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芝浦工業大学「紙のソフトロボット」開発!印刷すると自律的に折り畳み

2020.11.27  | 
WRITER:
haruka
 

きっと誰もが一度は折ったことがある紙飛行機。簡単に見えて、どう折るかで飛び方が変わりますよね。

折り紙は人の手で折るのが普通ですが、芝浦工業大学はこれを紙自体にプログラムしました!

電源不要!印刷するだけのソフトロボットとは

2020年11月17日、芝浦工業大学工学部電気工学科の重宗宏毅助教ら研究チームは、紙のソフトロボットの開発に成功したと発表しました。

これは早稲田大学の研究チームと共同で行ったもので、『Advanced Intelligent Systems』に「Programming Stepwise Motility into a Sheet of Paper Using Inkjet Printing」という論文名で掲載されています。論文詳細はこちら

 

発表によると、標準的なインクジェットプリンタで紙へ自律的に折り畳む順序をプログラムし、なんと構造や動きの印刷を可能にしたのです!

紙のセルロース繊維と印刷する薬液の反応をエネルギーとして、自律的に立体構造が形成され動き出すといいます。

 

この研究は「構造や動きを印刷することで、柔らかくもろい製品の立体的な包装に活用したり、太陽電池パネルを常に太陽に向かせることでエネルギー収集量を増やしたり、技術の幅広い応用が期待」されると述べています。

 

また、芝浦工業大学はこの研究のポイントとして次の3つを挙げています。

  1. インクジェットプリンタで印刷後、紙が自律的に動き折り畳まれる方法を確立
  2. 濃度の違う薬液をインクに使用し、折り畳み順序や折り畳み位置の指定が可能
  3. 折り畳み動作には、電力などの外部エネルギー源は不要

A:薬液濃度の異なるインクを戦略的に印刷することで、各折り目の位置や折るタイミングを制御することができる。

B:Aの方法を用いて組み立てられた紙飛行機。

C:紙はしごを傾けたり、掛けたり、引っ込めたりする様子。

 

紙のソフトロボットは植物の駆動メカニズムを模倣していて、紙が自動的に折り畳まれて折り紙構造を作り出す方法を確立したそうです。

標準的なインクジェットプリンタのインクカートリッジに薬液を入れ、紙に単純な直線を印刷することで、線を起点に紙が自動的に折り畳まれます。そして、濃度の違う薬液をインクカートリッジに設置することで、折り畳みの順序付けを可能にしました。それに伴い、薬液の濃度と折り畳み時間の関係性についても解明しました。カートリッジの数を増やすほど、より多くの動きを紙に対してプログラムできる可能性があります。

 

(出典:芝浦工業大学|紙のソフトロボット 構造や動きの印刷に成功  インクジェット印刷で紙が自律的に折り紙へ

研究チームは今後、今回発表した「紙が自律的に折り畳まれる方法」と、以前発表した「電気配線を普通のプリンタで紙に印刷する方法」の2つの技術を組み合わせることに取り組むとしています。

どちらも一般的なインクジェットプリンタを用いた手法で、特殊な機材を必要とせず、短時間で簡単に電子部品や紙製ソフトロボットなどの製作を可能にしていくといいます。

 

(出典:芝浦工業大学|紙のソフトロボット 構造や動きの印刷に成功  インクジェット印刷で紙が自律的に折り紙へ、Wiley OnlineLibrary|Programming Stepwise Motility into a Sheet of Paper Using Inkjet Printing

ペーパーメカトロニクス

紙のソフトロボットはペーパーメカトロニクスと呼ばれ、芝浦工業大学工学部電気工学科の重宗宏毅助教は「新しいモノづくりの形」と述べています。

現在では,ロボット要素が印刷された紙基板が,自律的に折れ曲がることによって立体構造が形成される.印刷法の持つ簡便・迅速・省資源という特徴と,紙の持つ低コスト・軽量・フレキシブルといった特徴を合わせ持った,新しいロボットの構想を提案するものと考える.本研究の発展にあたって,期待される効果は以下のようなものが考えらえる.

