットに人が接すると、ある一定レベルまでは好意を持って接することができるのに、“ほぼ忠実”というレベルまで精巧に再現されると、嫌悪感を感じ始める法則があるそう。

これが、ロボット工学の第一人者だった東京工業大学教授(当時)の森政弘氏が1970年に提唱した「不気味の谷現象」です。

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ロボットに対して肯定的な感情が減少していくポイント(「人間に近い」と感じる点)が、「不気味の谷」(上のグラフの赤い部分)へ落ちていく始まり部分だと森氏は唱えています。その後、ロボットの外観が人間と見分けがつかなくなるレベルまでいくと、ロボットに対する共感は再び高まるというから不思議です。

実験で証明された「不気味の谷」

長く仮説とされてきたこの現象ですが、このほどカリフォルニア大学サンフランシスコ校の心理学者によって、「不気味の谷は真実である」という研究結果が発表されました。

今回の研究目的は、「不気味の谷」現象が本当にあるか明らかにし、近い将来、人間がより共感できるロボットを設計すること。そこでメカニカル・アームから人間そっくりのアンドロイドまで80体のロボットの顔写真を撮影し、それぞれのロボットの外見がどの程度機械的か人間的か、毎日それぞれのロボットと交流するのがどの程度楽しそうかなどを被験者に評価してもらいました。

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その結果、ロボットの外観が「機械的なもの」から「人間らしいもの」へと移行するにつれ、親しみやすさは向上するものの、その後いったん落ち込み、再び上昇することが分かったそうです。まさに「不気味の谷現象」ですね。

他にもこんな実験が行われました。まず被験者たちに100ドルが与えられ、それを「投資」対象となるロボットと分け合います。そして投資が行われた後、ロボット側が被験者にいくら返金するかを決めるというもの。この実験でも、被験者がロボットに進んで投資する金額は、同様に「不気味の谷」のパターンに沿っていたのです。

研究論文の共同執筆者であるマヤ・マートゥル氏は「ロボットに関する話題は現在、技術的なものから、社会的なものへと移行しています。ロボットは常に、非常に不気味なものから共感できるものまでの境界線上をさまよっています。こうした状況こそ、わたしたちが理解する必要があるものなのです」と話しています。

「不気味の谷」に落ちないために

この「不気味の谷」が実証されたということは、ロボットのデザイナーやCGクリエイターにとって「越えてはいけない一線」が存在することを意味します。ゲームやアニメのキャラクターを考える際も、「不気味の谷」に落ちることを避けるためあえて忠実度を下げたり、一部をデフォルメした表現にしたりするのだそう。例えば「初音ミク」は、開発時にあえて合成音声の忠実度を下げたと言われています。

下手に「似てるけどもう一歩な感じ」のものを作れば、「不気味の谷」に落ちてしまう。リアルを目指すなら、見た目も動きも非常に精巧な表現が求められるのです。

 

ソース・画像:WIRED

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