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AIとロボットを活用しなければ14年後の雇用が735万人減!—経産省試算 

2016.07.30  | 
WRITER:
石井妙子
 

「人工知能(AI)やロボットなどの技術革新をうまく取り込まなければ、2030年度には日本で働く人が15年度より735万人減る」ーーー。

こんな試算が、2016年4月、経済産業省から発表されました。

 

経産省は「海外企業にビジネスの仕組み作りを握られることで日本企業の下請け化が進み、多くの仕事で賃金の低下が進む」と警鐘を鳴らしています。産業の新陳代謝を進めて新たな雇用が生まれれば雇用減少は161万人に抑えられるとし、日本企業に業界の枠を超えた産業再編や、企業の壁にとらわれない連携を促しています。

(それでも161万人も減ってしまうなんて衝撃的ですが、一方で労働力人口は2012年から2030年にかけて400万人以上減ると予測されています)

 

AIやロボットが就業構造に及ぼす影響を日本政府が試算したのは、実は初めてのこと。野村総研とオックスフォード大学がこれまで研究した結果をもとに職業の類型を9つに分け、今後15年間の従業者数の推移を予測しています。

 

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経産省の発表では「現状放置シナリオ」「変革シナリオ」の2パターンを提示。例えば高度なコンサルティングを伴う営業・販売職は、変革シナリオに基づくと2030年度までに114万人増えると予想しています。ビッグデータの活用によって、顧客の需要を把握したり新しいサービスを生み出したりといった技術が可能になり、これらを使いこなせる人がさらに求められる、との分析。技術がどんどん進化し、それを使いこなす人のスキルも向上し続けることで、全体の「できること」が広がっていく。理想的な変革ですね。

一方の「現状放置シナリオ」では、ビッグデータを生かした新たな顧客サービスの創出が進まないと、高度なコンサルティングを伴う営業・販売が今より広がることはなく、従業者数も62万人減ってしまうと予想しています(ここまで差が開くものとは!)。

 

やや不安になるのが、営業・販売職についての分析。スーパーのレジ係などロボットに取って代わられる可能性が高い「高代替確率」の仕事も分析し、これらの仕事は変革シナリオでも現状放置シナリオでも、実に60万人以上の減少が避けられないとしています。

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こうした試算を政府がまとめたのは、国内産業の将来を取り巻く不安が強まっているため。産業の構造が似ているドイツでは「第4次産業革命」ともいわれる技術革新が進められていますが、日本は特に大企業の動きが遅く、有望ベンチャーの台頭も限られているのが現実です。

先ほど紹介した「変革シナリオ」の前提として挙げられているのは、企業や系列を越えたビッグデータの共有、外国人就業者の活用、異なる業種同士の再編など、日本が遅れているテーマの数々。「痛みを伴う転換をするか、安定したジリ貧を取るか」と、シビアな変革を促しています。

 

「近い将来、AIやロボットに仕事を奪われる」という漠然とした不安は、多くの人が抱いているはず。国が数字を示したことでより具体的に考えられるようになり、道筋が少しだけクリアになったのではないでしょうか?

ソース・画像:経済産業省日本経済新聞

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