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バッテリーもエンジンもなしでオールを漕ぐ! 魚ロボットが体内を泳ぐ日が来る?!

2018.05.25  | 
WRITER:
irbis
 

ロボットを動かすためには、エネルギーが必要です。
そのために例えば、バッテリーを積むわけですが、容量の大きなバッテリーは重いしかさばりますよね。ガソリンと内燃エンジンを積んでも良いですし、原子力でも太陽電池でも良いでしょうけれど、重さとスペースの問題があることには変わりありません。これは、ロボットを小型化しようとするときの大きな制約になります。

 

バッテリーの重量を減らそうとするとロボットの活動時間が短くなり、長時間活動できるようにしようとするとバッテリーが重くなるのはなんとも悩ましい問題です。ケーブルで外部から電力などを供給すればロボットは小型化できるでしょうけれど、今度はロボットの行動範囲がケーブルの長さによって縛られてしまいます。

 

このロボットの小型化を巡るジレンマに対して、スイス・チューリヒ工科大学とアメリカ・カリフォルニア工科大学の研究者がある秘策を発表しました。

バッテリーもエンジンもない! 温度差がオールを漕ぐ

チューリヒ工科大学とカリフォルニア工科大学の共同研究チームのキアラ・ダライオ(Chiara Daraio)氏の発表したロボットがこちら。

 

カリフォルニア工科大学YouTubeページより

この水中ロボットには、バッテリーもモーターもありません。ロボットを動かしているのは、温度によって形を変える板状のポリマーです。温水に浸かると形を変え、双安定素子を押してオールを動かし、ロボットを前進させます。

動画にもあるように、ポリマーが曲がるタイミングは、板の厚みで調節できるので、ロボットの動きをプログラムすることが可能なのだそうです。

厚みを変えれば任意のタイミングで動かせる

厚みを変えれば任意のタイミングで動かせる(YouTubeより

 

今回発表されたプロトタイプは、温度差に反応するものですが、そのほかの外部環境、例えば、pHレーザー光に反応する素材を使えば、ロボットの動作を細かくプログラムすることもできるとのことです。

光の届かない深海や人間の体の中でも動かせる

自律的に動くロボットであればこそ、他のものからの助けを借りないで黙々と動き続ける仕事をしてもらいたいと思いませんか? 数カ月、数年のスパンで連続運用したい人工衛星や無人偵察機、潜水艦などは太陽電池や原子力を使っていますが、それぞれに問題がありますよね。例えば、深海探査にロボットは必須ですが、深海に太陽光線は届きませんし、原子力は、例えばリチウムイオンバッテリーのように気軽に使えるものではありません。
一方、海表面と深海では大きな水温差があり、温度差をエネルギーに変えるしくみが使えるなら、ロボットが動き続ける無限の力になりそうではありませんか。

更に期待できそうなのは体内です。ロボット自身の中にバッテリーもモーターも組み込む必要がないのですから、大幅な小型化ができます。

 

動画にも、運んだ物を決められた場所でポトンと落とすシーンがあります。カプセルサイズのマイクロロボットが作成可能なら、病巣にピンポイントで薬を投下することもできそうです。口から飲む薬や注射では、全身に薬が回って薬の効果を与えたくない箇所にまで作用が及び、望ましくない副作用になってしまうことがあります。効き目は高いが副作用も激しいという薬も、こうした超小型デリバリロボットを使えば少量でピンポイントに使えるようになるかもしれません。

運んで来た荷物(ボタン状の物)を落とす

運んで来た荷物(ボタン状の物)を落とす(YouTubeより

オールで前進、後退する様子は、むなびれを使って前後に動く魚のようですね。超小型になったロボットが血管の中を魚のように自由に泳ぐことができれば、体のどこにでも薬を持って行けそうです。

ロボットがまた生命体に近づいた?

ここからは想像ですが、「外部環境からエネルギーを得て動く」機械と聞いて、分子マシン(分子機械)が思い浮かびました。分子マシンは文字通り分子ですから、小さいものは電子顕微鏡でも見えないほど小さいのですが、温度や光など外部の条件によってモーターのように回ったり、規則的に曲がったりと、このロボットと同じような動きをします。
別の見方をすれば、生き物が「生きている」仕組みそのものが、外からの温度や光、あるいは神経を伝わってくる電気信号などによって動く分子マシンなのだと言うこともできます。

 

天然の分子マシン・生命が自然にできあがるまでには、5億年程度の長い時間が必要でした。しかし、今の人間には既にお手本があります。このお手本を良く研究して、今回紹介したような仕組みで動かすロボットを開発していけば、今地球上にいる生命体と同じか、もっと高機能で無駄のないロボットを短期間で作り出すことができるようになるのかもしれませんね。
ソース・画像:カリフォルニア工科大学チューリヒ工科大学

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