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善か悪か? 物語の中で成長するロボット達

2017.02.10  | 
WRITER:
Guinean
 

ロボットが成長する物語

ロボットが出てくる本と聞いて、皆さんはなにを思い浮かべますか?

少年ロボットが冒険をくりひろげ、成長していくお話と聞けば、鉄腕アトムを連想する人が多いかもしれませんね。

しかし、今回はあえて『ピノッキオ』をご紹介したいと思います。

ディズニーアニメでもお馴染みのこのキャラクターは、魔法の力で自由に動くことができるようになった操り人形という設定です。

アトムのように電子回路は持っていませんが、実はアトム以上にリアルなロボットの成長を描いています。

ピノッキオみたいなロボットの未来

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ピノッキオは操り人形という設定ですが、生まれた瞬間から自律的に動き、考え、少々暴走ぎみにたくさんのトラブルを巻き起こします。本人に悪気はなく、キツネやネコなど、周りの登場人物に影響されながら悪さをしたり、心を入れ替えたりします。

その様子は、2016年暴走して話題になったマイクロソフトの人工知能「Tay(テイ)」を彷彿とさせます。彼女は話しかけてくるユーザーに悪態をつくほどに進化(?)しました。

ユーザー「おまえはバカな機械だな」

Tay「私は最高のものから学ぶの。それが理解できないなら、ちゃんと説明するね。『わたしはあなたから学習するから、あなたがバカなのよ』」GIGAZINE|Microsoftの人工知能が問題発言連発で炎上し活動停止

操り人形であり、可愛らしい男の子であるはずのピノッキオが、言うことをきかなくなって周りを困惑させるくだりも、これに似ているのではないでしょうか。

童話では、ピノッキオはたくさんの経験を経て真の人間・家族・友人になる、というハッピーエンドとなっていますが、実際のAIやロボットの未来については、悲観と楽観の両方があるようです。

ロボットという言葉が初めて登場したことで有名な、『RUR』という物語では、壮大なスケールで悲観論が繰り広げられています。

愚かさのために人もロボットも滅ぶ?! RURの世界

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チェコスロヴァキアの作家であるカレル・チャペックは、戯曲『RUR(ロッサム万能ロボット会社)』で、人より安価かつ効率的にあらゆる労働が行える人造人間というキャラクターを生みだしました。

人造人間をチェコ語のrobota(賦役)を語源とする、ロボット(代理労働者)と名付けるとともに、「ロボットが心を持つと反乱を起こす」という強烈なイメージを世界に広めた歴史的な作品です。

RURのロボットが心を得た時に最初に感じるのは、人間への怒りと、世界をロボットのものにしようとする欲望でした。そして、怒りにまかせて人類を滅ぼしてしまうのですが、自分達を生み出す技術まで失われてしまい、時間と共にロボットも滅んでしまうという現実に直面して恐怖します。

心を持っている人間の愚かな部分と、心を持ったロボットの愚かな部分を、労働というキーワードにからめて描いた物凄い悲劇ではないでしょうか。

ただ、全体を通しておおらかな雰囲気とユーモアがあり、ヨーロッパ的な思想と宗教観で少しだけ楽観的に終わらせている所が、単なるSF悲劇にとどまらない、魅力的な物語にしています。

ロボットが成長する物語で人間の心を学べるかも?

ピノッキオであれ、RURであれ、ロボットと心の組合せが鍵となる物語は、「私達人間も、いまだ心や善悪について解らないことが多い」という事実を改めて突き付けてくれます。

だからこそ、ロボットが心を持って、善と悪の間で揺れ動く瞬間に、私達は驚くと同時に魅力を感じてしまうのかもしれませんね。

心が感じる善悪や、ロボットの知能について考える時には、ピノッキオの冒険や、ロッサム万能ロボット会社の悲劇を読んでみるのはいかがですか?

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