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タコの脚を模倣した新型マニピュレータ『オクトパスグリッパー』

2017.04.20  | 
WRITER:
水谷圭佑
 

ドイツに本社をおく産業用ロボット開発企業『フエスト』が、タコの脚をモデルにした新型のマニピュレータ『オクトパスグリッパー』を開発しました。
フエストはソレノイドバルブや電動アクチュエーターを主力商品としていますが、自然界の動きをロボットに取り入れるバイオミメティクスの研究もおこなっており、これまでもマンタの形をした飛行船、ペンギンの形をした水中ロボット、アリ型ロボットなどを開発しています。

タコの体は特殊能力が満載

様々な水生動物の中でも、タコは特に多数の変わった能力を持つ動物です。
皮膚は色素細胞を操作して色を変化させられるうえ、突起も再現して質感までも瞬時に再現する、高度な迷彩・擬態機能があります。
目の網膜には盲点が存在せず、二方向に同時に焦点を合わせることも可能。唾液にはがあり、エサになるエビやカニを麻痺させて動きを止めることまでやってのけます。
おまけに特別に頭が良く、透明なガラス瓶の開け方を理解し、水槽から脱走することもしばしば。嫌いな人間の顔を憶えて識別し、その人だけに水をかけて嫌がらせすることもあるのだとか。

柔軟かつ強靭なタコの脚

そんな多様なタコの能力の中で、ロボットの研究分野が注目しているのは8本のです。
タコの脚は触腕と呼ばれるもので、ほぼすべてが筋肉だけで構成されています。関節が無いために非常に柔軟であり、内側に並んだ吸盤を使うことで、物をつかむだけでなく、瓶の蓋開けのような複雑な作業も可能です。また、ほとんどが筋肉であることから力も強く、甲殻類の殻を砕き、二枚貝をこじ開ける強烈なパワーを発揮します。

オクトパスグリッパーの構造

 

フエストのオクトパスグリッパーはタコの脚と同じ柔軟性を発揮できるように、外側が柔らかいシリコン素材で構成されたマニピュレータです。

内部にはフレームやモーターは搭載されておらず、空気圧によって動きを制御します。空気圧をかけると、アームは内側にくるりと丸まって物をつかみ取り、圧を和らげるとアームが伸びて放す仕組みです。

もちろん吸盤も完備

本物のタコの脚と同様に、オクトパスグリッパーも腕の内側に2列に並んだ吸盤を持ち、物をつかむときに作動してがっちりとホールド。内側に備えられた穴から空気を出し入れすることで吸着力をコントロールするため、普通の吸盤のように外れてしまうこともありません。

吸盤と柔軟なアームの組み合わせにより、金属製の棒を持ち上げることから、中身が入った紙コップをそっと置くことまで、硬軟両方の作業が可能です。

腕の部分は普通のアーム

ただし、タコが陸上では物を持ち上げることができないように、フレームが無い構造では、物を支える能力には限界があるようです。このため、オクトパスグリッパーも先端部の物をつかむ部分だけがタコの脚で、それ以外の部分は通常のロボットアームとなっています。
人間でいうならば、手首から先の部分だけがタコになっているというところでしょうか。

注目を浴びる「ソフトロボティクス」

ロボットといえば金属の硬いイメージがありますが、その一方で柔らかい素材を積極的に使用する『ソフトロボティクス』という研究分野も生まれています。柔らかく変形するロボットや、ショックを吸収するシステムなど、柔軟さを取り入れることでロボットのさらなる可能性が拓かれることが期待できます。
介護や医療など、人の体と直接接する分野では、柔らかい素材を使ったロボットの方が良い場面も多いでしょう。

産業用ロボット企業であるフエストはマニピュレータの開発に熱心で、これまでも自分で形状を変えるグリッパーや、ゾウの鼻を模倣したアームなどを開発しています。そのなかでも、柔軟性のある組織だけで構成されるタコの脚は、ソフトロボティクスにおけるひとつの究極形となるかもしれません。

 

ソース・画像:フエストWIRED UK

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