家族を、社会を、街をつなぐ。“かけはし”となるテクノロジー
2017.01.01 |- WRITER:
- あずさゆみ
あけましておめでとうございます。
ロボットノートは、本年も「わくわくする」ロボットの話題を張り切ってお届けしてまいります。どうぞよろしくお願いもうしあげます。
2017年最初のテーマは、“かけはし”ロボットです。
“かけはし”と聞いて、思い浮かべるものはなんでしょうか? 大辞林第3版では、 “かけはし”は以下のように定義されています。
① 険しいがけ沿いに木や藤づるなどで棚のように設けた道。桟道。 「木曽の――」
② 谷や川などにかけ渡した仮の橋。
③ 双方の関係を取り持つこと。また、その人や物。なかだち。橋わたし。 「日中友好の――」
④ はしご。階段。
まずご紹介するのは、家族のあいだを取り持ってくれるロボットです。
TAPIA
丸っこくてかわいらしいフォルムのTAPIAは、簡単操作の「みまもりロボット」。離れて暮す家族を電話(テレビ電話)でつないでくれるほか、ニュースや天気予報を教えてくれたり、IoT機器を操作したり、買い物を手伝ってくれたりと、日々の生活をサポートするロボットです。
一定時間TAPIAとやり取りがない場合に家族のスマートフォンにメッセージを入れてくれる機能も、心強いですね。
指伝話(ゆびでんわ)
有限会社オフィス結アジアが開発した指伝話は、失語症の方のコミュニケーションをサポートするアプリ(iOS、アンドロイド)として知られています。福祉にITとデザインを融合させたという点でも、注目されました。
あらかじめ設定しておいた文を話してくれるほか、その場で伝えたい内容を入力して音声出力することもできます。
この指伝話、はじめから失語症の方のコミュニケーションツールとして開発されたわけではありませんでした。
もともとのきっかけは、電車内でかかってきた電話に応答したいと感じたことだった、と語る開発者の高橋さん。業務用、医師用などと限定せず、「アプリの余白」を大切にすることでユーザーごとにさまざまな使い方ができるようになった、懐の深いアプリなのですね。
◇架橋ロボットby MX3D
最後にご紹介するのは、オランダ発の架橋ロボットです。比喩ではなく、文字どおり橋を架けてくれます。
この架橋ロボットは、自動車の組み立てラインで使われているロボットに溶接ユニットを装着したもの。金属を3Dプリントしながら、橋を架けていくそうです。
このロボット、自分で造った橋を渡りながら先を造るので、これまで以上に長い橋が造れるのも強みです。デザインもなかなか洒落ていて、運河の街アムステルダムの街並みに違和感なく溶けこんでいますね。
“橋”は“端”と同義で、端と端、すなわち離れたところに掛けわたすものを橋と呼ぶそうです。橋(はし)も梯子(はしご)も階(きざはし)も、離れた場所をつなぐのでこの名があるのだとか。
離れた家族をつなぐロボットも、コミュニケーションの障壁を越える手助けをするテクノロジーも、人と人を結ぶ橋といえるでしょう。人と人、物と物、そして人と物。今年も、さまざま“橋”をご紹介していきたいと思っています。
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