RN 008645

四足歩行ロボットは役にたたない? アメリカはなぜボストン・ダイナミクスを日本に売った?

2018.02.26  | 
WRITER:
irbis
 

ボストン・ダイナミクス社といえば、四足歩行ロボット ビッグ・ドッグを開発した会社として有名です。ビッグ・ドッグの走って来る姿は非常にインパクトがありましたよね。

BigDog 人間が入っているような歩き方が話題になりました

しかし、音が大きく軍用には向かないとして、DARPA(アメリカ国防高等研究計画局)の資金援助は打ち切られてしまいました。(関連記事:『さようなら、やかましい四つ足ロボットLS3』)

 

ボストン・ダイナミクス社は2016年にビッグ・ドッグの他にも、四足歩行ロボットLS3Spot Mini、六脚ロボットRHexの研究・開発を終了しています。特に六脚ロボットRHexは、2014年に4機がアフガニスタンで実証実験を行っているのに打ちきりです。

 

RHex 小型の偵察用UGV(無人地上車両)

ボストン・ダイナミクス社は、2013年末にGoogle、その後2017年には日本企業のソフトバンクグループに買収されました

アメリカ国民の血税で開発された技術なのに国外流出!

ボストン・ダイナミクスの研究開発に資金を提供していたDARPAといえば、アメリカの国の機関です。日本の納税者より税金の使い道に厳しい目を光らせていそうなアメリカの納税者が、多額の税金を投入して開発したロボット技術を外国に売り渡すことを許すなんて、とても不思議でした。そんなに惜しげもなく捨ててしまえるほど、四足歩行、六足歩行の多脚ロボットは役立たずだったのでしょうか?

 

たとえば、RHexのように頑丈でメインテナンス・フリーの小型ロボットが、壊れたら捨てても良いと思える価格帯で手に入るのであれば、山岳地帯での遭難や建物の倒壊した災害の現場など、足場の悪い場所でのニーズはあると思うのですが……。

DARPAの研究は数十年先を見越している

ボストン・ダイナミクスに資金提供したDARPAはアメリカ国防総省の機関ですが、自分たちで研究をしているわけではありません。他の多くの研究機関に業務委託しています。先見の明のある天才たちがプログラム・マネジャーや室長を勤めており、彼らがこれは将来有望だと認めれば、即決で大きな予算を付けてくれるといわれています。しかも、プログラムが失敗に終わっても責任を問われることはありません。そもそも何十年も先のことを見越しての研究なので、そのときは失敗に見えても、何十年か経ってみると大成功だったとわかることもあります。

 

たとえば、ベトナム戦争の時に税金の無駄遣いと問題になり、「マクナマラ(当時の国防長官)の電子障壁」と揶揄されたセンサー技術も、今では建物の警備ばかりでなく、ロボットが自律的に動き回るために必要不可欠な技術となっています。

 

そんなDARPAですから、ロボット大国日本にその技術が渡るようにわざと仕組んだのではないかと、ついうがった見方をしてしまいます。なぜなら普通なら、国が税金を使って開発した軍事技術は、外国に流出させないように規制しそうに思えるからです。

デファクトスタンダードを狙ったDARPAの深遠な計画かも?

2016年 世界の産業用ロボット

2016年 世界の産業用ロボット出荷台数に各国が占める割合
(出所:国際ロボット連盟(IFR)How robots conquer industry worldwide IFR Press Conference, 27 September 2017 Frankfurtより作成)

日本の産業用ロボットの出荷台数は、最近著しく伸びている中国や韓国に抜かれています。とはいえ、日本が1980年代から産業の現場で積み重ねてきた経験の蓄積は、他に類を見ない貴重なデータだと言われています。これはシミュレーションでは決して得られません。シミュレーションは想定外のことはシミュレートできないからです。一方、現実の世界では、思いもかけないことが起こるのは、日常茶飯事です。

 

そんなハード面で経験豊かな日本でアメリカの先端技術に磨きがかかり、デファクトスタンダードになったら、それはグローバルスタンダードになったも同然ではないでしょうか。自分たちの方式がグローバルスタンダードになれば、そのことによって得られる利益は莫大です。最初はDARPAが資金援助して開発したものの、軍用としては使われず一般に使われるようになった技術はたくさんあります。それらは、医療用ロボットのダ・ヴィンチや自然言語を解析するソフトウェアSiriのように、その分野のデファクトスタンダードのようになっています。

Spot Mini 近い将来グローバルスタンダードになって世界中を走り回っているかも?

そうした世界戦略のために、アメリカ国民の税金で開発された技術が日本に渡ってもかまわないと考えた、もしくは進んで日本に売ったのではないかな? と考えてみたのですが、皆さんはどう思いますか?

 

ソース:ボストン・ダイナミクスIFR(国際ロボット連盟)

thank you

この記事に関連するタグ

広告主募集
Sabeevo
上に戻る