RN 008237

ロボットコンダクターYuMi、オーケストラを指揮する

2017.10.02  | 
WRITER:
irbis
 

ピサの斜塔で有名なイタリア・ピサ市のヴェルディ劇場で、2017年9月12日第一回国際ロボット技術フェスティバルの一環として、コンサートが開催されました。ルッカ・フィルハーモニック・オーケストラを指揮したのは、ロボットYuMi(ユーミィ)。これはロボット初の快挙だそうです。
YuMiとオーケストラは、著名なテノール歌手アンドレア・ボチェッリとも共演しています。

 

コンサートの様子とインタビュー(ABB YouTubeチャンネルより)

ロボットYuMiを作ったのは、スイスの会社ABBです。2本の腕が特徴的なYuMiは、本来は人間と一緒に働く協働型の産業用ロボットです。
今回は、人間と共同で音楽を作り上げたというわけです。

指揮者としてはヒヨッコ

オーケストラは大人数で演奏しますから、それぞれの楽器が最初に音を出すタイミングをそろえる必要があります。また、一つの曲中にも緩急があります。指揮者がタクト(指揮棒)を振って開始を合図し、拍子を取って全員のテンポを合わせる必要があります。YuMiも巧みなタクトさばきを見せてくれました。

協働型双腕ロボットYuMi(ABB YouTubeチャンネルより)

とはいえ、YuMiは自分で振り方を考えたのではなく、ルッカ・フィルハーモニック・オーケストラの指揮者アンドレア・コロンビニに、手取り足取りアームの動かし方を教えてもらったそうです。記憶した動きをソフトウェアで微調整して指揮しているのです。

 

しかし、楽譜を読み込み、作曲者が何を表現したかったのかを解き明かすことが、指揮者の最も重要な仕事です。タクトを振るのは、その結果をわかりやすく伝える手段です。ただ腕を振って拍子を取るだけなら、高度なメトロノームにすぎません。

ボーカロイドみたいに使えるコンダクトロイドができたら!

ところで、指揮者は楽譜を読んで作曲家の思いをくみ取るわけですが、その結果の「指揮者の解釈」は、必ずしも「作曲家の表現したいこと」ではありませんよね? やはり他人の心の中を完全に理解することは難しいのだろうと思います。「指揮者が自分勝手に解釈している!」と考える作曲家はたくさんいるようです。

 

たとえば、ベートーヴェンも、自分の思いを表現するためには自分がオーケストラを指揮するしかないと考え、交響曲を指揮したがったといいます。

ベートーヴェン

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(Wikimediaより)

しかし、名作曲家が名指揮者とは限りません。ベートーヴェンの指揮も、しばしば大失敗に終わっています。それでも懲りずに自分で指揮することにこだわったといいます。耳が聞こえなかったにもかかわらず、それほど強く執着したということは、ベートーヴェンのような大作曲家でさえ楽譜に自分の意図を完全に表現することは、非常に難しかったということなのでしょう。
それほど難しいのであれば、「指揮者が正しく解釈していない」と不満な作曲家は現代にもいるのではないのでしょうか。

 

そういうときこそ、ロボットが役立ちそうです。作曲家は、「自分の言いたいことはこうだ!」という解釈を自分自身で直に入力して、ロボットに指揮させるのです。ちょうど、初音ミクのようなボーカロイドに自分の作曲した曲をパフォーマンスさせるような感じですね。

 

それに加えて、現代だと名指揮者の指揮風景を収めた映像がたくさんあります。カラヤンやバーンスタインなど20世紀のマエストロでも、映像がたくさん残されています。AIがそれを見て学習し、あるいはカラヤン風、あるいはバーンスタイン風の指揮スタイルをまねることもできるようになるかもしれません。

作曲家は指揮スタイルはカラヤン風、バーンスタイン風と自由に選び、自分の表現したいことを直接入力して指揮者ロボットに指揮させることがもしできたら、20世紀と21世紀の競演も可能ですよね。

 

メトロノームも、発明されたときは、「これで自分の考えたとおりのテンポで演奏してもらえる」と作曲家は大喜びしたといいますから、YuMiもこれから生まれてくる新しい何かの第一歩を踏み出したところなのかもしれません。

 

ソース・画像:ABBN+1

thank you

この記事に関連するタグ

広告主募集
Sabeevo
上に戻る