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チーターの背骨を参考にした省エネ歩行ロボットが登場

2017.05.05  | 
WRITER:
水谷圭佑
 

もしも4足歩行型のロボットが、車並みのものすごいスピードで走行できるようになったら……。
そんなイカしたロボットの実現に一歩近づくシステムを、オランダのトゥウェンテ大学のヘルト・フォーカーツマ氏が開発しました。このシステムはチーターの身体構造を基にしており、非常に単純でありながら、少ないエネルギーでの高速走行を実現できます。

チーターはどれぐらい速いのか?

チーターといえば、とにかく走るのが速いことで知られています。

アメリカのシンシナティ動物園にいたメスのチーター「サラ」は、2012年に100メートル5秒95という世界記録を残しています。これは厳密に計測された100メートル走において、地球上のあらゆる生物を上回る走行スピードです。
加速力も相当なもので、走りはじめてから約3秒で時速96キロメートルに達し、急減速からの急旋回、最高速度への復帰が瞬時におこなえます。

速く走るためのチーターの肉体

チーターの走りがすごいのは、脚のみならず骨格や呼吸器官に至るまで、速く走ることに特化した構造であることに由来します。

普通のネコ科動物は爪を出し入れすることができますが、チーターの場合は走る際のスパイクとして機能するように、完全に固定されてひっこめることはできません。頭部はライオンやヒョウよりも小ぶりで、咬みつくパワーを犠牲にしてまで空気抵抗を低減させているのです。

速度の秘密は背骨

そして、最大のポイントが「背骨」です。チーターの背骨は非常にしなやかな構造で、走るときにバネのように「しなる」ことで体を躍動させ、7メートルもの歩幅を稼ぎだします。
フォーカーツマ氏はこの「しなる背骨」に着目し、4年の歳月をかけて同様のシステムを搭載したロボットを開発しました。

バネの背骨のチーターロボット

開発されたロボットは全長30センチメートル、重量2.5キログラムで、ほとんどが骨組みの構造です。

このロボットの「背骨」に当たる部分にはスプリングが組みこまれており、チーターの背骨と同様のしなりによって走る動きを増幅し、歩幅を大きくする効果を発揮します。

チーターロボットのすごい所

見た目はチーターとは似ても似つかず、単純に走るだけで方向転換も出来ません。

走る速度も時速1キロメートルで、動画はスローモーションではあるものの、ピョンピョンと飛び跳ねるような動きなのであまり速そうには見えません。
しかし、同レベルのサイズの歩行型ロボットのなかでは、時速1キロメートルという速度は群を抜いた駿足といえるでしょう。

また、速度向上のシステムはただのバネであることから、他の同サイズのロボットが同じスピードを出すときに比べ、わずか15パーセントのエネルギーしか必要としません。

ちょっとの力で走れる仕組みにフルパワーを注入したら……

省エネでかなりのスピードが出せるということは、出力を上げてやれば相当な速さで走らせることも充分に可能というわけです。
例えば、陸上王者のウサイン・ボルト選手が全力疾走するときには、瞬間的に1キログラム当たり約25ワットのパワーを出しています。彼の体重は94キログラムなので、100メートル走で2,350ワット(約3.2馬力)のパワーを発揮していることになります。

これに対し、チーターが走るときには、体重1キログラム当たり120ワットのパワーを発揮します。チーターの体重は35~72キログラムなので、走行中のチーターが産みだすパワーは実に4,200~8,640ワット(5.71~11.75馬力)となります。

ちなみに、サラブレッドは1キログラム当たり30ワット、走るのが速い犬として有名なグレイハウンドは1キログラム当たり60ワットです。

同じ哺乳類でも、チーターはその身体構造により、文字通りけた違いのパワーを発揮しているわけですね。

高速走行4足歩行ロボットの将来

同じ燃料でも高効率のエンジンで使うと低効率の物入りもパワーが出やすいので、チーターロボットも、出力さえ上げてやればもっと速く走ることも可能になるでしょう。
もちろん、高速走行に耐える強い足やバランサーが必要ですが、改良次第で実物のチーターを30センチメートルにした場合に相当する、時速20キロメートルで走らせることも可能になるとみられています。
実物のチーターは、スタミナの関係から全速力で走ることができるのはおおよそ200メートル程度が限度ですが、機械ならばその限界を超えることも可能ではないでしょうか。
四足歩行型は不整地踏破能力に優れ、ジャンプ機能も期待できます。バランサーとセンサー次第で、チーターと同じような急旋回能力を持たせることも夢ではありません。
「しなる背骨」という単純なメカニズムが、4足歩行型ロボットの可能性を大きく拡げることになるかもしれませんね。

 

ソース・画像:New Atlas

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