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タコの皮膚を模倣した表面形状変形シートが開発される

2017.11.29  | 
WRITER:
水谷圭佑
 

ニューヨークのコーネル大学と、マサチューセッツの海洋生物学研究所が、表面形状を立体的に変化させることが出来るシートを開発しました。このシートはタコがカモフラージュのために皮膚の質感や形を変える能力を参考としたもので、柔軟な表面素材をメッシュ状の繊維で制御しています。

最初の状態では平面ですが、内部に空気を送り込むとあらかじめ設定した形状に盛り上がる仕組みです。

頭足類の偽装能力

多くの人にとって、タコといえば赤、イカといえば白というイメージがあります。しかし、それはタコ焼きの具や刺身になってしまった後の姿であり、生きているタコやイカは、自分の体の色を自由自在に変化させることが出来ます。
カモフラージュや他の生物へのアピールのために体色を変化させられる動物は数多くいますが、その中でもタコやイカの仲間(頭足類)の色彩変化能力は他を圧倒するレベルにあります。変化にかかる時間は1秒未満。砂地やサンゴの複雑な模様はもちろん、金属光沢もOK。さらに、水面の波の反射をリアルタイムで再現できます。

色だけでなく形も変えられる

また、タコの仲間(マダコ科)は色に加え、表面の形状まで変化させられます。これは体の表面にある「乳頭突起」という突起を利用した能力で、皮膚の下にある筋肉を収縮させることで皮膚をたるませ、表面突起を膨らませるやり方ででっぱりを再現しています。
これと体色変化の能力を組み合わせれば、何もない砂地でも、ごつごつした岩肌でも、全く違和感なく溶け込んでしまえるというわけです。体全体が柔軟なので、まさに変幻自在でなんにでも化けることが可能な能力といえるでしょう。

タコを参考にした形状変化シート

今回開発されたシートは、タコが筋肉と柔軟な皮膚を利用して体表の形状を変化させる仕組みを参考にして作られました。
メインとなる素材は柔軟性の高いゴムを2層に重ねた物で、これが皮膚の代わりです。皮膚の表側にある「突起」となる部分には、頂点になる部分を囲むような形で、メッシュ素材が円形に埋めこまれています。
2層のゴムの間に空気を送り込むとシートは膨らみ、メッシュで囲まれた乳頭突起はタコが筋肉を縮ませたときと同じ原理で、突き出すような形で盛り上がります。このメッシュの幅、形状などを調整することで、空気を送り込んだ時に盛り上がる形状や大きさなどを決めることが可能です。

これからの課題

現在は製造時に設定した形状しか再現できず、タコのように自由自在に様々な形を再現する域には至っていません。タコの場合は表皮の下はほぼすべてが筋肉であり、そこに腕1本当たり500万本もの神経が走っているため、乳頭突起の形を自在に操作できます。
今回作られたシートでは繊維が数本、動かすための仕組みは空気圧だけなので、複雑性は圧倒的に劣っています。しかし、もっと多数の繊維を配置して、それぞれを独立して動かせるようになれば、再現できる形にも多様性が出て来るでしょう。

使い道はいろいろ

タコのカモフラージュ能力を元にしているので、このシートもそれと同様に、軍用のカモフラージュ技術として使うことが出来るでしょう。陣地やテントの表面を偽装する際に効果を発揮しそうです。

もちろん、それ以外にもいろいろな使い道が考えられます。

例えば、地形情報をリアルタイムに三次元で表現できるマップを作ったり、VRにおいて物の感触を再現したりするなど、3Dプリンターのようにデータから実物の立体像を作るような用途に使えそうです。表面の形を自由に変えられるというだけでも、いくらでも面白い使い道が思いつきそうな発明といえます。

 

ソース・画像:MACHIEEE Spectrum

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