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重労働から解放!身体能力を拡張するロボット・アシストスーツ

2020.10.27  | 
WRITER:
haruka
 

″人に代わって仕事を担うロボット″が目覚ましい活躍ぶりを見せている反面、人でないと難しい作業やなかなか導入が進まない職種もあります。今回は、こうした課題を人間がもつ能力を拡張したり支援することで解決しようと開発されているロボット、アシストスーツに注目しました!

直観的に動かせる大型ロボット

2007年10月に設立した立命館大学発のスタートアップ・株式会社人機一体は、「 マンマシンシナジーエフェクタを社会実装し、人が力学を自在に操るプラットフォームを確立する。」をミッションに、人間の能力を拡張し肉体的な苦役をなくすことを目指しています。

 

マンマシンシナジーエフェクタ(人間機械相乗効果器)″とは「人間のみ、あるいは機械のみでは実現できない機能を、人と機械の相乗効果(マンマシンシナジー)によって実現する効果器」のことを指し、同社が提唱するデバイスの概念およびカテゴリの総称です。

(出典:株式会社人機一体|【告知】株式会社人機一体は、SEMICON Japan 2018 にて「人型重機」の基礎技術を一堂に集めた展示を行ないます

近年工場や倉庫で導入が盛んな産業用ロボットは、これまで人が行っていた作業を担っています。しかし同社が開発するのはそうしたロボットとは違う、人の能力を拡張するもの、重労働を解消するものとしてのロボットです。

私たちは、人間の能力をもっと拡張できると信じています。
我々のロボット工学は機械工学としてのロボット工学であり、人を不要とする自律ロボットや人工知能の開発を目指しているのではありません。ロボットをフィジカルな道具として人が直感的に操ることで、人の労働の価値を高め、社会を豊かにし、人類の幸福に寄与することを目指しています。

 

(出典:株式会社人機一体|ミッション

同社はマスタスレーブシステムの技術を独自に発展させ、重作業や危険作業に用いられる大型重機の操作といった、従来では特殊な技量が要求されていた大型重機の操作を直感的かつ精密に行うことを可能にしました。

(出典:株式会社人機一体|技術

同社のロボットは「人型重機」といい、操縦者の動きが光ファイバーを通してロボットに伝わり、上半身に17カ所ある関節のモーターが作動して動くという仕組みです。ロボットが外から受ける力はセンサーで測り操縦者に返し、独自開発のソフトにより直感的な操作ができたり微妙な力加減をリアルタイムに再現することができます。

 

「人型重機」は企業の用途ごとに専用機を開発することで、例えば工場内で思い部品や材料を運搬したり、過酷な環境にあるインフラの補修・維持管理などに役立つことが期待されています。

 

社会実装に向けすでに動き出しており、2020年6月にはJR西日本グループ内でのロボット技術活用による鉄道メンテナンス作業の高効率化を目的に、株式会社JR西日本イノベーションズより出資を受けています。

JR西日本グループは安全な鉄道・交通サービスの持続的な提供に向けた新しいメンテナンス手法への転換に挑戦しているといい、これに人機一体の技術を取り入れる考えです。

今回の提携により、鉄道構造物の点検・保守作業に関して、自動化・無人化だけではなく「機械化・人間能力拡張」という軸での高度化を推進します。作業効率と安全性を共に高めるのはもちろん、メンテナンス手法の革新、さらには人の労働価値向上についても可能性が高まると考えています。

 

(出典:株式会社JR西日本イノベーションズ|株式会社人機一体への出資について

同じく6月に、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社が運営するイノベーションC投資事業有限責任組合およびびわこ・みらい活性化投資事業有限責任組合からも出資を受けています。

 

人機一体は他社との連携も積極的に行い、鉄道・電力・建設などのインフラ保守において、産業用ロボットでは対応が難しい現場向けを中心に事業化を進める考えです。5種類の市場・各4~5社程度の企業と連携していくようで、将来的には20~30社との連携を想定し、2025年をめどに事業化を目指しています。

