RN 002899

アニメとテクノロジーが日本の未来を作る! 「ロボットができること」イベントレポート・前編

2016.10.31  | 
WRITER:
あずさゆみ
 

日本一大きな文化祭「マジカル福島2016」のプレイベントとして、10月30日(日)に開催されたシンポジウム「ロボットができること ~今とこれから~」を2回に分けてレポートします!

ふたつのパートで構成されたシンポジウムのパート1は、数々のレスキューロボットを開発してきたロボット研究者とコンテンツ産業を牽引するアニメ制作者の座談会です。テーマは「災害支援、産業用ロボットについて」。ロボット研究者×アニメ制作者=リアルワールドとコンテンツを代表する実にホットな顔ぶれで、レスキューロボットの今とこれからについて、とても興味深いお話を聞くことができました。
このシンポジウムの様子は、ニコニコ動画によって生中継されました。プレミアム会員の方はタイムシフトで視聴することができますので、チェックしてみてくださいね。

マジカル福島2016

このシンポジウムは、「マジカル福島2016」のプレイベントとして開催されたもの。まずは、マジカル福島2016について簡単にご紹介しましょう。

logo
マジカル福島2016は、11月3日(木)から11月6日(日)にかけて福島県の各地で開催される「日本一大きい文化祭」です。
この文化祭を主催するのは、福島県から世界に向けてアニメ文化を発信中の株式会社福島ガイナックス。雇用創出と観光拠点の開発を通して震災の復興に協力すべく、福島発のオリジナルアニメを制作しています。

期間中は福島ガイナックスが制作しているアニメ『レスキューアカデミア』の制作発表会&声優トークショーのほか、AR/VRやロボット操作を体験できるイベント、ドローンの操縦体験やミニレースが開催されるほか、福島の伝統工芸やご当地グルメを紹介するコーナーが設けられているそう。規模(会場面積5,664平方キロ!)が大きいのはもちろん、内容も盛りだくさんで、まさに「本気で遊ぶ、本気の文化祭」なんですね。

マジカル福島2016については、公式サイトをご覧ください。

イノベーション・コースト構想

レスキューをテーマにしたアニメの制作者と、リアルにレスキューロボットを開発している研究者との座談会は、この文化祭の開催地である福島にもっともふさわしく、もっとも旬の話題といえます。
というのも、震災からの復興を目指している福島では、ロボットなど先端技術の研究拠点を集積するイノベーション・コースト構想が進行中なんです。

福島・国際研究産業都市構想、通称イノベーション・コースト構想とは、東日本大震災でとりわけ大きな被害を受けた福島県の浜通りの産業と雇用を回復するため、ロボットやエネルギー関連(廃炉技術)の産業を集積し、先端技術の研究を推進しようというもの。
この地には現在「ロボットテストフィールド」が整備中で、来年度にはドローンによるラストワンマイル配送の実証実験がおこなわれることになっています。そしてこのロボットテストフィールド(ロボテス)は、『レスキューアカデミア』制作発表会やドローンレースの会場としても使用されます。
福島の復興を知るうえでも、ロボット研究の今を知るうえでも、マジカル福島2016はまたとない機会なんですね。

リアルな災害対応ロボットたち

さて、パート1のテーマは「災害支援、産業用ロボットについて」、登壇者は以下の方々です。

古田氏(左)、山川氏(右)

古田氏(左) 山川氏(右)

左から順に、

・古田貴之氏:千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長

・山川宏氏:早稲田大学教授、早稲田大学次世代ロボット研究機構 機構長

吉田氏(左)、浅尾氏(右)

吉田氏(左) 浅尾氏(右)

同じく左から、

・吉田徹氏:アニメーター、メカニックデザイナー、アニメ監督、アニメーション演出家

・浅尾芳宣氏:株式会社福島ガイナックス代表取締役社長、プロデューサー・監督

 

座談会は、ロボット研究者おふたりがこれまでに開発されたロボットの紹介からはじまりました。特に印象に残ったものをお見せしましょう。

まずは早稲田大学次世代ロボット研究機構が開発した災害対応ロボット、オクトパスです。

オクトパスの由来は4本の腕と4輪のクローラから。複雑な地形の災害現場で人命救助や瓦礫の除去に従事します。

お次は環境測定ロボット、WAMOT。温度や湿度のほか、放射線などを測定します。

楕円形の車輪を持ち、高い走破性を持つWAMOT、草地、砂地、雪上、水中などの移動が可能で、実際にトンネルの崩落現場の調査に使われたそうです。楕円形の車輪によって車体が上下するユニークな挙動に、コンテンツ制作者のおふたりは興味津々! ひょっとしたら、制作中のアニメに登場するかもしれませんよ。

 

続いて、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(FuRo)のロボット、Halluc IIχです。

8本の脚それぞれがロボットで、互いに通信し協調して動きます。

Halluc IIχで培った技術を元に開発された、福島原発の1階から5階まで走破できる世界で唯一のロボットが、こちらのQuince。

熊本の地震で大きな被害を受けた宇土市の市庁舎も、Quinceが内部をスキャンして立体画像を作成し、それを元に解体計画を立てたそうです。

バーチャルとリアルが影響を与えあう!

