RN 008971

「不気味の谷」は長所? ロシアの人型ロボットアレックスがアナウンサーに挑戦

2019.06.11  | 
WRITER:
irbis
 

2019年4月16日、ロシアのテレビ「ロシア24のニュースに、突然見慣れない男性が登場し、ニュースを伝えはじめました。

 

あれ? この人どことなく変……? (「ロシア24」YouTube公式サイトより)

どことなく変な感じのするこの男性。最近、YouTubeでも3DCGのバーチャル・ユーチューバー(V Tuber)をよく見かけますが、この人も3DCGのバーチャル・アナウンサーなのでしょうか?

 

アナウンサーに挑戦したアンドロイド・アレックス

 

実はこのアナウンサー、3DCGではなく、実際にモノとして存在する人型ロボットです。「ロシア24」では、初のロボット・アナウンサーとなります。

この人型ロボットは、ペルミのスタートアップ企業プロモボット」社の制作した人型ロボットで、名前はアレックス。35カ所の可動部分を駆使して、20の感情を表現しながら人と対話するコミュニケーション・ロボットです。

 

「プロモボット」社は、これまでも頭部のディスプレイ上にドット絵のような顔を描いて表情を表すプロモーション用ロボットを製造販売していますが、アレックスのような、見た目も人そっくりなコミュニケーション・ロボットは初めてです。

promobot

従来の「プロモボット」社製品は頭部のスクリーンにドット絵で顔を表現するタイプ(「プロモボット」社公式サイトより)

しかし、インターネットでは、「プロモボット初の人型ロボット」「ロシア24初のロボットアナウンサー」というより、「何だか不気味」という点で話題になっています。

 

アレックスはなぜ不気味なのか

アレックスの「型」は、「プロモボット」社の創立者アレクセイ・ユジャコフ氏の顔型を11回も取って、皮膚のきめ・でこぼこまでも精密にコピーしたものです。外見上は、ユジャコフ氏そっくりにできているはずです。にもかかわらず、不気味だと思われてしまうのはどうしたわけでしょう?

アレクセイ・ユジャコフ氏

アレックスの「原型」アレクセイ・ユジャコフ氏(「プロモボット」社公式サイトより)

その理由は、大まかに言って二つあると考えられています。

 

第1に、アレックスは首を振って動きを付けていますが、身体が全く動かないからでしょう。

 

アンドロイドとは言っても、アレックスの本体は頭だけ。首から下はただのマネキンです。人間なら、肩や手足を全く動かさないで話すことはまずできないので、見ている側に「何か変だ」と勘づかれてしまうわけです。

 

第2に、表面上は人間そっくりに成形したとしても、シリコン製皮膚は、人間の皮膚より厚ぼったいからでしょう。

 

そのため、皮膚の下の機構で人間の筋肉の動きを再現できたとしても、それにつられて動く皮膚の量や範囲が異なってしまいます。小さな違いですが、人間の感覚はちゃんと違和感を感じ、人間ではないと見破ってしまうのです。人間そっくりなのに、違う何かだと気付くから、薄気味悪く感じるというわけです。

 

「不気味さ」は実社会でも求められている?

人手不足の警備業界にバーチャル警備員を(日経新聞YouTube公式サイトより)

プロモボットの創立者の一人、オレーク・キヴォクルツェフ氏は、タス通信のインタビューの中で、銀行・保険・役所など、人と相対する業務には、アレックスのような男性型アンドロイドの方が好ましいと思う消費者も多いはず、と述べています。

 

窓口業務に男性の方が向いているという感覚は、日本とは少し違うかもしれません。しかし、確かに座りっぱなし、立ちっぱなしの仕事は生身の人間にはつらいものです。そういった仕事は、首から下の姿勢は常に正したままのマネキンに任せた方が合理的なのかもしれません。

 

ちょうど日本でも、不動の姿勢で立ちつづける仕事・警備員に3DCGのバーチャル警備員が開発されているというニュースがありました。やはり、同じ姿勢を長時間保たなければならないとなると、人にとってはきつい仕事になるので、やりたがる人が少ないのでしょう。

 

また、タフな対応が必要な場面が必要な職種もあります。警備員以外にも、出入国管理の審査をする人など、時には厳しく臨まなくてはならない仕事もあります。犯罪を企んでいる人に対しては、威圧感を与える不気味さが抑止力として働くかもしれません。アレックスのアナウンサーとしては欠点だった箇所も、メリットになる職場がありそうです。

 

アレックスの今後の就職活動が実りあるものになることを祈ってやみません。

 

 

ソース・画像:タス通信Promobot社、日本経済新聞YouTube公式サイト

thank you

この記事に関連するタグ

広告主募集
Sabeevo
上に戻る