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ダラス警察、爆弾を積んだロボットで容疑者殺害 問われるロボット活用のあり方

2016.09.06  | 
WRITER:
石井妙子
 

2016年7月、アメリカ・テキサス州ダラスで起きた警官銃撃事件で、警察は爆弾ロボットを出動させ、犯人の1人を爆死させました。人種差別や銃規制と言った問題を改めて浮き彫りにしたこの事件ですが、殺傷能力を持つロボットの存在の是非についても議論を巻き起こしています。ダラス警察は容疑者をロボットに積んだ爆弾で殺害しましたが、一般市民向けにこうした措置を警察がとるのは初めてのことでした。

戦争と警察行為の境界線が問われる事態に

発表によると、ダラス警察は元陸軍予備役兵士の黒人マイカ・ジョンソン容疑者との銃撃戦の末、遠隔操作のロボットを送り込み自爆させています。ロボットはカメラや可動式の腕が付いた爆発物処理用とみられていますが、今回は爆弾をくくりつけて殺傷目的に転用したとのこと。

以下の動画は、2015年4月、米軍が爆弾処理ロボットに爆弾を装備して武器として使用する実験の様子です。

アメリカの複数のメディアによると、無人飛行機を使った爆撃など戦争時に軍隊がロボットに頼る例はあるものの、アメリカの警察が人を殺害することを目的にロボットを使ったのは初。警察のロボット利用を定めた明確なルールもないと見られており、ニューヨーク・タイムズは「戦争と警察行為の境界線があいまいになった」と指摘しています。

一方で、「カリフォルニア州戦術部隊員協会(California Association of Tactical Officers)」のシド・ヒール会長は、テクノロジーサイト『ARS TECHNICA』US版の取材に対し「米国内では前例がないことだが、想定されていなかったわけでもない」と語りました。ヒール会長は海兵隊勤務の後、ロサンゼルス郡保安局で地域管轄本部長を務めた人物です。

アリゾナ州ツーソン警察SWATチームと遠隔ロボット「Andros F6A」

アリゾナ州ツーソン警察SWATチームと遠隔ロボット「Andros F6A」

公権力がロボットを活用する是非とは

軍が使うようなロボットを地方の警察が保有していたことも衝撃を与えています。ダラス警察はアメリカの防衛大手、ノースロップ・グラマン社製の爆発物処理ロボットを少なくとも3台保有していたとされ、ウォール・ストリート・ジャーナルは「他の警察による乱用を引き起こす恐れがある」と警鐘を鳴らしました。

ダラス市警察のデヴィッド・ブラウン署長は、記者会見で次のように語っています。

我々は容疑者の一人を追い詰め、数時間に渡って交渉を試みた。だが交渉は決裂し、容疑者との銃撃戦となったため、ロボットの延長装置に爆弾を取り付け、容疑者がいるところでそれを爆発させる以外に選択肢はないと判断した。

こうしたロボットは決して安いものではありません。ヒール会長によると、最低でも1体およそ8万ドルはするとのことですが、同会長は「私であれば、部下が危険にさらされるよりは8万ドルを使う」と述べています。

世界でもロボット活用が進むアメリカ。既存の制度がカバーできていない先進技術を社会がどう受け入れるかという課題が浮き彫りになりました。今回のダラスでの事件も、警察など公権力によるロボット活用のあり方を巡る議論を促すきっかけになるでしょう。人工知能(AI)も含めて人々の生活に溶け込み始めた新技術は、産業界にとどまらず今や政治や社会の重大問題として考えていかなくてはなりません。

 

ソース・画像:日本経済新聞WIRED

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