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ドローンは使い捨ての時代に!? 動力なしで目標ポイントにきっちり到達するドローンを、米軍が開発中

2017.05.03  | 
WRITER:
あずさゆみ
 

世界各地の紛争地域で活動する米軍。戦場の兵士を支え、作戦の成否を左右する重要な任務に兵站活動がありますが、紛争地域における物資の空輸には大変な危険がともないます。
補給任務をより安全なものにすべく研究を重ねている米軍が、先日メリーランド州ナショナルハーバーで開催された見本市、Sea-Air-Space 2017 Trade Showで発表したのは、使い捨てにできるドローンでした。

使い捨てという選択肢

アメリカ海兵隊戦闘研究所(Warfighting Laboratory)が発表したドローンは、TACAD (TACtical Air Delivery) glider:戦略的空輸グライダーと呼ばれる使い捨てタイプの無人機です。回収の必要がなく、着陸地点にそのまま廃棄されるというこのドローン、どんなものか見てみましょう。

エンジンやモーターなしで長距離滑空

ドローンと聞いてわたしたちが思い浮かべるのは、クワッドコプターのような複数の回転翼を持つ小型の無人機でしょう。動力源としてバッテリーを搭載しているものが多く、ガソリンエンジン、太陽電池のほか、水素燃料で駆動するタイプも開発されていますね。

TACAD試作モデル(
1/2スケール)

しかしTACADは、動力を持ちません。空中で放たれて滑空し、誤差数十メートル以内という正確さで目的地に到達すると、胴体着陸で任務を終えます。最大積載量は700ポンド(317キロ)。滑空可能な距離は30~70マイル(48~112キロメートル)と長く、安全な空域での投下が可能ですから、補給部隊が砲撃にさらされる危険性はずいぶん低くなるでしょう。
気球を使った同様の方法も、研究されています。ですが、気球の方がより多くの物資を運べるものの、天候の影響を受けにくくより精密に目標地点を目指せるという点でドローンの方が有利とのこと。格納時には折りたたまれ、投下されると翼を展開するドローンは、輸送の利便性も高いようです。

使い捨てボディは合板製

TACADのボディは、合板でできています。クラッシュ・ランディングによってボディが大破しても、積み荷さえ無事なら問題ありません。壊れたボディは、その場で朽ちるにまかせるだけ。また、搭載されている電子機器はホビーグレードのGPSシステムと数個のサーボモーターを含むオートパイロットシステムで、これらもそのまま放棄されます。敵の手に渡って困るようなものはない、というわけですね。
このドローンの製作費用は1500~3000ドルになる見込みで、2018年には飛行試験を開始する予定だそうです。
ただ、TACADが実戦投入されれば補給部隊の損耗は抑えられるかもしれませんが、紛争をなくす努力がなされなくては、別のところで失われる命が増えるだけかもしれません。

APSARA

ところで、TACADとよく似たプロジェクトに、DARPA(国防高等研究計画局)の支援を受けたOtherlab社によるAPSARAがあります。医薬品の輸送などを目的に開発されたAPSARAのボディはダンボール製で、TACADよりはるかに小型ですが、安価な機体を使い捨てにするという両者の設計コンセプトはきわめて類似しています。

 

低コストで確実に運用できる使い捨てドローンには、大規模災害の被災地への医薬品や救援物資の輸送など、人道目的でこそ活躍してもらいたいものですね。

 

《画像ソース》
IEEE Spectrum
Otherlab

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