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最短30分でロボットが歩き出す!世界初「汎用型ロボットOS」を作ったアスラテックが見るロボットの未来とは?【2/2】

2016.08.03  | 
WRITER:
石井妙子
 
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ロボット開発を広く支援する

とはいえ「クライアントが最初から“V-Sidoを使いたい”と相談してくるケースは非常に進んだ段階で、正直まだ少ない」と羽田さん。アスラテックでは、それよりも前の段階のロボット開発支援やコンサルティング業務でも業界の未来を牽引しています。

ロボット開発で悩みを抱えている多くのケースは、比較的初期の段階です。「ハードウェアを作ったから動かしてほしい」というものもありますし、「こんなロボットを作りたい」「こんなソリューションにロボットを役立てたい」といった漠然とした依頼もあります。

それをどのように実用化できるか、といった点からコンサルティングに入る場合もありますし、V-Sidoを提案する場合もあります。アスラテックはハードウェアをビジネスとしていないため、メーカーのしがらみなく最適なパートナーを紹介し、開発チームを組織します。(羽田さん)

タカラトミーが2015年の東京おもちゃショーで展示した「バンブルビー・クオーター」にもV-Sidoが採用されています

タカラトミーが2015年の東京おもちゃショーで展示した「バンブルビー・クオーター」にもV-Sidoが採用されている

ロボットが多くの役割を担う未来が予想される現在、ロボットを業務に応用したり製品として展開したいと考える企業は多いでしょう。しかしそのハードルは、非常に高く感じられます。異業種であればなおさらのこと。

開発支援をさせていただいているクライアントの業種は、問い合わせだけの場合も含めると意外に広い。「この企業がロボットに興味を持つのか」と驚くこともしばしばありますね。メーカーがロボット開発を新規事業として捉え、ロボットを業務に使おうと考える場合もあれば、広報的に活用する企業もあります。

たとえば玩具メーカーのタカラトミーさんがトイショーで使う一点もののロボットについて、ロボットメーカーのBRAVE ROBOTICSさんと組んで開発支援を行ったこともありました。また弊社は、ロボットのエンタテインメント分野での活用を支援する「ロボドル」というプロジェクトに参画していますが、そのプロジェクトを通じて、乃木坂46のPVでロボットをダンスさせるシーンの撮影に協力したこともあります。多くの企業が少しでもロボットに参入しやすくなって裾野を広げるためにも、V-Sidoはもちろんさまざまなプロセスを提供できれば。

これまで世界中で、それこそアニメや映画なども含めて、ロボットにまつわる「コンセプト」は数え切れないほど作られてきました。技術も追いついてきた今、あとは作り手のモチベーションとV-Sidoさえあれば、なんでもできるのではないかとさえ思いますね。(羽田さん)

Pepperに対応する遠隔操縦システム

今年5月には、アスラテックと同じソフトバンクグループが展開するPepperに対応する初めての製品として、遠隔操縦システム「VRcon for Pepper」を開発しました。これは、スマートフォンやパソコンなどを使って、インターネット越しにPepperを遠隔操作するためのソフトウェアです。Pepperのカメラとマイクを使って、あたかもそこにいるかのように音や映像を感じることができ、さらにスマートフォンを使って話すと、Pepperの声や本人の声が再生されます。

VRcon for Pepperは単体で販売するアプリではなく、ソフトウェアコンポーネントとしてシステムインテグレータにライセンス提供する製品です。VRcon for Pepperの遠隔操作機能を組み込んだ個別アプリをシステムインテグレータが構築し、企業などに提供するビジネスを目指しているとのこと。

遠隔のコミュニケーション、たとえば海外のコールセンターから現地の言語で対応したりと、インバウンドへの利用も考えられます。Pepper以外にも、いろいろなロボットにも応用できます。

アスラテックは遠隔操縦技術は得意ですし、ロボットを動かすのであれば、まずPepperに応用することは欠かせないと考えました。(羽田さん)

VRconでは、V-Sidoのコア技術は直接的には使われていないのですが、VRconでPepperを動かすときの、自然に見える動作の生成などにV-Sidoのノウハウが生かされています。

ロボット=「アナザーオブミー」?

前述したように、ロボットの普及の一つの鍵は低コスト化。たとえばiOSがここまで広く普及したのも、iPhoneやMac Bookが安いことが大きな要因でした。

外出中に、自宅の冷蔵庫の中をロボットがチェックして『牛乳が足りないよ』って教えてくれたらいいな、というアイデアがあったとします。現時点では、そんな簡単な用途にロボットを使うなんてもったいない、と思いますよね。でもロボットの価格が安ければ、そんなアイデアも現実的なものになってきます。

冷蔵庫も然りですが、これまで人間が使っていた道具をロボットが変わって動かすためにはヒト型ロボットが効率的です。インターフェースが人間向けに作られているから、作り変える必要がない。

たとえばV-Sidoを採用していただいたロボットで、建設業を営む富士建さんの「DOKA ROBO」というものがあります。これはシャベルカーなどの重機を操縦するロボットですが、シャベルカー自体をロボット化して自動運転させるのではなく、ヒト型が人間のように乗って操縦する形をとっています。ヒト型なら大きさもコンパクトなので、ロボットだけを遠隔地に輸送することもできますよね。先ほどの冷蔵庫をチェックしてくれるロボットも、ヒト型にしておけば他の役割も兼ねられて、多目的なロボットになる可能性が高いんです。(羽田さん)

DOKA ROBOのロボット本体は容易に持ち運びができるサイズ。人間の代わりにロボットを乗せ、遠隔操作を実現できます

DOKA ROBOのロボット本体は容易に持ち運びができるサイズ。人間の代わりにロボットを乗せ、遠隔操作を実現できます

実は羽田さん、かつてソフトバンクで携帯電話の専門誌編集を手がけ、「日本一携帯電話に詳しい」と言われたほどの人物。目指すロボットのあり方は、どんなものなのでしょうか?

携帯電話には、単なる電子機器を超えた愛着や大切さを感じるんです。ある人はそれを「アナザーオブミー」と表現したのですが、要するに自分の分身、アバターですよね。これが本当の意味で実現できるというのは、ロボットの一つのゴールイメージだと思います。常に自分のこと一番に考えてくれる、大切な1台ですね。(羽田さん)

ロボットがすぐ近くにいて、暮らしをより豊かにしてくれる未来。コストや専門知識といったハードルを下げることで、新しい未来が見えてきそうです。

羽田卓生さん
1998年にソフトバンク入社後、メディアビジネスや通信ビジネスに主に従事。2013年のアスラテックの立ち上げ時より同社に参画。現在、事業開発部門の責任者を務める。任意団体ロボットパイオニアフォーラムジャパン代表幹事。ロボット業界の広範囲ネットワークと事例をもとにアドバイスを行う。
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