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こんなロボットと暮らしたい! 人間味あふれるロボットとの絆を描いたハートウォーミングな物語『ロボット・イン・ザ・ガーデン』

2018.03.06  | 
WRITER:
工樂真澄
 

いつかロボットを購入するとしたら、みなさんは次のどちらを選びますか?見た目もスマート、最新式の人工知能を備えた従順なアンドロイド? それとも、金属むき出しの四角い胴体に四角い頭、洗濯機のジャバラのホースのような手足がついた雑な作りで、子どものように無邪気だけど、時にはすねたり怒ったり、不器用でなにかと手がかかるロボット……

そりゃ、最新型アンドロイドに決まってるでしょ!

機械なんだから性能重視だよ!

普通の人ならそう思いますよね。ところが、そんなポンコツロボット(失礼!)と暮らすことになったら……今回ご紹介するのは、ロボットとの心温まる絆を描いた話題作『ロボット・イン・ザ・ガーデン』です。

 

物語の舞台は、そう遠くない未来。ヒトとロボットとの共生が進み、いたるところでアンドロイドが活躍する世界です。主人公のベンは獣医の卵。気弱な性格で変わることを好まず、両親を事故で亡くした後も漫然と日々を過ごしています。一方、妻のエミリーは法廷弁護士という肩書きを持つキャリアウーマン。ベンとエミリーが暮らす自宅の庭に、ひょっこり旧型ロボットが現れたところから物語は始まります。

ロボットの名前は「タング」。最新式アンドロイドがあふれる時代には、そんなアンティークなロボットに興味を示す人は誰もいません。しかし、「タング」にいつしか共感を抱き始めるベン。そんな頼りないベンを苦々しく思うエミリーは、ある日とうとう離婚を切り出し、家を後にします。広い家にタングと残されたベン。何事にも真剣に向き合えなかった彼ですが、タングの製作者を探しながら世界中を旅するうちに、自分の人生にも折り合いをつけ、少しずつ成長していくのでした……

「抱きしめたいほど切なくかわいい友情物語!」

 

2016年ベルリン国際映画祭で「映画化したい一冊」に選ばれた、抱きしめたいほどかわいくて切ない友情物語!……とにかくタングがかわいい!」と世界中の読者を虜にしている、抱きしめたいほど切ない物語。 」(Amazon 商品説明より)

 

この「タング」、ロボットのくせに強情で物わかりが悪く、納得させるのも一苦労。なにをするにも、ベンのほうがロボットに気をつかわなければなりません。でもそのしぐさがカワイイのです。タングの胸にある「開き窓」は壊れてきちんと閉まらず、不憫に思ったベンがガムテープを貼って応急措置してあります。タングはすねたりいじけたりする度に、そのみすぼらしいガムテープをマジックハンドのような手でいじるのですが、そのしぐさが幼い子どもみたいでなんとも愛らしい! 見た目はオンボロなタングですが、実はある高性能な人工知能が組み込まれており、ベンの優しさに触れるうちに”人らしく“成長していくのでした。

行き過ぎたアンドロイド開発の果てに

タングのちょっとした楽しみは「ディーゼル」。夜中のガソリンスタンドで、ディーゼルをくすねて酔っぱらうなんてロボットとは思えない行動も、タングだと憎めません。旅の途中で、タングとベンは東京にも来ています。なんでも原作者のインストールさんは日本が大好きなんだとか。作中では、ベンとタングが女子高生から写真攻めに合うシーンも描かれています。さて、とうとう製作者を見つけ出し、タングが生まれたいきさつを知ったベンでしたが、その裏には、行き過ぎたアンドロイド開発の果てに起きた悲劇がありました……

 

『ロボット・イン・ザ・ガーデン』は、単なる未来のロボットを描いたお話ではありません。完ぺきとは程遠いロボット「タング」だからこそ、人々は他人にはさらせない弱みを見せたり、正直な気持ちを吐露したりできるのです。人の心に寄り添える不思議な魅力を持つロボット「タング」の物語は、やたらと高機能、高性能なロボットを求めがちな人間たちに忘れていたものを思い出させてくれます。昨年には、待望の続編『ロボット・イン・ザ・ハウス』も出版され、少し成長したタングとベン、そしてあらたなロボットも登場して、またまた大騒動が起こります。ロボットファンはもちろんのこと、ロボットは苦手という方にも、ぜひお勧めしたい一冊です。

 

ロボット・イン・ザ・ガーデンデボラ インストール (著),‎ ‎ 松原 葉子 (翻訳) 小学館文庫

 

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