ソニーが21年春にドローン事業開始、国交省は″海のドローン″本格化へ!
2020.11.13 |- WRITER:
- haruka
最近はPS5の話題で持ち切りのソニーから新たなニュースが入ってきました。ドローンの新ブランドを立ち上げ、同社のテクノロジーを集結して未知なる体験へ導くといいます!
ソニーがドローン市場に参入!
ソニーは2020年11月9日、AIロボティクス領域におけるドローンの新たなプロジェクトを開始したことを発表しました。
その名も『Airpeak(エアピーク)』。
(出典:Sony YouTube公式チャンネル)
現時点ではどんな機体になるのかなど分からないことだらけですが・・・
PlayStationやaiboなど人々を魅了する数多くの製品を世に送り出したソニーですから、ドローンにも期待が高まりますね。今後の発表に注目です!
Airpeakというブランド名には、「イメージング&センシング技術や、リアリティ、リアルタイム、リモートの「3Rテクノロジー」を活用し、ドローンのさらなる発展や最高峰の価値創出に貢献するという志」が込められています。
創造の頂きへ
人間の可能性を広げるイメージングとセンシング、そしてAIロボティクス。
これまで築き上げてきたテクノロジーを結集し、かつてない自由な視点で、空という領域を限りない創造空間に変える。
制約を解き放ち、いま未知なる体験へと導きます。
(出典:ソニー株式会社|Airpeak)
Airpeakは映像クリエイターの想像力の支援、エンタテインメントのさらなる発展、各種産業の一層の効率化・省力化に寄与するといい、「これまでドローンの活用が困難だった環境においても最高水準の安全性、信頼性により安心して利用できるよう、プロジェクトを推進していきます」とコメントしています。
今後、Airpeakを体験できる機会を通じてユーザーからフィードバックを得る共創活動を重ね、2021年春の事業開始に向けて準備していく考えです。
また、近日中にプロジェクトに参画するプロフェッショナルサポーターの募集を開始する予定です。
前述の″3Rテクノロジー″については、ソニーの副社長・勝本徹氏が2020年9月に行われた『ESG/テクノロジー説明会』で次のように述べています。
昨今の新型コロナウィルス感染症の世界的な広がりから、人々の「安心・安全」、地球環境などサステナビリティへの意識が高まっています。また、人が集まることが叶わず、高品質な映像や音の制作、もしくはライブやスポーツ観戦を楽しむことに制約を受けつつあります。
テクノロジーは、それらの課題解決の手段として期待されています。
その軸となるのが、これまでソニーが注力してきた「リアリティ」「リアルタイム」に「リモート」を加えた「3Rテクノロジー」です。
高画質、高音質を極める「リアリティ」に関するテクノロジーは、ソニーがこれまで得意としてきた分野です。また、入力側の状態を把握し、出力側に情報として届ける、という全体の流れを「リアルタイム」で実現することで新しい価値を生み出しています。
この「リアリティ」「リアルタイム」テクノロジーを、さらに「リモート」でも実現できることの提供価値は大きいのではないかと思います。
(出典:ソニー株式会社|ソニー ESG/テクノロジー説明会 副社長 勝本 徹「テクノロジーへの取り組み」)
そして3Rに関するこんな映像も。
(出典:Sony YouTube公式チャンネル)
例えばの話ですが、Airpeakに搭載したカメラの映像をVRデバイス等で見ながら操作するなんてこともあり得るのではないでしょうか。
ドローンは一般的に、飛んでいる機体の目視やカメラの映像をタブレット等で確認しながらコントローラーで操作します。
現在の規制では肉眼による目視が必要なドローンは、国のロードマップによると2022年度に目視外飛行(レベル4)の実現を目指しているので、デバイスを用いた遠隔操作が普及する可能性もあるでしょう。
目視がデバイスに替わり、さらに肉眼で見る風景と遜色ないほどの高解像度であれば操作性の向上も期待できます。没入感も強く、本当に空を飛んでいるかのような体験ができそうです!
