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人工子宮で赤ちゃんの研究!? いえいえ……

2016.09.03  | 
WRITER:
あずさゆみ
 

The First Artificial Wombs: Researchers now grow human embryos in a laboratory to study pregnancy

この記事のFirst Artificial Wombs(初の人工子宮)という言葉とイラストに目を奪われ、「ええっ! 人工子宮で赤ちゃん? どこかの大富豪がクローン作っちゃったりするの!?」と仰天してしまったわけですが……。

落ち着け、自分。
ちゃんと記事を読めば胎児(fetus)ではなく胎芽(embryo)と書いてありますし、実験期間も倫理規定に抵触しない2週間限定とのこと。イラストにミスリードされてしまいました。この記事のソースであるロックフェラー大学のサイトには、受精後2週間(未満)の胎芽が載っていました。それが、こちら。

ちなみに、胎児(fetus)は妊娠3ヵ月目以降の状態を指します。そして妊娠期間は前の月経から起算するため、「できたかも?」と思ったときには少なくとも2ヵ月目に入っているわけ。今回の実験の受精後「2週間」は妊娠2ヵ月に入る直前までとなり、胎内であれば着床して胎盤形成が始まっているタイミングです。

受精卵の着床をもって妊娠となるわけですが、妊娠の確率って意外と低いんです。受精の確率は80~85パーセント、着床の確率は20~30パーセントといわれています。さらに、着床しても受精卵の成長が止まってしまうことも。妊娠に気づくこともなく流産(化学流産)に至るケースも少なくないんですね。

ロックフェラー大学の研究は、妊娠検査薬でも調べることができないごく初期の段階における受精卵の状態を調べるためのもの。臓器の元になる細胞が作られるのは受精の14日後ぐらいからなので、ヒトの胚を使う研究は14日未満という国際的ガイドライン(倫理規定)に即したものでした。

この研究によって、着床前後の胚の成長をつぶさに観察することができ、妊娠が継続できない原因について多くの知見が得られたそうです。それを元に、不妊治療が大きく前進するかもしれませんね。

また、胚は母胎からの情報がなくても成長をつづけることがわかりました。胚自体に「マニュアル」が備わっているんですね。ということは、母胎側になんらかの事情がある場合、人工子宮で対応することも、可能になるかもしれません。

ご存じのとおり、年齢があがるとともに妊娠の確率はさがっていきます。若いうちに卵子を採取して凍結したり、人工子宮を使って「妊娠」したりが当たり前のようにおこなわれる時代が、やってくるのでしょうか。

《画像ソース》
Rockefeller University

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