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思わず触れたくなる″動物ロボット″ 柔らかさ・リアルな質感を実現!

2020.10.22  | 
WRITER:
haruka
 

フワフワとした触り心地のロボット、体温をもつロボット、動物のしっぽをモチーフにしたロボットなど癒しや人懐っこさを感じられるロボットが最近盛り上がりを見せています。

今回注目したのは、動物の姿を模した親近感を覚えるロボットです。ただ姿を似せただけでない彼らの魅力に迫ります。

″柔らかいハチ公″ってなんだ?!

山形大学工学部が開発したのは、「やわらかロボ!ゲルハチ公」。見た目はあのハチ公像なのですが、ゲル素材でできており柔らかくモチモチしているんです!

 

山形大学では2016年から、これまでのロボット分野とは一線を画す『ソフトマターロボティクス(Soft Matter Robotics)』という新領域で柔らかい素材でできたロボットやデバイスの研究を行っています。

水中をふわふわ漂う「クラゲロボ」、柔らかい繊毛をもつ「配管ロボット」、世界初の3Dゲルプリンターで作成した「人工筋肉」など、さまざまな研究開発を進めています。

(出典:SOFUMO|プロジェクト概要

ゲルハチ公もその一つで、山形県鶴岡市にある″鶴岡ハチ公像″を模した姿をしています。頭部と前足部に柔らかい素材を使用し「ずっと触りたくなるポジティブな感情の創出を目指した」といいます。

頭部には複数の触覚センサー、前面部にはカメラとマイクを搭載し、これらの情報をもとにAIで感情分析を行うことで「鳴き声、振動、発光により、各種表現を行うことができる」という大きな特徴を持ちます。

 

2020年9月に開催された『2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展(超福祉展)』でゲルハチ公が展示されました。″Withコロナ時代″を見据えて体温を自然に測れる機能を追加し、訪れた人たちの体温を検知する機能が披露されました。″柔らかさ″が親しみを生み、検温に対する抵抗感を軽減できたようです。

(超福祉展の紹介動画 出典:A STUDIO_超福祉展_SUPER WELFARE EXPO YouTube公式チャンネル

10月には、ゲルハチ公を進化させた「ゲルハチロイド」を発表しました。お座りの状態で高さ60センチメートルあり、全身シリコーンで覆われ本物の質感を追求したそうです。握る方向によって硬さの違う足の肉球、体温を感じる機能を持ち、ゲル素材を用いた眼球により人と視線が合うようにして光を感知できるようになっています。今後は人の脳波に与えるデータなどを取得し生活の場で使えるようにする考えです。

 

ゲルハチ公と同様に置物のため動き回ることはできないものの、お手ができるようにして″癒しロボット″としての商品化を目指しています。また今後は、人の脳波に与えるデータなどを取得し生活の場で使えるようにする考えです。

 

(出典:SOFUMO|やわらかロボ! ゲルハチ公超福祉展|やわらかロボ! ゲルハチ公日本経済新聞|犬型ロボット「ゲルハチ」 質感リアルに進化 山形大

 

″ハチ公が柔らかいロボットになった″というだけでも注目を浴びますが、その柔らかさがロボットに対する抵抗感を抑え、「触れてみたい」というポジティブな感情に繋がったのでしょう。色や毛並みも本物の犬のようになったらさらに親近感を覚えそうですね。

 

ロボットが″柔らかい″ということが私たち人間にどんな影響を与えるのかを実験した、こんな事例があります。

″柔らかさ″はストレス緩和に効果あり

2019年に名古屋工業大学大学院の論文『ロボット・セラピーにおける柔らかい触感の重要性』が公開されました。この論文では、柔らかい触感のロボットと硬い触感のロボットに触れたとき、人はどんな心理的・生理的状態になるのかという実験について書かれています。

 

実験では柔らかいロボットはスポンジやボア素材で、硬いロボットはナイロン樹脂でできており、どちらも猫を模した姿をしています。柔らかさ以外の影響をなくすため、外観・重さ・手触りなどに差異が生じないよう注意したそうです。

心理的ストレスの緩和効果を比較した実験の結果、「柔らかい触感のロボットの方がふれあいにより得られる緊張、鬱、混乱、疲労の緩和、活気の向上効果が有意に高い」ことが分かりました。