このほかソニーは、ロボット開発に取り組むZMPとともに2015年8月に設立したエアロセンス株式会社において、ドローンによる産業用ソリューションの開発などを行っています。
最近のニュースでは、9月にドローンメーカーとして初めて日本測量機器工業会に加入したことを発表しました。エアロセンスが得た知見もAirpeakに活かされるかもしれません。
(出典:ソニー株式会社|ソニーの「First Flight」で、国産ドローン「AEROBO(エアロボ)」の導入法人パートナー募集)
(出典:ソニー株式会社|ドローンプロジェクトを始動、Airpeak、ソニー ESG/テクノロジー説明会 副社長 勝本 徹「テクノロジーへの取り組み」、エアロセンス株式会社|会社概要、[プレスリリース]エアロセンス、ドローンメーカーとして初めて日本測量機器工業会に加入)
各社がドローンの開発に取り組み、この数年で目覚ましく発展しソニーのように新規参入も増えています。″空の産業革命″と呼ばれ実用化に向けた整備も進んでいます。
そんな中、ドローンを海で活用する動きも見られ、国土交通省は先日これに向けた協議会を開催しました。
空に続いて″海の産業革命″も
国土交通省は2020年11月5日、沿岸自治体の課題解決を目指す『海における次世代モビリティに関する産学官協議会』の第1回を開催しました。
協議会開催の背景には、″海における次世代モビリティ″の開発が進展しつつあり、沿岸・離島地域での課題解決や海洋産業の活性化に活用が期待される一方で、本格的な活用に至っていないということがありました。
そして、ツールはユーザーにとって目的を果たす手段に過ぎず、ユーザー視点で最適なツールになるよう検討する必要があるとしています。
ここでいう″海における次世代モビリティ″とは、ASV(小型無人ボート)、AUV(自律型無人潜水機)、ROV(遠隔操作型無人潜水機)などを指し、それぞれ次のような活用特性があります。
ASV:漁業の効率化、物流や長期の海洋観測などへの応用が期待される。
AUV:潜水士の代替として、対象物に接近し点検・調査を広範囲にわたって実施可能。
ROV:潜水士の代替として、対象物に接近し点検・調査、簡単なサンプル採取などを実施可能。ASVとの連携などにより広範囲での活用も期待される。
(協議会に参加しているFullDepth社の水中ドローン(ROV)。出典:株式会社FullDepth|機動力、耐久性、利便性を追求した本格派産業用水中ドローン「DiveUnit300」販売開始)
沿岸域の現状と課題として過疎化・高齢化の進行、港湾インフラの老朽化、海域環境の調査ニーズ、新型コロナウイルス感染症の拡大による環境変化を挙げ、これらの担い手不足や潜水作業に伴う危険などに対応し、沿岸域での活動を確保していく必要があるとしています。
さらに、SDGsの「14.海の豊かさを守ろう」に対する活用も挙げています。これには海洋汚染を減らす、海洋生態系の保護と復元、持続可能な漁業、沿岸および海洋域の保全など10項目のターゲットがあります。これらを達成するため、2021年~2030年を「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」として取り組むことが国連で決議されました。
国交省は、こうした多くの課題に対し次世代モビリティを活用することで「海洋産業の活性化につながるとともに、沿岸・離島地域の水産業、インフラ維持管理、海洋環境調査、離島物流等の容易化、効率化等に貢献し、沿岸・離島地域の活性化に資することが期待される」としています。
また、次世代モビリティが広く沿岸海域で利活用されるには、製品コストを安くすることや、沿岸海域のニーズを踏まえた汎用性の向上といった課題を克服する必要があり、産学官で社会実装を実現するための取り組みを加速する考えです。
2020年度には協議会の開催と、技術シーズとニーズのマッチングのための情報交換を実施します。2021年度からは議論を踏まえてパイロット・プロジェクトを実施するなど、早期の社会実装実現に向けた取り組みを加速する予定です。
実用化に向けた整備やガイドラインはどのようになるのか、今後の動きに注視していきたいと思います。
(出典:国土交通省|第1回海における次世代モビリティに関する産学官協議会(令和2年11月5日)について)
ドローンは趣味レベルの利用から物流・医療・警備・農業などあらゆる業界で活用されています。そして空を飛ぶだけにとどまらず、これからは海など水中へと活用範囲が広がっていきます。私たちが体験できることや代替できる作業もますます増えていくでしょう。