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日本近海の海底資源探査も視野に? ロシアの海中ドローン開発

2016.12.07  | 
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irbis
 

「水面下」の技術開発競争

『ワシントン・ポスト』紙が、アメリカ国防総省海中ロボットを配備しようと努めている、と報じています。このところロシア中国潜水艦艦隊への投資が増えており、アメリカのこの分野での優位性を保つためには、ロボット自律的システムのような最先端の技術を活用すべきだというのです。

 

海中のドローン」・自律型無人潜水機用に「アイゼンハワー・ハイウェイ・ネットワーク」を整えよう、という構想もあるとか。「アイゼンハワー・ハイウェイ・ネットワーク」というのは、全米に張り巡らされた州間高速道路網の通称です。アイゼンハワー大統領が強力に推進して整備されたことから、この名があります。それと同じように、自律型無人潜水機が立ち寄って充電・補給のできる拠点を世界中の海に作り、その間を自律型無人潜水機が潜航したままハイウェイのように行き来できるようにしようという、なんとも壮大な構想です。トランプ次期大統領の政策がいまのところ不明なので、ただのアイディアで終わってしまうかもしれませんが、最近の各国の「水面下」の技術開発にアメリカが気に留めているのは確かです。

UUV エコー・ボイジャー

ボーイングの無人潜水機 エコー・ボイジャー 全長51フィート(約15m)の大型UUV。ディーゼルエンジンと蓄電池のハイブリット方式で補給なしに数カ月間の航行が可能だという(写真はボーイング社のサイトより)

しかしながら、予算を確保するために他国の脅威を大げさに言うのは、いつの時代でもどこの国でもよくある話です。中国の南シナ海での活発な活動は広く報じられていますが、ロシアも潜水艦や海中ロボットの開発に力を入れているのでしょうか。

自律型無人潜水機クラヴェシン-R1

日本海を挟んだ新潟の対岸、札幌とほぼ同緯度のロシア沿海地方ウラジオストクにあるロシア科学アカデミー極東支部・海洋技術問題研究所では、クラヴェシン-R1という自律型無人潜水機が研究開発されていました。全長5.8m、直径0.9mの円筒形で空気中での重さは2.5t。6000mの深海まで潜ることができます。四基の電動モーターでスクリューを回転させ、2.9ノットで航行できます。支援船との通信にはケーブルを使っていますが、クジラやイルカのように音で通信を行う音響通信装置での交信も可能です。

 

クラヴェシン-1Rは、2005年から2006年にかけて日本海千島・カムチャツカ海溝で、2007年には北極海の大陸棚でテストが行われていました。その後、オホーツク海に沈んだ放射性同位体の捜索や、間宮海峡に事故で沈んだ軍用機の捜索なども行っています。
2013~2015年には、ウラジオストクのピョートル大帝湾水域の探査を行っています。

クラヴェシン-1R

自律型無人潜水機クラヴェシン-1R ロシアの前庭・海表面を氷に覆われる北極海での探査に用いるのなら、自分で周囲の状況が判断できる海中ロボットが不可欠(写真はロシア科学アカデミー極東支部海洋技術問題研究所のサイトより)

2009年からは、現在建造されている三艘のクラヴェシン-1Rすべてがロシア海軍に所属し、その地方守備兵団に使用されています。

海底資源を探査する? クラヴェシン-2R-PM

クラヴェシン-1Rでの研究成果を受け、2009年からサンクトペテルブルグ市にあるルビーン海洋工学中央設計局で新たな自律型無人潜水機の建造が始まっています。

現在、クラヴェシン-1Rよりやや大型(全長6.5m、直径1m、空気中での重さ3.7t)のクラヴェシン-2R-PMが建造され、サンクトペテルブルグ近海でテストが行われています。今後、黒海に場所を移し、クリミア半島近海でのテストが計画されているとのことです。

 

ルビーン社長イーゴリ・ヴィリニト氏が『防衛産業クーリエ』紙に語ったところでは、海底資源の探査や石油ガス関連の施設の点検などの用途で石油ガス関連会社の需要が見込まれるとのこと。

もちろん、機雷を探して取り除く作業、あるいはその逆の機雷敷設作業や、海中をパトロ-ルして他国の潜水艦を監視するなどの用途で軍事目的にも使えそうです。しかし、航続距離が限られる電池を動力源にしているクラヴェシン-2R-PMの目指す方向性は、例えば、長期間潜航が可能なボーイング社のエコー・ボイジャーとは違うようにも思えます。

 

とはいえ、海底資源開発競争が争奪戦と呼べるような激しいものだとするなら、クラヴェシン-2R-PMは、まさに戦いの最前線に投入されようとしている、とも言えそうです。

サハリン2 ルンスカヤA

サハリン2の海上耐氷プラットフォーム・ルンスカヤA ルビーンは原子力潜水艦のメーカーとして有名ですが、日本にも関わりの深いサハリン1やサハリン2の耐氷プラットフォームの建設にも関わっています(写真はルビーン社のサイトより)

 

ソース・画像:『ワシントンポスト』紙ボーイング社ロシア科学アカデミー極東支部海洋技術問題研究所ルビーン海洋工学中央設計局『軍事産業クーリエ』紙

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