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バウムクーヘンを職人レベルに焼く「THEO」アバターで遠隔操作も!

2020.12.04  | 
WRITER:
haruka
 

食品製造の工場にロボットが導入され、工程の一部が自動化されています。これが今後、工場だけでなく私たちも普段行くようなお店で目にするようになりそうです。

お菓子メーカーのユーハイムは先日、バウムクーヘンに特化したAIオーブンを発表しました。

「職人のためのフードテック」

株式会社ユーハイムが開発したのは、世界初のバウムクーヘン専用AIオーブン『THEO(テオ)』

画像センサーを搭載し職人の技術を機械学習するというTHEOは、同社が2021年3月4日に名古屋・栄に開業する食の未来をテーマにした複合施設『BAUM HAUS(バウムハウス)』へ実装するといい、これに向けて年明けより実証実験を開始します。

 

公式プロフィールによると、THEOはドイツの職業学校に通う12歳の男の子で、ゲゼレ(製菓職人国家資格)取得を目指して研修中だとか。身長は130センチ、視力は10.0で高速伝送イメージセンサー(カメラ)を持っています。

THEOはバウムクーヘン1本を30分で焼き上げることができ、熟練職人が5~10回焼くのを見ればその職人の焼き方を学習できるんです!

職人が焼く生地の焼き具合を各層ごとに画像センサーで解析し、その技術をAIに機械学習させデータ化することで無人で職人と同等レベルのバウムクーヘンを焼くことができます。

 

THEO開発プロジェクトが始まったのは2015年のことで、南アフリカで出会ったスラム街の子どもたちにバウムクーヘンを届けたいという思いがあったといいます。加えて、ユーハイムの課題だった添加物を使わないお菓子作りを行うことも開発の後押しとなったようです。

 

同社は2020年3月、お菓子の加工材料から添加物を排除する「純正自然宣言」を行いました。一方で、生産性を高めるためには添加物のなかった頃の職人の技術の復活や継承、そして新たな職人の育成が欠かせないと考え、時間も手間もかかる過程のブレイクスルーとしてIoTやAIを活用しました。

 

THEOの学習に用いたのはユーハイムで40年以上勤務する熟練の職人の技術。職人たちは初めはAIを使うことに抵抗があったようですが、THEOを開発していく中で技術を見直すきっかけにもなったといいます。

 

THEOはアバターロボットを開発するavatarin株式会社と共同開発していて、遠隔操作可能なアバターが搭載されています。すでにユーハイムの2工場で遠隔操作の実験を行っているようです。

今後は菓子店間の遠隔操作や消費者によるアバターを通じた焼成体験などの実証実験を行うといい、ユーハイムは「従来の流通体系とは違うスタイルの販売ネットワークづくり、職人の技術継承、地位向上などを模索していきます」と述べています。

(出典:株式会社ユーハイム|THEO

「南アフリカにバウムクーヘンを届ける」から始まったTHEOですが、職人技の継承やレシピの著作権化などたくさんの″革命″が期待されているんですね。

 

また、THEOが実装される『BAUM HAUS』は、テクノロジーを用いながら新しい価値観にチャレンジできるオープンイノベーションの場を目指しており、1階にはTHEOが焼き上げたバウムクーヘンを販売するショップなどを併設するフードホール「BAUM HAUS EAT」、2階にはアバターロボットを常設したスペースのあるシェアオフィス「BAUM HAUS WORK」を展開します。

同施設には、ユーハイムが開設したフードテックに関わるスタートアップ企業をサポートする『FOODTECH INNOVATION CENTERも同居し、これと連携して他社のフードテック機器との共同開発や実証実験にも参加予定だそうです。

 

『FOODTECH INNOVATION CENTER』は、お菓子や飲食のBtoB市場においてフードテック機器やサービスを持つスタートアップ企業と洋菓子店やパートナー企業をマッチングしていく会員組織です。

