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入力の反応速度は約0.02秒!人に最も近いロボットハンドを持つ「MELTANT」

2020.11.30  | 
WRITER:
haruka
 

ロボットハンドは指先を使うような細かい動きが苦手と思われがちです。

今回注目したのは、そんな細かい動きも実現する、人間の手の動きをそのまま再現したように動くロボットハンドを持つアバターロボットです!「手」を徹底的に研究したその動きはとても繊細でした。

″サイボーグ技術″実現を目指すメルティンMMI

株式会社メルティンMMIは「サイボーグ技術によって身体による限界を取り払い、誰もが自分自身に合った活躍ができる世界を創ること」をビジョンに掲げ、生体信号を利用した医療機器やアバターロボットなどの研究開発・事業化を行っています。

 

同社は身体の動作を忠実に解析する「生体信号処理技術と、生体模倣から着想を得た「ロボット機構制御技術という2つのコア技術を持ち、研究開発や事業を通してコア技術を高度に発展させ、義体やBMI(Brain Machine Interface)に代表されるサイボーグ技術の実現を目指しています。

我々はどこから来たのか、そしてどこへ向かうのか―?
人間は進化できる。限界を突破し、今までにない創造性を手に入れることができる。
私たちMELTINはそう信じています。
MELTINが目指すのは、サイボーグ技術によって身体と機械が溶け合い、
人間の「創造性」が無限に発揮される未来です。

 

(出典:株式会社メルティンMMI|VISION

(出典:MELTIN MMI YouTube公式チャンネル

(出典:株式会社メルティンMMI|VISION世界初のパワフルかつ器用な手を持つアバターロボット「MELTANT-α」を発表MELTINがアバターロボット実証試験機「MELTANT-β」を発表

なめらかに動く手をもつアバターロボット

2018年3月、コア技術を活かした独自開発のアバターロボットのコンセプトモデル『MELTANT-α(メルタント・アルファ)』を発表しました。

このアバターロボットは、生体模倣により力強さと器用さを兼ね備えた″人に最も近い手の動作が可能″な世界初のロボットハンドを実現しています!

ロボットハンドの構造は、人間の身体の中でも特に筋肉と腱の構造を徹底的にリサーチしたそうです。

人の手は、複数の筋肉群が複数の関節を動かすことによって動作します。MELTINはこの人の手の複雑な動作をワイヤー駆動によって再現し、従来のロボットでは考えられない力強く繊細な動きが、人の手と同等のサイズ・重量で可能になりました。

 

(出典:株式会社メルティンMMI|世界初のパワフルかつ器用な手を持つアバターロボット「MELTANT-α」を発表

(出典:MELTIN MMI YouTube公式チャンネル

ペットボトルの蓋を開けたり、指先の微妙な動きもしっかり再現できていますね!2リットルの水も難なく持ち上げるなどパワーもあるようです。

同社によると、操縦者の動きに反応する時間はなんと約0.02秒!ほとんど遅延がないと言ってもいいのではないでしょうか。

しかも、ボストンから日本のデータサーバを経由し、アブダビにあるロボットハンドを動作するという18,900km離れた場所からの操作を実証しているといいます。

 

同年5月には株式会社アプトポッドとの共同開発により、人間の動作をほぼ遅延なく再現可能な世界最高レベルのリアルタイム性を誇るアバタープラットフォームの実証モデルが実現し、同モデルが実用段階へ移行したと発表しました。

リアルタイム性が向上したことで多様なフィールドでの実用的な遠隔作業が可能になり、ユースケースの多様性が大幅に拡大したとしています。そのユースケース例として以下を挙げています。

  1. 危険環境(災害、高所、高温、水中、化学・生物・放射能汚染、爆発物除去)
  2. 極限環境(宇宙、深海)
  3. リモートワーク(遠隔勤務、アバター出張、夜間警備)
  4. 観光・エンタメ(アバター旅行)
  5. 農林水産・食品・物流(農作物収穫、魚介類捕獲、加工、ピッキング)
  6. 医療・福祉(介護、アバター外出、遠隔手術)

 

2020年3月には、顧客やパートナー企業の声を反映し作業現場での実証実験用に進化したモデル『MELTANT-β(メルタント・ベータ)』を発表しました。

αはワイヤー駆動などコア技術を全面に押し出すデザインでしたが、βはワイヤー駆動を用いつつ現場での実用性を考慮し、粉塵や火花の散る環境でのオペレーションが可能になったことで工具を用いた実際の作業ができるようになりました。

 

具体的な導入事例として建設業界での活用を挙げ、βモデルの導入による遠隔操作で「建設業界への労働力不足を補い、労働生産性の向上に貢献できる」と考えています。

(出典:MELTIN MMI YouTube公式チャンネル

今後の戦略として、βモデルによる実証実験を踏まえた実用量産モデルを開発し市場投入を予定しているそうです(2020年3月時点)。加えて、同社で開発する機体をベースに「ざまざまなユースケース毎に仕様をカスタマイズし、最速で各ニーズに対応できるようなビジネスモデルを構築」するとも述べています。

 

(出典:株式会社メルティンMMI|TECHNOLOGY世界初のパワフルかつ器用な手を持つアバターロボット「MELTANT-α」を発表世界初の実用的なアバタープラットフォーム、超低遅延で遠隔操作できる実証モデルが完成。MELTINがアバターロボット実証試験機「MELTANT-β」を発表

 

″遠隔操作で人と同じように作業するロボット″は、実際に私たちの生活のすぐそばまできていて、例えばTelexistenceの『Model-T』はコンビニでの商品陳列を担っています。

つい先日にはビルの警備をアバターロボットが担う実証実験が行われ、本格的な商用化に向け動き出しています。

警備の省人化・自動化もロボットで!

