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無人トラクター、イチゴ収穫ロボ・・・農林水産業にロボット登場

2016.02.02  | 
WRITER:
石井妙子
 

高齢化が進む農林水産業界。人手不足を解決して生産性を上げていくため、ロボットの活躍が期待されている。

農林水産業と工業を連携させて新たなイノベーション創出を目指す「地方創生農林水産業ロボット推進協議会(以下協議会)」が、2015年12月2〜5日、東京ビッグサイトで行われた「2015国際ロボット展」に出展。日刊工業新聞がその展示ブースの様子をレポートしている。

「2015国際ロボット展」の地方創生農林水産業ロボット推進協議会による展示ブース

「2015国際ロボット展」の地方創生農林水産業ロボット推進協議会による展示ブース

ブースでは各社のロボットを展示し、デモンストレーションを実施した。なかでも注目のロボットを紹介しよう。

ヤンマーのかっこいいトラクター「YT5113」

ヤンマーのトラクター「YT5113」

ヤンマーのトラクター「YT5113」

ヤンマーのトラクター「YT5113」は、メタリックな赤が「かっこいい」の一言。ヤンマーホールディングス取締役で工業デザイナー(日本で初めてフェラーリをデザインした人である)の奥山清行氏が、最先端のテクノロジーと最先端のデザインをカタチにした。デザインや使い勝手の良さはもちろん、数年後をめどに自動運転機能を装備したロボットトラクターとして活躍する予定だ。

全地球航法衛星システム(GNSS)と各種センサー、通信技術を使い、農地の作業を複数台で行う。「無人で作業を行うトラクター」を「有人で作業を行うトラクター」が見守りながら協調作業を行い、耕うんや作付けなどの作業を同時にすることで、作業効率を高めようとするものだ。

開発者によれば、今後はトラクターだけでなくコンバインや田植え機のロボット化も目指すとのこと。飛行ロボット(ドローン)により農地の状況を詳細に把握し、さらに効率的な作業につなげることも視野に入れて研究を行うという。

クボタの楽ちんアシストスーツ「ラクベスト」

クボタのアシストスーツ「ラクベスト」の実演風景

クボタのアシストスーツ「ラクベスト」の実演風景

クボタが出展したアシストスーツ「ラクベスト」は、ブドウの管理作業など、腕を上げ続ける作業をサポートする。ロボット技術ながらモーターや複雑な機能を極力排除し、重さを約3.9kgに抑えた。高齢者が一人でも気軽に装着しやすいこととコスト低減を両立させ、今の形に落ち着いたそうだ。

写真の実演風景を見ると分かるように、ブドウやナシは「棚仕立て」と呼ばれる藤棚のような樹形での栽培が一般的だ。作業者が棚の下に立ち、上を向いて手入れや収穫などを行うのだが、とにかく体への負担が大きく肩や腕が疲れやすいため、特に高齢者にとって作業は過酷になる。

その姿勢をアシストするのがこのスーツ。細かい工夫も多く、例えばスイッチの位置一つとっても腕を伸ばさずに操作できるため、棚下に上腕がぶつからない。また、腕を上げているときだけサポートする構造のため腕の上げ下げもしやすい。上向きで作業する工場作業などでも応用が期待できそうだ。

井関農機のスマート田植機

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前輪付近の土壌診断センサーが作土の深さとSFV(土壌肥沃度)を瞬時に検知

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読み取ったデータは田植え機後部のコントローラーに送られ、田植え作業と同時に施肥量をリアルタイムで制御する

荒川区の井関農機は、石川県農林総合研究センターと共同で開発した可変施肥田植機(スマート田植機)を出展した。土壌センサーなどを活用して、地力や作土の深さが場所によって違うほ場にまく肥料(施肥)を適正な量に自動制御する。農機メーカー各社が取り組む、農機と情報通信技術(ICT)の融合を実現する技術として注目される。

稲作では施肥量が多すぎると育った稲が倒れてしまう恐れがあり、コメの味や品質、収穫量に悪影響が出る。可変施肥田植機は、前輪付近に備えたセンサーと車輪内輪の電極を使い、田植えを行う水田の土の深さや土壌肥沃度を瞬時に測定。その情報をもとに施肥量をリアルタイムでコントロールしながら田植えができる。発売は2016年を予定しているそうだ。

はたらくロボット社の自立移動台車ロボット

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収穫作業時に人と連動して走行する。写真のような不整地でも対応!

ロボット技術を使って農業の苦労を減らすことを目指すベンチャー企業、その名も「はたらくロボット社」。今回の国際ロボット展では、独自の自律移動台車ロボットを披露した。

このロボットは、主にビニールハウスでの利用を想定している。収穫作業の際、収穫者と一定の距離を保ちながら自動追尾するため、収穫者は台車を操作せずに収穫物を載せられる。満載になると、マーカーで位置を認識しつつ自動で集荷場所に移動し、また収穫者の近くに戻ってくるといった動きがなんとも健気で「猫の手」、いや「孫の手」のよう。パワーアシスト付きの手押し車として使うことも可能で、現在は重さ70kgの荷物を搬送できる。

同社はこの技術を、収穫物の運搬だけでなく見回りや自動収穫にも応用したいそう。さらにロボットに搭載したセンサーからの情報で、本格的な営農支援を行う技術も開発していきたいという。

信州大学ほかの「ホウレンソウ自動収穫装置」

信州大学工学部、カイシン工業(長野市)、西澤電機計器製作所(長野県坂城町)などが共同で、ホウレンソウ自動収穫装置を開発。ホウレンソウのように柔らかく手作業でも傷つきやすい「軟弱野菜」は、自動収穫が難しい。そこで、信州大などは独自の「受動的ハンドリング技術」を開発。地表面位置を正確に把握しつつ、根を切る刃の高さや角度を的確に計算して自動制御し、適切に収穫できるようにした。地中に石があっても対応可能だ。

根を切り取り、本体に備えてあるコンテナにホウレンソウを入れていく過程では、握らず、挟まず、傷つけずに収穫できる。従来は手作業だったこの作業、自動収穫技術の貢献度は高い。商品化は2017年度内を目指している。

宇都宮大学のいちご収穫ロボ

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一般的な栽培棚の間隔に合うようロボット本体の幅は70cmに抑えている

宇都宮大学工学部は、地元の名産品であるいちごの収穫ロボットシステムを開発している。自律走行可能で、収穫から専用カプセルへの投入、サイズ分けまで自動化している。

これまで、完熟状態のいちごはほとんど流通することがなく、海外出荷に至ってはほぼ不可能とされていた。果実に少し触れるだけで、傷みが進んでしまうためだ。これを避けるため宇都宮大学農学部と共同開発したのが専用カプセル。収穫の際はまずロボットが茎を切り実を取るのだが、ここで実側に少し茎を残しておき、専用カプセル底部に茎をかませる仕組みだ。カプセルも独自の工夫を施したもので、カプセルが倒れてもいちごがカプセル内部に触れることがない。

イチゴの選定もカメラで行い、画像処理で明度と色分布を解析してイチゴの色を正確に抽出することで、熟しているものだけを収穫できるという。この技術を使えば、海外での高級品として新規市場を開拓することも夢ではない。

いかがだろうか?

大規模農場だけでなく、高齢化が進む地域でも農林水産業分野へのロボット進出は朗報となるだろう。ぜひ、さらなる発展と実用化に期待したい。

 

ソース・画像:日刊工業新聞井関農機公式サイトはたらくロボット会社公式サイト車選び.com

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