ショールームを設け会員企業のフードテック機器やサービスの展示を常設し、ポップアップ店やフードトラックを活用して会員企業のBtoB市場への営業や販売の代行を請負います。

さらに、会員企業の上位サービスとして、国内外のトップパティシエなどとのコラボレーション企画やフードテック機器のアップデートなどの開発支援も行うとしています。

フードテック元年とも言われる2021年に、日本におけるバウムクーヘン生誕102年を迎え、ユーハイムは今まで以上に「純正自然」の菓子作りに邁進するために、「化学(添加物)の時代から、工学(IOTやAI)の時代へ」の変化を見据えて、「職人のためのフードテック」を掲げていきます。

 

(出典:株式会社ユーハイム|職人のためのフードテック 世界初のバウムクーヘン専用AIオーブン「THEO(テオ)」誕生

(出典:株式会社ユーハイム|THEO職人のためのフードテック 世界初のバウムクーヘン専用AIオーブン「THEO(テオ)」誕生食の未来をテーマにした「働く」と「食べる」の複合施設バウムハウス イート アンド ワーク2021年3月4日 名古屋・栄 にオープングローバルオープンイノベーションプログラム『Food Tech Studio – Bites!』に参画し、『FOODTECH INNOVATION CENTER』を開設します。『FOODTECH INNOVATION CENTER』12月1日よりフードテック関連スタートアップ企業の会員募集開始、MONOist|熟練職人の焼成技術を再現、ユーハイムが開発したバウムクーヘン用AIオーブン、Cnet Japan|バームクーヘンを焼く職人技を機械学習で再現–ユーハイム、専用オーブン「THEO」

 

バウムクーヘン作りに特化したロボットに続いて、パスタ作りに特化したロボットの開発も進んでいます!

パスタ調理を完全自動化

株式会社プロントコーポレーションは2020年12月2日、『カフェ&バー プロント』が提供するパスタ商品を自動で調理するロボットを導入した店舗を2021年に出店予定だと発表しました。

 

同社は、TechMagic株式会社とともに自動調理ロボットの研究開発を2018年から着手していました。持続可能な食インフラを創るために、外食産業の人手不足や人材育成問題等を解決し誰でも簡単に熟練の調理技術を再現できるロボットを製品化を計画しています。ロボットは現在、原理検証(PoC)が完了して店舗導入に向けた最終製品の開発中だそうです。

開発中の「パスタ調理ロボット」は、保存された麺や具材を注文に応じて自動で選ぶ→正確に供給する→茹で調理器や炒め調理器を独自開発したロボットアームにより協調という工程で、パスタ作りの一連を完全自動化します!

また、現在のオペレーションと同等のスピードで熟練の調理技術を再現できたり、作業に係る人数を1人単位で省人化し店舗の生産性を向上するといいます。

 

TechMagicは「2021年上半期には、誰でも簡単に熟練の調理技術を再現できるロボットがプロントコーポレーションの店舗に導入される予定です」と述べています。熟練スタッフが調理するのと変わらない美味しさのパスタを自動化して提供できるのは嬉しいですよね。

 

(出典:株式会社プロントコーポレーション|フードテックで美味しさを科学!プロントコーポレーション、TechMagic社とパスタ自動調理ロボットを共同開発 一連の調理工程を完全自動化し、熟練の調理技術をロボットで再現、TechMagic株式会社|フードテックで美味しさを科学!TechMagic(株) とプロントコーポレーション、店舗厨房内でパスタを自動調理するロボットを共同開発

 

テクノロジーを活用した熟練技術の継承では、AIでマグロ目利きをする『TUNA SCOPE』などがあります。テクノロジー×職人技術によって、マニュアル化しづらいことや職人の勘に頼っている部分も次の世代に継承できるようになっていますね。

 

食×テクノロジーの″フードテック″は、調理の自動化、代替肉など新たな食品の開発、農業など生産にAIを活用するといったように幅広い分野での課題解決に役立つことが期待されています。つい先日には「第1回フードテックジャパン」が開催され、国内でもフードテックに注目が集まっています。

2020年9月には、日本の食産業6社などが参画するオープンイノベーションプログラムがスタートしました!

