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脳卒中になった人でもキビキビ歩けるようにする、新型の柔らかエクソスーツが登場

2017.08.16  | 
WRITER:
水谷圭佑
 

脳卒中になって歩くのが不自由になった時は、杖を突かなければいけないのだろうか?
高齢化社会が進む現代において、そんな不安を抱く人は少なくありません。実際、日本では毎年25万人の人が脳卒中にかかっていると言われています。
脳卒中で歩行障害を負っても、なるべくきれいな形で歩けるように補助する新型のエクソスーツが、アメリカのハーバード大学で開発されました。開発したのは、同大学の工学/応用工学スクール(SEAS)でソフトロボティクス(軟らかい素材を使用するロボット工学)を研究するコナー・ウェルシュ教授です。

エクソスーツのすごさ

ロボット工学の発展に伴って登場した「着るロボット」、いわゆるエクソスーツは、重量物の運搬の他、身体障害者の社会復帰支援に使用できることで注目を浴びています。
下半身を支えるタイプのエクソスーツは、脚の形に合わせた動力付きフレームと、それを制御するシステムから成っています。このフレームは自立することが可能で、着用者は体をフレームに支えてもらいながら歩く仕組みです。
この「エクソスケルトン(外骨格)」タイプのスーツでは、軍事用の機種なら90キログラムの荷物を担いで走る事さえ可能にします。
しかし、それなりに歩く能力が残っている人にとっては、このようなエクソは少々大袈裟です。自分である程度は歩くことができるなら、体を支える機能は省略し、足の動きをサポートするだけで十分になります。

脳卒中と歩行障害

歩行障害が起きる原因はいろいろありますが、中でも脳卒中は主たるものの一つです。脳卒中とは脳の血管が詰まる脳梗塞、血管が破裂する脳出血などを指します。異常が起こった血管付近の脳組織に酸素が運ばれなくなるので、処置が遅れると脳機能の一部が失われる危険性が高い病気です。
脳卒中では、体の片側だけに麻痺が出る「片麻痺」が起こりやすい傾向にあります。
リハビリ次第では歩けるようになりますが、足首から先の角度の調節が上手にできなくなるので、患者の歩き方は足を引きずってドスンと落とす「ドロップフット」と呼ばれるものになります。歩幅が小さくなって歩くスピードが遅くなるほか、物につまづく危険性も高くなります。

新型エクソはフレームレス

ウェルシュ教授の開発したエクソスーツは、こうした片麻痺を起こした患者の歩行を助けることを目的に設計されています。他のエクソスーツとは違ってフレームやサーボモーターを持たず、ほとんどが柔らかい素材だけで構成されている点が特徴です。動力源となるのは自転車のブレーキを動かすのと同じボーデンチューブで、空気圧によって足首を補助するアクチュエーターを作動させます。
システムはメインバッテリーとコンプレッサーを備えた動力ユニットと、ひざに巻き付けるストラップから成っています。ストラップからは2本のアクチュエーターが伸びて靴の中敷きに接続されており、これがボーデンケーブルから送られた空気圧によって動くことで、足首の動きを制御する仕組みです。

足首から先をサポートして全体を改善

このエクソスーツがサポートできるのは、足首から先の部分の角度だけです。しかし、この部分がちゃんと動いてドロップフットでなくなるだけでも、歩行の形は驚くほど改善されます。
30~67歳の脳卒中の罹患者を対象とした実験では、9日間の訓練によって歩行の効率が10%向上し、さらに歩き方の左右対称性が20%向上しました。動画を見ると分かるように、エクソスーツを装着することで、早歩きまで可能になっています。まっすぐキビキビと歩行することは、人間の生活において極めて重要な動きです。

見た目もクールでスポーティー

ソフトロボティクスによって作られたこのエクソスーツは、フレームを持っていないので柔軟かつ軽量であり、コートやズボンで隠すことができます。外見がスポーツ用のサポーターやレギンスに近いため、隠さなくとも気にならない人も多いでしょう。
こうしたソフトな補助用エクソが普及すれば、体の動きが不自由になっても、より気楽に生活の質を維持することができるようになるはずです。

 

ソース・画像:Harvard GazetteIEEE SpectrumThe Robot Reporttechcrunch

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