2020年11月27日、アバターロボットの開発を手掛けるMira Robotics株式会社と総合ビルメンテナンスの大成株式会社は、日本通運本社ビルでアバターロボットによる警備の実証実験を実施したと発表しました。

Mira Roboticsは、″従来の単純なアバターロボット″と″完全自動化ロボット″の双方の利点を併せ持つ、次世代型アバターロボット『ugo(ユーゴー)』を開発しています。

2本のアームと高さ調節により遠隔でさまざまな業務を行えるほか、AIによる学習機能で同じ稼働条件下であれば自動モードも可能だといいます。警備だけでなく清掃、点検、案内もできるようです。

 

今回の実証実験では、セキュリティ特化モデル『ugo TS-Pを用いて受付での立哨警備業務や各フロアの巡回警備業務を行い、「概ね無事に終了」したといいます。

なお、両社は2019年より警備ソリューションに向けての実証実験を継続実施しており、2020年12月末に終了予定です。

 

大成は、ビルオーナー・警備会社へ向けた警備ソリューションの一環として、警備業務を″見える化″し最新テクノロジーを統合して高度なセキュリティを提供する次世代DX警備ソリューション『T-Spider』と連携して、『ugo TS-P』を2021年より本格商用化へ移行する考えです。

(出典:ugo YouTube公式チャンネル

今回の実証実験について、日通不動産株式会社ビルマネジメント事業所長は次のようにコメントしています。

「人に代わってロボットがお仕事をする」。子供の頃に夢見た想像の世界が現実化しています。ugoもその世界を演出するテクノロジーの1つ。省人化、自動化を進めていく中でロボットの導入は欠かせません。ロボットと人が同じフィールドに立ち、それぞれの強みを活かす。その答えがugoにあるように思います。

 

(出典:Mira Robotics株式会社|警備アバターロボットugo TS-P、日通本社ビルで実証実験を実施完了

ロボットが仕事をするなんてフィクションの中の話だと思っていましたが、こうして一緒に働く環境に変わってきているのは不思議な感覚ですよね。

 

(出典:Mira Robotics株式会社|ugo警備アバターロボットugo TS-P、日通本社ビルで実証実験を実施完了警備アバターロボット“ugo(ユーゴー)” 商用化へ ビルオーナー・警備会社向けに 次世代DX警備ソリューション 提供開始

 

さて、最近よく耳にするようになった″アバターロボット″。

MELTANTやugoのように人の仕事を担って省人化や効率化に役立つロボットもいれば、遠隔操作で旅行に行ったり勤務できる分身ロボットもいますよね。

アバターロボットでできることが増えると、一体どんな未来が訪れるのか。

人間の能力をテクノロジーで拡張していくと、そこには制約から解放された社会が待っているかもしれません!

一人で10体のアバターを操るようになる?!

ムーンショット型研究開発制度』をご存じでしょうか?

これは、少子高齢化や自然災害をはじめとする日本が抱える多くの社会課題を解決すべく、国が7つの目標=ムーンショット目標を掲げて破壊的イノベーション創出に挑戦するものです。

1.2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現

2.2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現

3.2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現

4.2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現

5.2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出

6.2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現

7.2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現

 

(出典:内閣府|ムーンショット型研究開発制度

あと30年もすればこんな未来がくるのかと思うとワクワクしますね!

このうち目標1にアバターロボットに関する内容があり、次のようなターゲット設定がされています。

誰もが多様な社会活動に参画できるサイバネティック・アバター基盤

  • ・2050年までに、複数の人が遠隔操作する多数のアバターとロボットを組み合わせることによって、大規模で複雑なタスクを実行するための技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。
  • ・2030年までに、1つのタスクに対して、1人で10体以上のアバターを、アバター1体の場合と同等の速度、精度で操作できる技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。
  • 注:サイバネティック・アバターは、身代わりとしてのロボットや3D映像等を示すアバターに加えて、人の身体的能力、認知能力及び知覚能力を拡張するICT技術やロボット技術を含む概念。Society 5.0時代のサイバー・フィジカル空間で自由自在に活躍するものを目指している。

  • サイバネティック・アバター生活
    ・2050年までに、望む人は誰でも身体的能力、認知能力及び知覚能力をトップレベルまで拡張できる技術を開発し、社会通念を踏まえた新しい生活様式を普及させる。
    ・2030年までに、望む人は誰でも特定のタスクに対して、身体的能力、認知能力及び知覚能力を強化できる技術を開発し、社会通念を踏まえた新しい生活様式を提案する。
  • (出典:内閣府|ムーンショット目標1 2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現

(出典:内閣府|ムーンショット型研究開発制度ムーンショット型研究開発制度の基本的考え方についてムーンショット目標1 2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現

 

たくさんの企業がアバターロボットを研究・開発し、想像上のことと思われたような技術が実現しつつあり、目指す未来に向けて着実に進んでいます。

人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」という言葉があるように、想像を膨らませていくと技術が生まれ、不可能と思われたことが実現していくのでしょう。これからのアバターロボットの発展が楽しみです!

thank you

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