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MR/複合現実とは―VR・ARとの違い、企業の活用事例を紹介!

2020.11.06  | 
WRITER:
haruka
 

バーチャル空間への没入感を体験できるVR、現実空間にCGなどを重ね合わせるAR。これらを体験できるゲームやシステムなどが多くありますが、それをさらに発展させたMRがあります。

MRは現実とバーチャルのMIX

MR(Mixed Reality/複合現実)は、VRとARを統合したもので、ヘッドマウントディスプレイやスマホなどを用いて現実空間とバーチャル空間を高度に重ね合わせる(MIXする)ことができます。はじめに、VR・ARの特徴を簡単に解説します。

 

VR(Virtual Reality/仮想現実)は、ヘッドマウントディスプレイを装着すると目に映る360度の景色がバーチャル空間となり、別の世界に入り込んだような没入感の高い体験ができます。

ゲームのみならずイベント、学習、スポーツ、芸術鑑賞など幅広いジャンルで活用されていますね。

AR(Augmented Reality/拡張現実)はヘッドマウントディスプレイやスマホなどを用いて、現実空間にデジタル情報を重ね合わせることができます。

爆発的なブームとなった「Pokémon GO」はARを使ったゲームでした。カメラアプリのSNOWやインスタグラムのストーリーズにあるエフェクトもARで、人物とキャラクターなどを合成できます。

 

こうしたVR・MRを統合したMRの大きな特徴は、実際にそこにあるかのような感覚で触れて動かすことができることです。自分の手がコントローラーの代わりになります!

現実世界のモノ(家具や車など)を認識してそれらにバーチャル映像を正確に重ねたり、実寸大で空間に映し出すほか、複数人で資料や3DCGを共有し空間に映し出して見ることも可能です。

 

MRのメジャーなデバイスに、Microsoftの『HoloLens』があります。

VRで一般的に使われるヘッドマウントディスプレイは視界を全て覆う非透過型であるのに対し、『HoloLens』は透過型で現実の景色にバーチャル情報を重ね合わせることができます。

(2019年2月発表の『HoloLens 2』。出典:Microsoft HoloLens YouTube公式チャンネル

 

VR・ARと同様にMRもさまざまな業界での活用が期待されています。そのなかでも人の手で行う作業の多い製造業に注目しました。各社がMRによる業務効率化に取り組んでいます。

自動車整備にMRを活用

TOYOTAはMicrosoftの『HoloLens 2』を2020年10月より全国の「GR Garage」56店舗に順次導入し、自動車の整備作業の効率化やトレーニングでの活用を開始しています。

 

両社はこれまで『HoloLens』の活用に向けた検証を重ねていました。

Microsoftの発表によると、TOYOTAは2018年11月に塗装の膜厚検査での活用および試作工場の設備移設での活用を検証しています。2019年5月には自動車の修理・点検業務の検証を行い、今回これを発展させ10月からの導入に至ったようです。

(2019年5月公開の導入事例映像。出典:日本マイクロソフト株式会社 YouTube公式チャンネル

現場の整備士が自動車の修理や整備作業を行う際に参照する″サービス技術情報(修理書、配線図等)″は、主にイラストや文字などの2Dデータが使われているそうです。これは実車での正確な位置、勘やコツなどの情報を伝えるのが難しいことや、CASE※などの複雑化・多様化する情報への対応にも課題があったといいます。

※CASE:Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)。出典:TOYOTA|CASE

今回導入した「GR Garage」では、MRを用いた配線図・艤装図、MRを用いた新型車機能解説、作業手順ガイド・トレーニング、遠隔地とのコミュニケーション支援を行います。

 

MRを用いた配線図・艤装図や新型車機能解説には、Microsoft Azureの新サービス「Azure Object Anchors」を利用して、「実空間の車両の位置を自動検出し、ホログラムをその車両に重ね合わせた位置で正確に表示」できるといいます。

従来は、ホログラム表示の位置を特定するためにQRコードなどのマーカーや手動による位置合わせが必要だったそうです。これだけでも大幅に作業の短縮ができそうですね。

 

(出典:日本マイクロソフト株式会社|トヨタ自動車が全国の GR Garage に HoloLens 2 を導入開始。自動車整備の働き方改革に Mixed Reality テクノロジを活用トヨタ自動車が、自動車の修理・点検業務において Mixed Reality を活用。トヨタ販売店に HoloLens 2 を順次展開

建設業の施工管理にも

建築・設計向けのCAD/CGシステムおよび地理情報システムの開発などを手掛ける株式会社インフォマティクスは、同社のMRソフト『GyroEye Holo(ジャイロアイ ホロ)』を建設現場で活用し生産性向上に取り組んでいます。

 

建設現場の施工支援や生産性向上などを目的に2018年1月より提供開始した『GyroEye Holo』は、『HoloLens』やiOS端末越しで仮想データを現実世界に投影することができます。

(出典:GyroEye&Piranesi YouTube公式チャンネル

インフォマティクスは株式会社鴻池組とMRを利用した技術開発を進めており、2020年7月に着工した鴻池組の新研究施設にて「工事における建設の基礎工事フェーズから完成後の運用フェーズに至るまで、インフォマティクスの保持するMR技術を最大限に活用」するとしています。

 

2020年10月の発表によると、MRによる杭芯確認を実施した結果「延べ100m以上の移動を繰り返す中、表示されるMRモデルの誤差が平均1.5cm程度に抑制されていることが確認」できました。

(出典:株式会社インフォマティクス|インフォマティクス、業務用MRシステム最新版GyroEye 2020.2をリリース鴻池組とインフォマティクスが建設現場におけるMR利用の技術開発で連携GyroEye Holo TS+ によるMR杭芯確認の実施

