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トンボをサイボーグ化したバイオMAV(超小型飛翔体): DragonflEye

2017.06.12  | 
WRITER:
水谷圭佑
 

トンボを超小型のドローン(MAV)のように遠隔操縦できるシステム「DragonflEye」が、アメリカのチャールズ・スターク・ドレイパー研究所とハワード・ヒューズ医学研究所によって開発されました。

昆虫をサイボーグにする技術

昆虫の脳や筋肉に電極を取り付けて動きをコントロールする研究は、2008年ごろからいくつも発表されており、ゴキブリ、蛾、イナゴなどで成功事例があります。昆虫にカメラを付けてドローンの様に操縦できれば、災害現場であらゆる狭い隙間を潜り抜け、調査を行わせることができます。
小型ドローンを開発するのは手間がかかりますが、操縦するのが昆虫であれば、動力源から制御システムまで全てそろった完璧な「機体」がすでに存在しています。後は、操縦技術を確立するだけ、というわけですね。

神経を制御するDragonflEye

こうした技術は一定の成果を見せていますが、既存のものは昆虫の感覚器官や筋肉に直接の刺激を与えて動かしているだけです。昆虫が持つバランス感覚やセンシング能力と同調していないために、複雑な動きや行動を再現できないという問題が残っています。
対するDragonflEyeでは、トンボに精密機器を積んだバックパックを装着し、そこから神経システムへと信号を送る方法で動きを制御します。触角に刺激を与えたり、筋肉を電気で収縮させたりするのではなく、「どのように飛ぶか」という指令を高度な神経制御部分へと直接送りこみ、動きをコントロールするのです。

ソーラーパネル駆動で軽量化

また、このバックパックは、表面に取り付けた超小型ソーラーパネルで駆動するため、重たいバッテリーが必要ないというところも利点です。
2015年に開発されたカブトムシを操縦して飛行や空中旋回を制御するシステムは、重さおよそ1.4グラム。カブトムシや大型のハナムグリといった、大きくパワーのある昆虫でないと使えませんでした。
トンボはカブトムシよりもはるかに動きが機敏です。たとえばギンヤンマの最高時速は100キロメートルを超えますが、体重はわずか1~2グラム(カブトムシは8.5グラム)です。小型・軽量が、システムの絶対条件でした。

完璧に制御できるのはまだ先の話?

DragonflEyeはまだ開発段階であり、さすがに自由自在に行動を制御するには至っていません。
また、トンボは特定の波長の光に反応する性質があり、この光を浴びたときに神経に流れる信号が、バックパックから送り込まれる制御信号と干渉して行動を阻害するなど、制御面での問題も残されています。
それでも、このサイズの飛行生物における一種の到達点というべき複雑かつ高度な仕組み持つトンボの体を制御できるのは、充分驚くに値しますね。

 

ソース・画像:TCIEEE SPECTRUMSPUTNIKDraperModern Motion

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