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カメラロボットを覚えてる?カメラ自動化の歴史にAIの未来を見る

2016.12.02  | 
WRITER:
irbis
 

(カメラロボット)キヤノンA1

(カメラロボット)というふうに、広告ではカッコ書きにされていましたね。1978年に発売されたプログラムAE(自動露出)搭載の一眼レフカメラ・キャノンA1

キャノンA1の取扱説明書

キャノンA1の取扱説明書

このカメラのCMはよほど印象的だったのか、「スターウォーズ風のCMだった」と、当時の思い出をブログに書いている写真愛好家が何人かいたので、どんなのだろうとYouTubeを検索してみたものの、見つけることはできませんでした。

 

CMはともかくとして、当時、露出は撮影者が自分で測ってシャッタースピードと絞りの組み合わせを決めるのが当たり前でしたから、それをカメラが判断して最適な組み合わせを決定してくれる、それも一瞬で、というのは衝撃的でした。

 

当時の広告の「マイコン搭載」という言葉や、そもそもカメラが「考えて」自動的にカメラのしくみを動かすという様子を「ロボット」と表現すること自体に時代を感じます。今だったら、こういうモノに対しては「AI搭載」と宣伝するかもしれませんね。

写真表現の根幹をカメラが決める

写真を撮るとき最も重要なのは、被写体にどれぐらいの量の光が当たっているかですが、それを数値化したものが露出(Exposure)です。

銀塩カメラだとフィルムは一カットごとに変えることはできないので、撮影時にカメラを操作して絞り値シャッタースピードの二つを調節し、適当な量の光を感光剤に当てなければなりません。多すぎると真っ白、少なすぎると真っ黒になってしまいます。

 

光の量が同じ時、シャッタースピードを早くしたいなら、絞りを大きく開けて一回に入る光の量を多くしなければなりません。逆に、絞りを絞って一回に入る光の量を少なくするなら、シャッタースピードを遅くして長い時間光が射しているようにしなければなりません。

シャッタースピードと絞りの関係

シャッタースピードと絞りについてのざっくりした説明

A1以前にも、絞り優先AEの一眼レフカメラはありました。絞り優先AEというのは、人間側が絞りを決めておいて、シャッターを切るたびにカメラが露出計で測った露出値に従ってシャッタースピードを変えるものです。
シャッター優先AEというのは、その逆でシャッタースピードを固定しておいて、カメラが自動的に絞りを調節するものです。絞りを絞る機構はレンズ側にあるので、レンズを任意に取り替えられる一眼レフでは機構が複雑になるために絞り優先AEより登場は遅かったのですが、やはりA1以前にも存在しました。

絞ったときと開放の時

しくみは人間の瞳孔と同じで、明るいときは絞って光の入ってくる量を抑える

シャッタースピードか絞り値、どちらか一方が固定してあれば、もう一方の値は一つしか出てきません。そこで何か考えたり判断したりする必要はなかったので、カメラはただ機械的に動けばよかったのです。
しかし、人間がそのどちらも決めずに、すべてカメラ任せで最適な絞りとシャッタースピードの組み合わせをカメラが「考える」となると、そこにプログラムが必要となるわけです。
ただ、その組み合わせは、人間が手動で撮影するときも選択するであろう組み合わせで無難ではありますが、その反面、ありきたりでもあります。

プログラムAEの歴史はAIの未来を見るよう

今ではどんなカメラにも自動露出のプログラムが組み込まれていて、カメラのシャッターを押すとき露出のことを考えている人は少ないでしょう。誰でも失敗することなく、適正露出で撮れるようになった反面、誰が撮っても同じような表現に撮れるとも言えます。
撮影者に何か表現したいものがあるときは、シャッタースピードや絞りの意味を理解し、確信を持って選択しなければなりません。

 

こうしてかつては職人技でしか対応できなかった事が、普通の人が普通にできるようになりました。カメラマンはただの技師ではなく、感性をより的確に表現することが求められるようになったのではないでしょうか。AIが普及するこれからについても、人間は同じような対応を求められていくのかもしれません。

現在のAIは過去の膨大なデータを利用して適切な対応を学んでいくことができますし、作業手順が決まっていることは人間より余程きちんと覚えているでしょう。マニュアル通りの接客なら、すぐにもできそうな勢いです。

 

だとしたら。マニュアル通りの仕事が無難にできるだけの人間は、すべてAIに置き換え可能だということです。その時期が10年後か100年後かはわかりませんが、人間はAIにできない人間らしい働き方を探し求めていかなければならないのかもしれませんね。

 

ソース:写真工業1979年1月号、キヤノン・カメラ製品館、写真は筆者撮影

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