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賞金7億円! 無人機たちが過酷な深海の探査技術を競うShell Ocean Discovery XPRIZE!

2017.06.07  | 
WRITER:
irbis
 

石油メジャーのロイヤルダッチ・シェル700万ドル(約7億円)の賞金を出し、非営利団体XPRIZE財団が募集するShell Ocean Discoverry XPRIZE。これは、簡単にいえばロボットによって海底を探査し、地図を作成するチャレンジです。

 

このチャレンジはふたつのラウンドで争われますが、決勝戦に当たる第2ラウンドの舞台は水深4000メートルの深海。地上の400倍の圧力のかかる深海で、250平方キロメートルの広さを24時間で探査せよ、というのがShell Ocean Discoverry XPRIZEの課題です。この困難な課題を、自律型無人探査機(AUV。自律型無人潜水機とも……以下、AUVと記載)だけでこなさなければなりません。

Shell Ocean Discovery XPRIZE(YouTubeより)

日本からも3チームがエントリしましたが、技術提案書の審査を通ったのは1チームだけでした。それが、Team KUROSHIOです。

 

全世界から32チームがエントリした中、書類選考を通過した21チームのひとつとあって、Team KUROSHIOのメンバーは、なかなかすごいのです。

おそらく日本最強のチーム

Team KUROSHIOに参加している人たちの所属は次のとおり。

 

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)
有人潜水探査船「しんかい6500」や無人探査機「かいこう」など有人・無人の深海探査機を保有・運用している機関です。初代「かいこう」は、世界一深いマリアナ海溝のチャレンジャー海淵、水深10,911.4メートルまで潜航したことでも知られています。

かいこうかいこうMk-IV

「かいこうMk-IV」ビークルの「顔」。背後に見えるのが「かいこう」のランチャー。(筆者撮影)

 

東京大学生産技術研究所(IIS)
工学に関するあらゆる研究をしている日本最大級の研究所。日本のAUVの歴史を語る上では外せない「ツインバーガー」や「アールワン・ロボット」を開発しました。

 

国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(NMRI)
深海4000メートルの環境を再現できる水槽を含む、大型の実験用水槽を複数保有する研究機関です。AUV用のスラスタモーター(推進装置)の開発など、AUV関連の技術開発もしています。

スラスタ

スラスタ(深海探査機「おとひめ」)(筆者撮影)

 

三井造船
かいこう」や「アールワン・ロボット」、今回のShell Ocean Discovery XPRIZEでも使われる予定の「AQUA EXPLORER 2000」を建造した会社です。

AQUA EXPLORER 2000

AQUA EXPLORER 2000(模型)。2000メートルまで潜航可能。(筆者撮影)

その他、深海のような極限の環境で働くロボットの研究開発をしている九州工業大学JAMSTECの船や海中ロボットを運用している日本海洋事業、AQUA EXPLORER 2000の原型「AQUA EXPLORER 2」を開発したKDDI総合研究所、モーターボートや船外機のメーカーとして知られるヤマハ発動機と、まるでオールジャパンのような豪華な顔ぶれです。しかし、国家主導のプロジェクトとして発足したわけではなく、各機関・企業の若手がXPRIZの募集を知り、声を掛けあって集結したそうです。

第1ラウンドでも超難題

第1ラウンドは、2017年10~11月に行われます。
水深2000メートル、広さ100平方キロメートルの海底を16時間以内に探査し、地形図を作ります。さらに、当該エリアにある海底ターゲットの写真を5枚以上撮影しなければなりません。

 

また、全体として次のような厳しいルールが課され、これらの課題をクリアしないと第2ラウンドに進むことはできません。

・支援母船を用いない等、海域に人が立ち入らない(海域へのロボットの展開・回収含む)
・機材の持込みは40feet コンテナ1 つまで
・調査後48 時間以内での海底地形図の作成および提出

日本海洋事業株式会社 2017.02.17 Shell Ocean Discovery XPRIZEへの挑戦(PDFファイル)より引用

海底地形はまだほとんど調査されていない

Team KUROSHIOは既存の技術でShell Ocean Discoverry XPRIZEに挑むとのことです。

 

日本のEEZ内に豊富な海底資源があることが知られるようになり、未来の資源として注目が集まっています。また、深海の奇妙な生態の生物や深海に散乱する生活ゴミなど、海底の映像がテレビでもしばしば取り上げられるようになりました。しかし、これは海の底の1割にも満たない局所的なできごとです。残りの9割は地形さえ明らかになってはいません。

地上の自動運転車が詳細な地図がないと安全に走れないのと同じく、海底の地形がわからないままその海域に有人・無人の探査機や作業ロボットを投入するのは非常に危険です。

 

もちろん、優勝することも重要ですが、このチャレンジで培われた技術が普及して海底地形の調査や地図作成が進み、海底での安全な研究や開発に役立つようになると良いですね。

 

ソース:Shell Ocean Discoverry XPRIZETeam KUROSHIO

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