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キツツキのように壁に「着地」する固定翼機型ドローン「S-MAD」をカナダの大学が開発

2017.08.30  | 
WRITER:
水谷圭佑
 

もしも昆虫やキツツキのように垂直な壁にとまり、そこから発進できるドローンがあれば、観察が非常に楽になるのではないか? そのような発想にヒントを得た新型のドローンを、カナダのシェルブルック大学のチームが開発しました。
この機体はS-MAD(Sherbrooke’s Multimodal Autonomous Drone:シェルブルック多形態自律ドローン)と呼ばれ、機体を垂直に起こして壁にぶつかり、そのまま貼りついて着地することが可能です。

マルチコプター型ドローンの限界

現在のドローンにおいて主流となっているのは、複数のローターを有するヘリコプター型、いわゆる「マルチコプター」と呼ばれる機体です。垂直離着陸(VTOL)やホバリングなどが行える優れた機動性を発揮します。

ただし、推力の大半を機体を浮かすことに使っているために燃費が悪く、飛行時間が短くて行動可能範囲も限られます。また、移動スピードもある程度以上は速くできません。

固定翼機型の利点と弱点

これに対し、普通の飛行機と同様の固定翼機型ドローンは、前進すれば翼が揚力を生み出して機体を浮上させるので、モーターの力全てを推進に使えます。同じ出力のモーターとバッテリーを使っているなら、固定翼機型の方がより速く、より遠くまで、より長い時間飛び続けられます。

しかし、VTOL出来ないので、マルチコプターのように適当な場所に着地し、バッテリーを節約しつつ監視カメラとして使えないという問題があります。

S-MADのシンプルな解決策

この問題において、S-MADは、垂直の壁に自在に止まり、発進するという機能によって解決を図っています。壁に張り付いて着地し、そのまま監視カメラとして情報を収集した後、発進して違う場所に移ったり帰還したりするという具合です。これなら、マルチコプターの航続距離では届かない場所にも到達して、定点観測が可能になります。

動きは鳥に学んだ

壁に張り付くのは昆虫が得意ですが、S-MADの場合は鳥の動きを参考にしています。キツツキのように幹にとまる鳥以外でも、巣箱の端や壁のでっぱりなど、垂直に近い場所の足場にとまることは良くあります。
この際、鳥は着地場所に接近しながら体を縦に起こし、翼を広げて減速しつつ接近し、そのまま着地します。要は機体を縦にしてゆっくりと壁面にぶつかればよいという事です。後は壁に機体を保持できる着陸脚さえあれば、壁に「着地」出来ます。

S-MADの着地方法

S-MADの場合。まずは壁に向かって秒速8~9メートルのスピードで突っ込みます。搭載されているレーザーセンサーが壁までの距離を測り、適切な距離に来たら急上昇するときのように、翼の後縁にある補助翼(フラップ)を操作して機体を上向きにします。このまま推力を切れば、機体は飛んできたときの慣性で、腹側を壁に向けて接近していきます。縦になった翼がエアブレーキとして働くことで、スピードは秒速1~3メートルにまで減速して、飛行機は壁に「着地」するという具合です。

着陸脚は綿棒風

着陸脚は先端部分をマイクロファイバーで覆った綿棒のような構造で、繊維が壁の小さなデコボコに引っかかることで機体を固定します。つるつるのガラスは無理ですが、レンガの壁ぐらいなら十分着陸可能です。また、この足は壁にぶつかる際の衝撃を吸収する役割もあります。
発進する際はプロペラの出力を上げて壁から離れ、上昇してターンするか、垂直になったまま移動し、壁から離れたところで水平飛行に戻るかします。

これからの使い道

この機体は、人が足を踏み入れにくいような場所、例えば大規模災害があった都市、非常に深い谷にかかった橋、人里離れた場所にあるパイプライン、広い森林地帯などで使用できるのではないかと期待されています。
着陸の際の動きは他の飛行機でも簡単に行えるものです。今までの固定翼機ドローンには、着陸の際にネットでキャッチしたり手で捕まえたり、果ては墜落させたりするものがありました。

しかし、適切な着陸脚さえあれば、機体を傷つけないソフトな着地が出来そうです。これから、操縦に使うタブレットのような物に装着しておいて、そこから発進・回収できる、ポータブルで超長距離飛行が可能なドローンが出て来るかもしれません。

 

画像・ソース:New Atlas

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