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温度を測れるゴムのような半導体シートをヒューストン大学が開発

2017.10.06  | 
WRITER:
水谷圭佑
 

アメリカのヒューストン大学が、人間と同じように温感と冷感が感知できる人工皮膚を開発しました。開発を行ったのは、機械工学を専門とするChunjiang-Yu助教授と、ビル・D・クック助教授らのチームです。
この素材はゴムのように伸び縮みする半導体を使用しており、自由な形に延ばして物に貼りつけたり、覆ったりすることが可能です。同様のことを従来型の半導体で行おうとしても、システムが非常に複雑になって壊れやすいために使い物にならなかったのですが、この「人工皮膚」であれば、低コストに、耐久力の高い、新たなセンサーを搭載したロボットを開発できます。

便利なIC温度センサー

現代においてはセンサーで温度の変化を測るのは極めて一般的になっており、珍しくもありません。エアコンからスマートフォンまで、温度の計測が可能なメカはそこら中に転がっています。
こうした物に使われている温度センサーはいくつかあり、PCやスマートフォンなどの精密機器には「IC温度センサー」というものが使われています。これは集積回路の一種で、温度に比例した電圧や電流を生じさせる機能を持ちます。センサーから発せられる電圧や電流を読み取る変換器を接続すれば、センサーが測定した温度をデータとして読み取れるというわけです。
このIC温度センサーは小さな集積回路だけで一つのセンサーとしての機能がまとまっているため、小さな基盤にも組み込める上に、低コストで作ることが出来ます。

IC温度センサーの限界

便利なIC温度センサーですが、小さな集積回路であるために、面積が広い場所の温度を測るのには向いていません。例えばロボットのマニピュレーターの表面にIC温度センサーをたくさん取りつけて使おうとすれば、何個ものチップを表面にびっしりと配置しなくてはいけません。1個1個が安いとしても、集積回路をマニピュレーター表面にずらりと並べ、それぞれを接続するシステムをマニピュレーターに組み込もうとすると、どれだけ複雑になるか分かったものではありません。
また、半導体のチップは脆いので、マニピュレーターの物をつかむ側に張り付ければ、すぐに壊れてしまうでしょう。

人間の手のように、指先でも手の平でも温かい・冷たいが分かるロボットの手というのは、実は作るのがかなり難しい存在でした。

ゴムシートのような温度センサー

今回開発された人工皮膚は、シリコンをベースとしたポリジメチルシロキサン、通称PDMSというポリマー素材に、ナノサイズの太さを持つワイヤを組み合わせ、それをゴムと合成して作られました。PDMSが半導体で、ナノワイヤが発生した信号を伝える回路というわけです。
これならちまちまと回路をくみ上げるよりも簡単に作れますし、広い面積に張り付けることも可能です。ゴムとポリマーを使った素材は50%までなら伸び縮みし、衝撃や圧力にも耐久性があります。

新型のセンサーシートはどう使う?

開発チームはこの素材を表面に入りつけたロボットハンドを作成し、触った物の温度に応じて人間と同じような反応を行わせるデモンストレーションを行いました。ロボットハンドは使い方の一つにすぎず、他にもいろいろな使い道が考えられます。

例えば義手に使用すれば、温かさや冷たさを感じられるようになります。圧力センサーを利用して物の「感触」を義手からフィードバックする研究はある程度成功していますが、温度のフィードバックは未達成です。
この他にも、生体インプラントできる人工皮膚や、患部温度を常に測れる手術用手袋などの使い方があるようです。

 

ソース・画像:The John Hopkins News-LetterUniversity of HoustonLive Science

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