Food Tech Studio – Bites!

2020年9月29日、シリコンバレーと東京に拠点を置くVCのスクラムベンチャーズが主催する『Food Tech Studio – Bites!』が始動しました。

発表時点で6社(不二製油グループ本社株式会社、日清食品ホールディングス株式会社、株式会社伊藤園、株式会社ユーハイム、株式会社ニチレイ、大塚ホールディングス株式会社)がパートナー企業として参画しています。

 

『Food Tech Studio – Bites!』は、各業界をリードするパートナー企業と世界中の最先端のスタートアップとともに、フードテックを活用した新たな「食」事業を共創するグローバル・オープンイノベーション・プログラムです。パートナー企業は、スクラムベンチャーズの起業精査により選ばれたフードテック関連のスタートアップと事業共創に取り組むといいます。

(『Food Tech Studio – Bites!』プログラムイメージ。出典:Scrum Ventures|日本の食産業を代表する6社と共に、グローバルのスタートアップと連携する、サスティナブルな事業共創プログラム『Food Tech Studio – Bites!』をスタート

『Food Tech Studio – Bites!』では、オープンイノベーションを通じて、新素材やIoT調理家電、食のパーソナライゼーションといった新サービスなど、テクノロジーを活用して食分野に新たな価値を創造します。さらにフードロスやプラスチックゴミといった社会課題の解決、環境保護のための植物性タンパクの進化等にも取り組んで参ります。

 

(出典:Scrum Ventures|日本の食産業を代表する6社と共に、グローバルのスタートアップと連携する、サスティナブルな事業共創プログラム『Food Tech Studio – Bites!』をスタート

スクラムベンチャーズによると、10年ほど前からアメリカを中心にIT関連の人材や資金がフード分野へ流れ込み始めたそうです。

2019年に代替肉・調理家電・デリバリーテクノロジーをはじめとする幅広いフードテック領域においてVCによる投資額が150億ドルに達し、世界的にフードテックが盛り上がっているといいます。

加えて、環境被害やフードロスなどの社会課題も背景にあり、日本でも喫緊の課題でテクノロジーを活用した解決への取り組みが求められているとしています。

 

そこで、日本の食産業を代表する6社とともに「産業や技術の視点に加え、生活者目線で価値の高いサービス及びアプリケーションを共創し、「食」を通じた持続可能な社会を実現する「新″食″産業」の創出」に取り組む考えです。

 

同プログラムでは「ウェルネス&ヘルス」「次世代食品&機能性食品」「サプライチェーン&物流」「自宅向け&消費者向け新技術」「サスティナビリティ」の5つの領域でスタートアップを募集しており、スケジュールによると11月末まで募集が行われたようです。今後の予定として12月から2021年1月まで選考、1月から3月までメンタリングや事業開発が行われます。

 

スクラムベンチャーズは「食にまつわる課題等を具体的に理解し、実証実験やPoCにとどまらない、将来の事業化と具体的なサービス・アプリケーションの社会実装に向けて取り組んでまいります」と述べています。食産業6社とスタートアップ企業の共創でどんなサービスが生まれるのか、これからの動きに注目ですね!

 

(出典:Scrum Ventures|日本の食産業を代表する6社と共に、グローバルのスタートアップと連携する、サスティナブルな事業共創プログラム『Food Tech Studio – Bites!』をスタート

 

工場で稼働するロボットをはじめ、飲食店で配膳を担うロボット、そしてTHEOやパスタ調理ロボットのようにお店で調理するロボットも登場しています。さまざまな企業がフードテックに取り組んでおり、テクノロジーの力で私たちの「食」に変化が訪れていると言えるでしょう。

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