 

・ロボットの構造と電子回路を「印刷法」という観点から統一的に俯瞰可能
・台頭著しいプリンテッドエレクトロニクスに対応する,プリンテッドメカニクスの提案と発展
・人間とロボットの共創社会を実現するための障害の一つと考えられていた,コスト面の改善
・2次元パターンと3次元機能の対応という新しい設計法と視座の提供

 

(出典:HIROKI SHIGEMUNE|PROJECT

今回の発表を読んで、紙が自動的に折りたたまれるってどういうこと?!と思ったのですが、紙の繊維と薬液のエネルギーを使うことで自律的に動き出すってとても面白いですよね。

紙に水を垂らすとそこだけふにゃっと形が変わりますが、これを濃度の違う薬液にして折り畳まれる順序を作るのは、単純なようで繊細な研究だなと感じました。

例えば硬い紙やプラスチックなどの素材にも印刷できるようになれば、丈夫なソフトロボットも作れそうですね。一般的なインクジェットプリンタでOKで、外部エネルギーが不要という点もさまざまな物に応用しやすいのではないでしょうか。

今後は電子配線を紙に印刷する方法と組み合わせていくとのことで、どんなものができるのか楽しみです!

 

(出典:芝浦工業大学|紙のソフトロボット 構造や動きの印刷に成功  インクジェット印刷で紙が自律的に折り紙へ、HIROKI SHIGEMUNE|PROJECT、Wiley OnlineLibrary|Programming Stepwise Motility into a Sheet of Paper Using Inkjet Printing

 

続いて、紙つながりで「折り紙」をヒントに生まれたロボットをご紹介したいと思います!

Origami Robot Gripper

MITのコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)とハーバード大学の研究チームは2019年3月、ロボットハンド『Origami Robot Gripper』を発表しました。

ボール状の折り紙″マジックボール″を参考に開発し、円錐形の折り紙構造をしていてゴム風船あるいは薄い布製のシートで覆われ、内部の空気を吸引する力で収縮します。

壊れやすいものも優しく掴めるほか、自重の100倍も重いものも持ち上げることができ、実験では4ポンド(約1.8kg)以上あるビンを持つことができたそうです。

(出典:MITCSAIL YouTube公式チャンネル

CSAILの所長で、このプロジェクトに関する論文の執筆者の一人であるDaniela Rus氏は、「私のムーンショットの1つは、自動的に食料品を梱包することができるロボットを作成することです」と述べています。

 

従来のピッキング作業では、ロボットハンドのグリッパーは軽いものや限られた形のものしか扱うことができませんでした。またボール型グリッパーは広範囲のモノを掴める一方で角度が限られるという課題がありました。さらに、柔らかいグリッパーは重いものを拾うほどの強度がありません。

 

これらに比べ、マジックボール構造のグリッパーは物全体を包み込むことで上手く掴むことができます。

発表によると、将来的にはグリッパーが「見る」ことができるコンピュータービジョンを追加し、物の特定の部分を把握できるようにして角度と向きの問題を解決したいと考えているそうです。

 

(出典:MIT|Robot hand is soft and strong

ロボガミ

Reconfigurable Robotics Labの創設者兼ディレクターを務めるJamie Paik氏が2019年4月にTEDで発表したのは、折り畳みロボット『ロボガミ』。薄いシートでできており、状況に応じてその形や動き方を変えることができます!

(出典:TED YouTube公式チャンネル

動画を見ると、結構身軽でいろんな動きができるのがわかります。また、複数のロボガミを組み合わせると多様な動きやタスクをこなせるようになります。モノを触っている感覚を再現できるのも面白いですね!

 

ロボガミは宇宙での作業に適しているといい、欧州宇宙機関とスイス宇宙局がこのコンセプトに支援していることを明かしています。たしかに、過酷な宇宙空間でこれだけ自由自在に変形できるロボットがいると調査に役立ちそうです。

 

(出典:TED|Origami robots that reshape and transform themselvesPlay: Notes from Session 9 of TED2019

 

紙をソフトロボットにしたり、折り紙の構造を利用してロボットやロボットハンドを作り出したり、こんなこと思いつくなんてすごいなと純粋に驚きました。金属質なロボットから柔らかいロボットまで、いろんな素材でできたロボットに注目していきたいと思います!

thank you

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