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にゅるっとどこにでも潜り込む! うなぎ型海中ロボットEelume

2017.03.28  | 
WRITER:
irbis
 

ノルウェーといえば、バイキングの子孫の国として知られる海洋国家です。スカンディナヴィア半島の西側に位置し、ロシアを別にすれば、ヨーロッパ随一の石油・天然ガス生産国でもあります。これらノルウェーの油田・ガス田の大半は、北海などの海底にあります。

 

こういった背景から、海底に設置されたパイプラインなどを点検、メンテナンス、修理できる海中ロボットがノルウェーで生まれました。うなぎ型AUV(自律型無人潜水機)Eelumeです。

Eelume.comより(音が出ます)。

うなぎの寝床は海の底

Eelumeはうなぎのように細長くしなやかなボディを持つ海中ロボットです。標準化されたモジュールを「レゴブロックのように」組みあわせることによって、さまざまな作業に使用することができます。長いボディをU字型に曲げ、両端にマニピュレータを取りつければ、2本の腕のように使うこともできます。スクリューはボディ中程の両サイドについているので、このようなことも可能なのです。

Eelume スクリュー

Eelume。ボディの両サイドにスクリューがある。

名前はeel(うなぎ)ですが、ヘビの動きをモデルに開発されました。先日、ロボットノートでも水陸両用のヘビ型ロボットが取り上げられていましたが、足も車輪もないのに素早く動けるヘビの動きには、生物学者だけでなく、ロボット工学の研究者も注目しているのですね。

 

Eelumeは、ノルウェー科学技術大学(NTNU)とスカンディナヴィア最大の独立研究組織SINTEFヘビロボット共同研究からのスピンオフで、会社(Eelume AS)は2015年に設立されています。

Eelumeは海中での作業に特化しているために、「うなぎの寝床」ならぬドックも海中にあります。そのため、海上にいっさい浮上することなく稼働し続けることができます。

Eelume

海中で作業するEelume

例えば、3000メートルの深海で作業する場合、海上の母船から目的地まで海中ロボットを投入、回収するとなると、往復で最短6000メートルの移動が必要です。その分、本来すべき業務の時間が削られてしまいます。300バールの水圧差を頻繁に行ったり来たりしていれば、機器に負担もかかるでしょう。

 

深海のドックに待機していれば、往復6000メートル分の時間や燃料を本来の業務に回せるため、時間もコストも節約できるというわけです。しかも、海上の天候に一切影響されません。いつでもスタンバイOKです。

現代のバイキング、深海を目指す

北海油田の石油・ガスは、近々採りつくされると予測されています。ノルウェーは採掘終了を見越して、より北のノルウェー海、バレンツ海の海底で盛んに資源探査を行っていますが、廃油田後の巨大な構造物をどうするのかが大きな問題になっています。

トロールBプラットフォーム

ノルウェー トロールガス田プラットフォームB(画像はWikipediaより)

現在は海底から石油を採掘するために海上に巨大なプラットフォームが建造されていますが、採掘しつくしたあとは、この巨大な建造物を莫大な資金を投じて解体しなければなりません。石油ガス採掘の際に生じる有毒物質の処理も必須です。お金がかけられないからといって杜撰な処理をしようものなら、有毒物質が海に流れ出て、大きな問題になりかねません。

 

こうした課題に対し、ノルウェーのエネルギー企業スタトイルは公式サイト上で、将来、海上プラットフォームではなく海底に石油採掘、加工施設を建設する構想を語っています。最初から大きな構造物を作らないことによって、環境負荷もコストも低く抑えようという考え方です。

 

スタトイルはEelume社のパートナー企業でもあります。海中に常駐するEelumeは、こうした海底プラットフォームの点検や修理にうってつけです。現代のバイキングたちは、海底のフロンティアを目指して着実に歩を進めているのです。

 

ソース・画像:Eelume ASスタトイル総務省統計局『世界の統計2017年』、Wikipedia

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