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サイバスロン――外骨格やBCIを用いた障がい者のスポーツ大会がスイスで開幕

2016.09.07  | 
WRITER:
あずさゆみ
 

世界じゅうを湧かせたオリンピックにつづいて、9月8日に開幕するリオデジャネイロ・パラリンピック。車椅子使用者によるアーチェリーの大会としてスタートしたパラリンピックは、徐々に競技種目と障がいのカテゴリーを増やし、世界最大の障がい者スポーツ大会となりました。そして、元々は「麻痺」を示すParalyzedとOlympicsが組みあわさってできたParalympicsという言葉も、「類似した」という意味のParallelとOlympicsを組みあわせた「もうひとつのオリンピック」という意味で使われるようになったのです。

 

パラリンピックで選手が使用する車椅子や義肢は、それぞれの競技に特化された高性能のもの。車椅子テニスには急発進や俊敏な動きに対応できるもの、車椅子ラグビーには強烈なタックルに耐えられる頑丈なもの、車椅子マラソンでは高速走行のために空気抵抗を低減したものが使われますが、いずれの場合も、それを動かすのは選手自身の力です。

 

リオデジャネイロ・パラリンピックと同じく9月8日にスイスのクローテンで開幕するサイバスロンは、障がい者のスポーツ大会という点では同じですが、パラリンピックとは決定的に異なる点があります。
それは、使われる車椅子や義肢に動力が使われていること。サイバスロン=Cybathlonとはサイバーアスロン=Cyber-Athlon、つまり電動車椅子や外骨格など補装具のテクノロジーと、それを使いこなす競技者の技術を競う大会なんですね。

サイバスロンの競技は現在6種目。ひとつずつ見ていきましょう。

 

1)Powered Leg Prosthesis Race=パワード義足レース
パワード義足部門では、動力付きの大腿義足を使って座位から立ちあがり、スロープや階段の上り下り、飛び石、平均台などのタスクをこなします。

一般的な義足では、膝下に筋肉の力を伝えることができません。しかし動力付きの義足は、使用者がどういう動きをしたいかをマシンが読み取れないと操作が困難ですし、バッテリー寿命が短く重量がかさむなど、実用化に向けた課題は多いようです。

 

2)Powered Arm Prosthesis Race=パワード義手レース
電動義手を使って重い物を運ぶ、また、ビンの蓋を開ける、洗濯ばさみを留めるといった細かい動きを競います。日常生活に関連した動作が課題として設定されているんですね。

 

3)Functional Electrical Stimulation (FES) Bike Race=FESバイクレース
脊髄損傷や脳卒中で神経伝達が絶たれてて動かせなくなった筋肉を、FES(機能的電気刺激)によってコントロールするバイク競技です。脳が発する電気信号を拾って筋肉を刺激することによって、直感的な操作が可能なのだとか。アスリートのコメントからも、ごく自然に乗りこなせていることが伝わってきます。ただし動力源は、自分の筋肉のみ。パイロットはスタミナをうまくコントロールしなくてはいけません。

 

4)Powered Wheelchair Race=パワード車椅子レース
階段を上ったり悪路を走行したりと、6種類のタスクを速く正確にクリアするレースです。電動車椅子はほかの補装具に比べて実用化が進んでいる分野ですが、安全性や快適性、操作性のさらなる向上を目指して課題が設定されているそうです。

 

5)Powered Exoskeleton Race=パワード外骨格レース
この競技でも、日常生活に関連した6種類のタスクをこなすスピードを競います。車椅子に代わる移動手段として期待される外骨格ですが、現在使われているものはバッテリーがわずか数時間しか保たないうえに、ほとんどの製品(マルチジョイント外骨格)が20キロ超という重さ。また、スロープや階段をうまくのぼれないなど、解決すべき課題は山積しています。

 

6)Brain-Computer Interface Race=BCIレース
四肢に麻痺のある「パイロット」が、ブレイン・コンピュータ・インターフェイスでアバターをコントロールして競うバーチャル・レースです。
障害物を飛びこえたり加速したりと、パイロットはうまく命令を使い分けなくてはいけません。

BCIは大がかりな仕組みが必要になるため、すぐに日常生活に応用できるというものではないようですが、考えるだけでものをコントロールできるシステムは将来的に使用者の行動範囲を大きく広げてくれそうです。

 

日本福祉車両未来研究会によると、日本にはおよそ358万人の在宅の身体障がい者がおり、そのうちの約181万人が肢体不自由者だそうです。サイバスロンのような大会で、誰もが直感的に使える補装具がより身近なものになるといいですね。

 

《画像ソース》
Cybathlon

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