 

また、ワンストップ・リノベーション事業者のリノべる株式会社は、2020年3月より施工管理プロセスの遠隔化に向けた実証実験を開始しています。その背景には、建築・建設業機が抱える課題がありました。

1件1件の条件が異なり、既存の躯体を活用して住まいを造るリノベーションの施工では、既存設備の制約やプロセスにおける対応事項が多く、実際の施工現場におけるタイムリーな確認や意思疎通が重要です。そのため設計施工担当者は進捗状況や仕様確認のために、現場を訪問する必要があります。これは重要な業務である一方、現場への移動は人的リソースの消費要因ともなり、建築・建設業界の長時間労働や、本来価値を発揮すべきクリエイティブな業務に集中しづらいという課題の大きな要因となっています。

 

(出典:リノべる株式会社|リノベる 施工管理プロセスの遠隔化に向けたPoC(実証実験)開始

こうした背景から、実証実験ではMRやARなどテクノロジーを用いた施工管理業務の遠隔化と業務への影響把握、遠隔管理の実現に必要な諸要件の検証を行うとしていました。遠隔化の実装においては最大5割の関連工数削減を想定しているそうです。

8月にはMRを活用した遠隔施工管理における実証実験と、一部現場への導入を実施しています。

3月の実証実験開始から約半年にわたって、利用機器や技術の絞り込みや新たな業務オペレーションの検証を行い、9月より工務店パートナーとの仮運用へ拡大しています。これまでの実証実験で得た技術やツールの知見、オペレーションの形を現場に実装するそうです。

具体的なメリットとして、

  1. 現場とオフィスのコミュニケーション品質と頻度の向上
  2. 設計者・現場監督・職人間の打ち合わせに関する時間・場所の制約の最小化
  3. 映像を介した視覚情報のリアルタイム共有と意思決定の実現

これら3つを挙げ、「施工管理業務の一層の効率化と品質向上を推進します」と述べています。

(出典:リノべる株式会社|リノベる 施工管理プロセスの遠隔化に向けたPoC(実証実験)開始Mixed Reality技術を活用した遠隔施工管理の実証実験および一部案件への導入実施遠隔施工管理の仮運用開始

熟練の技術をMRで習得

鉄鋼製品の製造などを手掛けるJFEスチール株式会社は、MRを活用した教育訓練シミュレータを導入しています。これは国内鉄鋼業界初のシステムだそうです!

 

同社では世代交代により若手社員の比率が増加しているといいます。技能レベルの維持・向上に向け、その技術・知識の標準化を通じた技術伝承を進めてきましたが、現場作業の一部は操業・安全リスクの高い作業で熟練が必要でありOJTに頼らざるを得ないため、若手社員に技能を安全かつ着実に伝承する上での課題を抱えていたそうです。

 

これにMRを活用することで、製鉄所の熟練現場作業を実操業と同等の訓練を実現し、若年層社員へ技術伝承していくといいます。訓練シミュレータはすでに運用開始し、通常の操業変化だけでなく異常事態のシナリオも準備して現実の作業と同様の環境で訓練ができます。

 

2020年10月には西日本製鉄所への導入を発表していました。今後は全製鉄所・製造所に展開して若手社員への熟練技能の伝承をさらに推進する考えです。

 

(出典:JFEスチール株式会社|MR(複合現実)技術を活用した訓練シミュレータの導入~熟練技術の若手社員への伝承を推進~

正確な作業が求められる製造業では、実寸大でモノや土地にバーチャル映像を重ねられ必要な情報もすぐ確認できるMRに期待が高まっているのが分かります。技術の習得にも大いに役立ちそうです!

 

最後に、MRを用いた新しいスタイルの会議を紹介します。オンライン会議が定着しつつある今、MRを活用することでもっと便利に時間やデータを共有できるでしょう。

テレワークもMRで!

南国アールスタジオ株式会社は、どこからでもアバターで会議に参加できる遠隔会議システム『WHITEROOMを提供しています。

(出典:Nangok R Studios Inc YouTube公式チャンネル

アバター・MRデバイス・タブレットと、それぞれ好きな方法で参加でき機能も充実していますね。アバターは写真からリアルに生成できるそうです。

 

『WHITEROOM』は3Dモデル・オフィスドキュメント・PDF・画像・動画などを共有してコミュニケーションできることに加え、MRの特性を生かした遠隔セールス・遠隔トレーニング・遠隔授業・遠隔診療など、さまざまななユースケースに応用・活用できます。

WHITEROOMがあれば職場と家、会議室と現場、人と人を距離や時間を超えて一つにつなげます。

いつものテレビ会議に、より上質なユーザー体験を。
ちょっと未来のテレワークで、新しい価値を創造します。

 

(出典:南国アールスタジオ株式会社|どこからでもアバターで参加できるMixed Reality技術を活用した遠隔会議システム「WHITEROOM」の提供開始と限定キャンペーンのお知らせ

(出典:南国アールスタジオ株式会社|WHITEROOMどこからでもアバターで参加できるMixed Reality技術を活用した遠隔会議システム「WHITEROOM」の提供開始と限定キャンペーンのお知らせ

 

 

現実空間とバーチャル映像をリアルに重ねられ、自分の手で自由自在に操作できるMRは、マウスやコントローラーよりも直観的な操作ができ細かな作業にも向いています。その操作性の高さはMRの魅力のひとつと言えるでしょう。

また、いくつか動画を載せましたがその様子はどれも未来的でワクワクしますね!MRデバイスの小型化や機能の充実など今後の発展に注目していきたいと思います。

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