 

ロボットは″人間の仕事を奪う″と言われることがありますよね。人機一体の「人型重機」のような″人とロボットの相乗効果″は、これからの仕事のカタチに変化をもたらすものとなるかもしれません。

 

(出典:日本経済新聞|動き繊細 ロボは分身 人機一体の人型重機】リアルテックファンド|株式会社 人機一体株式会社JR西日本イノベーションズ|株式会社人機一体への出資についてフューチャーベンチャーキャピタル株式会社|立命館大学発ベンチャー、大型二足歩行ロボットを開発する株式会社人機一体に出資ニュースイッチ|JRグループも出資する人型ロボット開発ベンチャー、他社との連携で利用シーン増やす

アシストスーツが重労働やリハビリをサポート

CYBERDYNE株式会社は、「人」+「サイバー・フィジカル空間」を扱う″サイバニクス技術(人・ロボット・情報系の融合複合技術)″を駆使して「サイバニクス産業」の創出を推進しています。

同社が開発した世界初の装着型サイボーグ『HAL』は、″歩こう″と考えたときの脳からの信号をキャッチし筋肉に伝え、また筋肉から『HAL』に伝わることで装着者の意思に沿った動きをアシストしてくれます。

HAL®(Hybrid Assistive Limb®)は、身体機能を改善・補助・拡張・再生することができる、世界初の装着型サイボーグです。

人が体を動かそうとすると、その運動意思に従って脳から神経を通じて筋肉に信号が伝わり、その際、微弱な「生体電位信号」が体表に漏れ出してきます。HAL®は、装着者の「生体電位信号」を皮膚に貼ったセンサーで検出し、意思に従った動作を実現します。

 

(出典:CYBERDYNE株式会社|HALについて

『HAL』は、腰から足にかけて装着するタイプや腕に装着するタイプなどその用途に合わせた製品があり、工場での重作業支援、医療・福祉分野の動作支援、レスキュー活動支援などさまざまな場での応用が期待されています。

また医療用HALは、髄損傷や脳卒中を含む脳・神経・筋疾患の患者に対する機能改善治療を行う医療サービス「サイバニクス治療に活用されています。

(出典:CYBERDYNE Inc. YouTube公式チャンネル

2020年10月には、鎌倉市消防本部に「HAL腰タイプ作業支援用」が導入・運用開始されました。救急隊員の活動時の負担軽減や女性消防隊員の活躍推進を目的として、鎌倉消防署の3つの出張所に配置されます。

『HAL』採用には軽量でコンパクトなことや、救命救急作業の支障にならない形状であること、ストレッチャーの持ち上げなど重作業に対応できるアシスト力、防塵・防水で雨天時の屋外作業に対応することなどが評価されました。

小型のため救急車や部屋の中など広くない場所にも導入しやすい製品ですね。力のいる作業や一刻を争う事態のときも隊員さんをサポートしてくれるでしょう。

 

CYBERDYNEは日本国内のみならず、アメリカ、EU、マレーシア、タイ、インドネシア、オーストラリアと海外へも医療用HALの展開を進めています。

10月20日には台湾進出を発表しました。台湾の大手医療機器専門商社グループ・CHC Healthcare Groupと提携して、同グループ病院で医療用HALによるサイバニクス治療の運用を開始するとともに、同グループ子会社が販売代理店としてHALの営業活動を行うといいます。

 

(出典:CYBERDYNE株式会社CYBERDYNE株式会社|鎌倉市が女性救急救命隊員の負担軽減のため作業支援用HAL導入CYBERDYNE株式会社|HAL医療用下肢タイプ、台湾当局より医療機器の承認取得

 

2020年はロボットやIoTが一気に普及し身近になった感覚がありますよね。今回取り上げたロボットやアシストスーツはまだ身近なものではありませんが、重労働から解放してくれるテクノロジーとして期待されます。今後の更なる発展に注目していきたいです!

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