座談会で感じたのは、テクノロジーとコンテンツの親和性の高さでした。

イノベーション・コースト構想をコンテンツ化、エンタテインメント化したい。(浅尾さん)

こう語ったのは、福島ガイナックスの浅尾さん。浜通りを盛り立てていくうえで、イノベーション・コースト構想を広く知らしめて関心を集め、新たな支援を呼びこむことが不可欠だとお考えなんですね。

福島の浜通りの産業復興に、エンタテインメントが果たす役割に期待したい。コンテンツから学ぶことが、たくさん出てくると思います。(山川先生)

山川先生も、若い人を福島に呼び戻すためにはメディアの力が大きいと考えているそう。
フィクションの世界で描かれたものが現実に、SFのアイディアが形になるということも、実際に起こっています。たとえば、アーサー・C・クラークの短編『サンジャマー(Sunjammer)』に登場するソーラー・セイル(太陽光を受けて宇宙を推進する帆)は、JAXAが実現しているんですね。

コンテンツの方には、思いきり大ボラを吹いてほしい。そして、理屈をこねるのが得意な研究者に理屈付けを手伝わせるのもありだと思います。(古田先生)

そう語る古田先生は、超人的機動性能を持つヒューマノイド、V-MAXシステム(未発表)を開発しているとのことなのですが……。

V-MAXは32年前にレイズナーで描いてますよ!(吉田さん)
いやいやいや、レイズナーが好きでV-MAXを作ったんです!(古田先生)

なんと! 30年以上も前のコンテンツにインスパイアされて、それを実現してしまったとは!

アニメの力恐るべしですよ。鉄腕アトムや機動戦士ガンダムが、どれだけ多くの研究者を作ったかというのは、ある意味、未来を作ったということですからね。(古田先生)

その台詞を地でいく古田先生ですから、言葉にも重みがあります。研究者にならないまでも、理系離れを食い止める、テクノロジーに興味を抱かせるきっかけとして、アニメが果たしていく役割は大きいのではないでしょうか。

技術を知る機会、研究者と交流する機会を増やしていくと、相互刺激になりますね。(浅尾さん)

テクノロジーを知らずにコンテンツを作るのではなく、知ったうえで敢えてセオリーを無視してみる。知ると知らないとでは大違いですから。(吉田さん)

コンテンツ制作者のおふたりも、テクノロジーをもっと学びたい、刺激を受けたいと強く思っていらっしゃるご様子でした。フィクションでも、知識に基づいて(そこから想像を膨らませて)描かれたものは、説得力がありますよね。吉田さんは逆に、大学の先生からロボットのデザインについて助言を求められることもあるそうです。

もっと関係を密にしたら、もっとおもしろいものが生まれるのかな。(古田先生)

きっとそうでしょう。テクノロジーに影響を受けたよりリアルなコンテンツを、わたしたちは見たいと考えます。そしてコンテンツは、現役の研究者だけでなく、未来のロボット・クリエイターたちをインスパイアするのですね。
この座談会のような機会を増やして互いに刺激を受けたいというのは、登壇者全員に共通する思いだったようです。
コンテンツとテクノロジー、1+1を3以上にして福島を盛りあげる。アニメを通して、福島、そして日本が元気になっていくといいですね。

まとめ

コンテンツとテクノロジーが互いにインスパイアしあって日本を盛りあげていくというお話、両者の距離が思った以上に近く、深い関係にあることに気づかされました。
クールジャパンの両輪ともいえるテクノロジーとコンテンツの最先端に触れることができるこのマジカル福島2016、期待が高まりますね。なお、11月6日(日)のイベントは、「ニコニコ生放送」で見られるそうです。こちらも要チェックです!

 

《画像ソース》
マジカル福島2016

早稲田大学

ニコニコ動画

 

前の記事に戻る
thank you

この記事に関連するタグ

広告主募集
Sabeevo
上に戻る