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北極海を制覇せよ! 氷の海に挑む海中ロボットたち

2019.01.04  | 
WRITER:
irbis
 

毎日寒い日が続いているとつい忘れてしまいますが、2018年の夏は非常に暑かったですよね。

 

あの頃は、「これも地球温暖化の影響か?」と心底危機感を感じたものです。

 

地球温暖化のマイナスの影響があれこれ取り沙汰されている中、これを活躍の好機と見て、着々と準備を進めている者たちがいます。それが海中ロボットAUV=自律型無人潜水機)です。

北極海の氷が溶ける

北極海」とは、だいたいユーラシア大陸と北アメリカ大陸の間の海を指します。日本に近い海域で言うと、ベーリング海峡より北の海です。少し前の常識では、北極海は一年中氷に覆われている海でした。何年も溶けない氷が、まるで陸地のように北極点を覆っていました。

 

しかし、地球温暖化の影響で、一年中溶けない氷の量は21世紀に入って急激に減り続け、今世紀半ばまでに、それは消失すると予想されています。つまり、近い将来、夏には北極を覆う氷が全部溶け、広々とした海面が開けるだろうというのです。

減少する北極海の海氷・1988年9月10日と2018年9月10日の比較

減少する北極海・夏の海氷・1988年9月10日と2018年9月10日の比較 気象庁北極域と南極域の海氷分布図」より

 

海中で活動できる時間に制限のある海中ロボットにとって、広くて固い海氷は大きな障害でした。氷の下を通り抜けられるほどバッテリーがもたなかったからです。氷が少なくなれば、途中で回収してバッテリーをチャージすることもできます。

 

こうした氷の障壁が緩くなる時を待ち構えるかのように、氷の下で活動する海中ロボットが続々と登場しています。

雪中を「泳ぐ」ロボット

最近、海の中も氷の上も構わず進める注目すべき海中ロボットを、Pliant Energy Systems社が発表しました。エイのように水をかくヒレで、氷の上や雪の上でも前進できるロボットです。

雪の中を泳ぐような、ヘビの這うような、おもしろい進み方

海中で探査したのちに、氷の上に上って電波を発信できれば、すぐに回収してもらえそうです。

 

この独特の前進方法を見てふと思い出した船があります。観光砕氷船「ガリンコ号」です。

ガリンコ号

初代ガリンコ号(Wikipedia より)

「ガリンコ号」は二つのドリル(アルキメディアン・スクリュー)で氷に乗り上げながら進みます。この独特の推進方法は、もともとはオホーツク海のような流氷の海で、物資を輸送するために開発されたものです。

 

アルキメディアン・スクリューを使えば、Pliant Energy Systems社のロボット同様、水陸両用の海中ロボットができるのでは? と想像してしまいました。しかも、アルキメディアン・スクリューを船体より前に出るようにすれば、ドリルとして使えて、自力で海氷を割って氷の上に登れそうではありませんか! 「ガリンコ号」で培った技術を生かして、日本でも是非、夢の海中・氷上両用ロボットを作ってもらいたいものです。

航続距離1万キロ? ロシアの海中ロボット「サルマ」

一方ロシアでも、北極海で活動する水中ロボットが開発されています。ニジェゴロドの建設ビューロー「ラズリト」社が、「サルマ」という海中ロボットの建設を始めました。

 

(参考:リアノーボスチ2018年10月24日付「ロシアで超長航続可能なAUVサルマの建造が始まる」)

 

サルマは、無補給無充電で1万キロメートルを航行することを目指しています。

海中にはロシア版GPSのグロナス(GLONASS)の信号は届きません。そこで、北極海に固定式のブイを設置して音を電波の代わりに用いて位置情報を与え、サルマを自動航行させることも考えられているようです。いかにも北極海を自国の裏庭のように考えているロシアらしい発想ですね。

 

サルマのような超長距離を航行できるAUVがあれば、海底の探査も季節を問わずできるようになって、海底資源の開発も倍の早さで進むことでしょう。

冷凍保存された太古の生物を求めて

また、たまたまかもしれませんが、南極でも氷の下で活動できる水中ロボットDeep SCINI ROVが話題となっています。南極の氷の下にあるマーサー湖の探査をロボットでしようというプロジェクトです。

 

参考:ネイチャー誌12月12日付記事

 

マーサー湖を覆っている氷の厚さには季節変動がありますが、1100メートル前後です。南極の氷の下に冷凍保存されていた古代の生物を探査するというシチュエーションについては、まるでホラー映画の伏線みたいでちょっと怖いですが、Deep SCINI ROVの探査そのものは、興味深いです。極寒の水の中でロボットが作業するときの問題点を洗い出す良い経験になりそうです。

日本にとっても重要な北極海

日本もJAMSTEC(海洋研究開発機構)やJAXA(宇宙航空研究開発機構)が北極海の調査・観測を行っています。日本にとって北極海が重要な理由は三つあります。

 

一つは、北極海航路
北極海航路は、ヨーロッパと北東アジアを結ぶ最短ルートです。スエズ運河を経由する南回り航路の60パーセント程度の長さです。シベリア鉄道より大量に物資を運べる北極海ルートが安定して使えれば、ロシア極東地方ばかりでなく、日本にもメリットがありそうです。

 

もう一つは海底資源の探査
北極海の海底資源は有望だとされています。各国が資源の探査に力を入れています。そこで、日本の海中ロボットが活躍できないものでしょうか。日本はやはり、技術力で世界に進出し、稼いでいってもらいたいものです。

 

最後に、北極海の気候変動が日本の気象与える影響です。これが一番身近に影響しそうですね。
海と気象は密接に関わっているのですから、海の中を詳しく調査・観測する日本の海中ロボットで、もっと北極海の姿を明らかにしていってほしいものです。
参考・画像:気象庁Pliant Energy Systems

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