踊るリハビリテーションロボ! 人間が彼らを愛する未来
2017.01.13 |- WRITER:
- Guinean
日本の最先端ヒューマノイドPALRO(パルロ)
富士ソフトが開発した人型コミュニケーションロボットPALRO(パルロ)をご存知でしょうか?
安定した2足歩行を実現し、学習しながら会話する事ができる、日本でも最先端のヒューマノイドのひとつです。
すでに国内300箇所以上の介護施設などで、高齢者の話し相手として活用されています。
ネットに接続してニュースやメールを読み上げることができ、ダンスの披露や、健康体操のインストラクターを務める事も出来ます。
最先端技術に声やしぐさが加わると、かなり愛らしい
ほかのヒューマノイドにもいえることですが、PALROは人と遜色のないコミュニケーションが取れる、というわけではありません。しかしPALROの声やしぐさは、多少ロボット的なぎこちなさがあっても、かえって愛らしい子供と話しているような感覚をつくりだしています。
例えばPALROが寝た状態から起きあがる時、「ちょとまってください、起きまーす、ぼくに手出しは無用だよ」と言って動き出し、起きあがると誇らしげに胸を張って周りを見渡すしぐさをします。
脚部分の柔軟で安定した構造に驚かされると同時に、手足や顔の角度などの繊細な動きによって、見る者に一生懸命起きあがっているような印象を与えるのですね。
実際に活用されている介護現場でも、まるで孫と会話しているような感覚で高齢者を元気にしてくれると高く評価されています。
ロボットが人と関わればロボットロスが生まれる?
それまで生産性向上のための機械であったロボットを、人間のパートナーになり得る存在なのだと世間に認識させたのは、1999年に登場した家庭用ペットロボットAIBO(アイボ)でした。
AIBOもPALROと同じように、機能性と同時にその愛らしい動きやコミュニケーションが特徴的でした。
生産修了によりすっかり見なくなったAIBOですが、2015年に壊れたAIBOの合同葬儀が執り行われて話題になりました。
千葉県いすみ市にある光福寺で1月26日、ソニー(Sony)のイヌ型ロボット「AIBO(アイボ)」の「合同葬儀」が行われた。
ロボットが故障を人の死のように悼むというのは、まだ違和感があります。
しかしAIBOの葬儀を実際に目にすれば、AIBOやPALROのような人の心に寄り添うロボットが長期にわたり一般家庭で活躍するようになれば、人生が豊かになる一方でペットロスならぬロボットロスといえるような現象も起こり得るのでは、と感じます。
ヒューマノイドへの愛は奇跡か、あるいはもろ刃の剣か
PALROはAIBOよりも高性能で、より生活に密着した活用を目指しているヒューマノイドです。
現在、リハビリテーションやケアの品質向上に活用する取り組みが行政と連携してすすめられており、単なるコミュニケーションロボットというだけでなく、被介護者の転倒予防や運動能力向上に貢献することが期待されています。
さがみロボット産業特区の枠組みの中で、2014年度から神奈川県藤沢市内の地域在宅高齢者を対象とした「転倒予防・体力向上運動プログラム」の施行検証を行いました。
自律的に話しかけるPALROは、認知症の患者でも興味を持続する事ができるとのこと。単純に機械によって効率化するのではなく、孫のような存在感で被介護者の活力を引き出しています。
将来的には見守り機能も搭載される予定で、高齢者がひとりに1台ずつPALROのようなヒューマノイドを持てるようになれば、慢性的な人材不足に悩む介護現場の救世主的存在になるかもしれません。
人に愛されるヒューマノイドには、人生を豊かにして健康寿命を延ばす可能性が秘められています。
また一方で、AIBOのように生産が中止されたり、ちょっとしたアクシデントでロボットが壊れてしまった場合に、その喪失感やショックはAIBO以上になるlことも考えれます。
ヒューマノイドが家庭の中で活躍し、人生を豊かにしてくれるような未来では、彼らを末永くメンテナンスしてくれる企業や人材への需要も高まっていくことでしょう。