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自己修復する素材を使用したロボットをベルギーの大学が開発

2017.09.20  | 
WRITER:
水谷圭佑
 

もし、ロボットが故障しても自己修復してくれるなら、どれだけ楽になることかと思ったことはないでしょうか?

ロボットが自分で自分を修理するシーンは、高度なロボットが登場するSFで見たことがある人がいるかもしれません。例えば、「ターミネーター」シリーズでは、ターミネーターの表面を覆う擬装用生体細胞が普通の生物と同様に傷を再生し、「2」でのT-1000は全体が液体金属でできているので、どんな損傷からも瞬く間に再生してしまいます。「4」で登場したより旧型のT-600でも、バラバラになった手足を電磁石で引き寄せたり、工具を使って自分を修理したりしていました。

もしこれが現実でも出来るのなら、点検の手間も省けるし、家電が故障してもわざわざ業者を呼んだり、買い替えたりしなくても済みそうです。

ブリュッセル自由大学が作ったロボット

そんな理想に一歩近づく技術を、ベルギーのブリュッセル自由大学の研究チームが開発しました。機械的構造の修理ではなく、人工筋肉及びグリップハンドに自己修復性を持つ素材を採用することで、特に手を加えずとも傷が勝手に塞がるようになっています。

ブリュッセル自由大学のチームが製作したのは、自己修復性の素材を「指」に使用したロボットです。
ロボットは、通常の手の形をした物と、クレーンゲームのキャッチャーのような物、そして、ソフトな人工筋肉の三種類が作られました。

自己修復素材はゴムのような性質を持ち、これを根元で牽引することで、物をつかんだり、縮んだりする動きを発生させる人工筋肉として機能します。また、表面には粘着性があるので、掴んだものを保持するグリッパーにもなります。

 

自己修復する素材のメカニズム

自己素材に刃物で傷をつけた後、80度の温度に40分間晒し、その後室温で冷却すると、約1時間後には傷はほぼ完全に塞がります。24時間での傷の修復度合いと柔軟性は、損傷前の98%まで回復するので、見た目も機能もまず低下しないレベルに保たれるようです。
自己修復素材にはマレイミドとフランという成分が使われており、高温環境下ではこれらの成分が分離します。そうして、解けた傷口が端の方からひっついていき、やがて修復されるという仕組みです。
日本では同じ成分を使用し、熱すると簡単に剥がれる接着剤という方向での研究もおこなわれています。

 

柔らかい素材のロボットは傷に弱い

特に、柔らかい素材を使うことでより人や物に優しく触れられるロボットを研究する「ソフトロボティクス」の分野では、他のロボットでは問題にならないような「表面の傷」が性能に影響を与えてしまいます。

こうしたロボットはマニピュレーターの部分にシリコンゴムなどの軟らかい素材を使うことがあります。しかし、柔らかい素材は傷に弱く、特に刃物による切り傷は動きと共に裂けて大きくなってしまいがちです。

更に小さな切り傷は見逃しやすく、見つけて接着しても接着面は他よりも弱いので傷口は開きやすく、結局は取り換えなくてはいけません。

しかし、こうしたソフトな部分に傷が出来ても勝手に直ってしまうなら、非常に好都合です。

人間と同じように傷が治るなら……

80度の熱で40分なら、魔法瓶のような物に沸かしたお湯と一緒に付けておくだけでも大丈夫です。また、機械の多くは発熱する物なので、内部からの熱で表面を修復するロボットも作れるかもしれません。
これから高分子素材などを人工筋肉として使用したロボットも出て来ることが考えられるので、自分の損傷をある程度自己修復できる素材の重要性は高まっていきそうです。

 

ソース・画像:ScienceNews

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