さらに、生理的ストレスの緩和効果を比較した実験の結果も、柔らかいロボットの方がリラックスしているときに出る脳波のα波が増えるという結果になりました。

 

この実験から、″柔らかさ″が人のストレス緩和に効果的で、ふれあいにも大きな影響を与えることが分かります。きっとゲルハチ公もこの効果があったのではないでしょうか。

 

(出典:名古屋工業大学大学院|ロボット・セラピーにおける柔らかい触感の重要性

本物そっくりなイルカロボット

イルカはその可愛らしい見た目と裏腹に俊敏な動きはカッコよく、イルカ目当てに水族館へ訪れる人も多いでしょう。実はイルカそっくりなソフトロボットもいて、将来は水族館などで本物のイルカの代わりにショーに出演するかもしれません。

そのイルカ型ロボットを開発したのは、長年映画やテレビでアニマトロニクスを手掛けてきた、サンフランシスコを拠点とするEdge Innovationsです。

 

同社のイルカ型ロボットは人による遠隔操作で動き、メンテナンス無しで海水の中で10年以上持ちこたえ、1回の充電で最大10時間泳ぐことができるそうです。

本物のイルカを模した骨格やリアルな皮膚コーディングが施され、一緒に泳いだり触れたりしても、それが″本物ではない″とわからないようになっているのだとか。さらに、歯を少し黄色く着色したり鳴き声を真似たり、本物のイルカさながらの動きをするなど細部まで再現しています。

 

次の動画は、中国で新たに開業する水族館のために開発中のプロトタイプの様子。泳いでいる姿はイルカそのものです!!

(出典:Edge Innovations 公式Vimeo

Edge Innovationsはこのロボットを″リアルタイム・アニマトロニクス″と呼び、「想像できるあらゆる体験を提供できる超リアルな生き物」としています。

 

ロボットによる人形劇、プログラムされた行動、人工知能を融合し、ユニークなゲスト体験を生み出します。イルカの他にもホホジロザメの餌付け、夜の噴水ショーで火を噴くドラゴンまで、あらゆる体験を提供できると述べ、リアルタイム・アニマトロニクスにより「世界の海洋生物と安全に、間近で、個人的に触れ合うことも可能」になります。

 

また同社は、「飼育されている潰瘍哺乳類のショーが人気を失ったことや、海洋動物の捕獲・輸送・繁殖が制限されるようになり、海洋公園産業のビジネスとしての存続が難しくなっているが、こうしたエンターテイメントと教育に対する観客の欲求は変わらない」と考えています。

 

リアルタイム・アニマトロニクスは「持続可能で安全かつ収益性の高い、未来の海洋エンターテイメント業界を再開発する方法を提供する」といい、その場として水族館、テーマパーク、ショッピングモール、ミュージアムなどを挙げています。

 

(出典:Edge Innovations|Real-time AnimatronicsMETRO|Animatronic robot could replace dolphins in Chinese aquariums

プロトタイプの動画を見たとき、私は本物のイルカとの違いがわからないほどリアルさを感じました。もし日本の水族館で今後、同じレベルの技術でイルカやペンギンやほかの海洋生物までロボットになって展示されていたとしても、それが″命を持つ生き物″なのか″ロボット″なのか見分けがつかないかもしれません。

 

水族館は海洋生物について学んだり、触れ合う場として大きな役割を持っています。一方で、広さに限りのある水槽に入れて展示するのは海洋生物にとってどうなのか・・・という動物愛護の観点の考えもあります。これは動物園にも言えることです。Edge Innovationsの技術はその両方を解決する手段となりうるものでしょう。

 

動物の姿をしたロボットは、質感や動きまでその動物に似せることで人に受け入れられると考えられます。私は猫が大好きなのに猫アレルギーという残念な体質なのですが、動きも触り心地もリアルな猫ロボットがいたらいいのにな~と思いました。同じようにアレルギーがあって動物と触れ合うことが難しい人でも、ロボットならその気持ちを満たしてくれるのでは?と思います。動物からの癒しをロボットが代替する日は、そう遠くないかもしれませんね。

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