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TRIが家庭用ガントリーロボットの最新研究を発表!暮らし・高齢者をサポート

2020.10.08  | 
WRITER:
haruka
 

人間にとっては大したことないのですが、家具や荷物などが床に置かれている室内はロボットにとっては厄介だったりします。しかし、その問題を解決しつつ生活を支援してくれそうなロボットがあるんです。

ぶら下がるロボット?!

TOYOTAが2016年1月に設立した人工知能技術の研究・開発を行う企業TOYOTA RESEARCH INSTITUTE(TRI)は2020年10月1日、天井からぶら下がって掃除や片付けを手伝うロボットの研究を紹介しました。このロボットは人間の能力を増幅し暮らしをサポートするといいます。

 

こうした考えについてTRI代表のGill Pratt氏は、会社設立の記者会見で次のように話しています。

TRIの目的は、基礎研究と、人の命を救い、人の暮らしをより豊かにする製品開発との間のギャップを埋めることにあります。

TRIではまず、協調自動技術や人工知能、すなわち、特にモビリティの分野で機械と人が協力する方法の研究に注力します。

その目標は、安全、アクセシビリティ、ロボットの3分野に亘ります。

安全に対する目標は、ドライバーの行動を問わず、クルマが事故にあわないようにすることです。

アクセシビリティに対する目標は、老若男女、身体能力を問わず、全ての人が移動の自由を享受できるようにすることです。

ロボットに関する目標は、全ての人の暮らしを豊かにすることです。

特に、年齢や病状を問わず、高齢者が自宅で尊厳のある老後を過ごすことができるようにしたいと思っております。

 

(出典:新会社「TOYOTA RESEARCH INSTITUTE, INC.」設立に関する記者会見

次の動画ではTRIのビジョンや研究内容、トヨタが静岡県で開発予定の『Woven City(ウーブン・シティ)』について、そして16分30秒頃にロボットが人々の生活をどのように支援するかというショートムービーが流れます。

21分頃からは、まず従来のように床上を移動するロボットを紹介しています。ロボットは掃除などに必要な動作を、VR上で人間が行う動作やシミュレーションから学習しています。

そしてこのロボットがなぜ天井にぶら下がって移動するロボットになったかというと、日本の住宅が狭くて物が多かったことから思いついたのだそうです。26分20秒頃から「将来、ロボットを備え付けられる家を設計できるとしたら」とガントリーロボットのプロトタイプについて紹介しています。

(この動画はVR対応で360度見渡すことができます! 出典:Toyota Research Institute YouTube公式チャンネル

ガントリーロボットは難なくテーブルを拭いたり、人だったら脚立を使わなくてはいけない冷蔵庫上の掃除もできます。ペットボトルを冷蔵庫にしまうのもお手のものです。

 

会社設立時のコメントと同様に、TRIは今回の研究紹介で″人の暮らしを豊かにする″ことについて触れています。この背景には世界的に深刻な高齢化があり、国連によると2050年までに世界で15億人以上が65歳以上になると予測されています。高齢化は社会・労働力・経済に大きな影響を及ぼすことになります。

同社は日本の″生きがい″という考え方に基づいた研究を行い、人間の能力をロボットに置き換えるのではなくAIを用いて人間の能力を増幅し、全ての人に幸せや充実感をもたらすことを目指しています。

 

同社は「社会の高齢化に伴い、介護の増加、より長く自立した生活を可能にするシステム、高齢化が進む労働力への支援に対して大きな需要がある」と述べています。ロボットを用いた自動化により、人々が家族とより多くの時間を過ごしたり、人々の仕事を手伝ったりする上で重要な役割を果たすことができると考えています。

 

そして、現在こうした役割を果たすロボットが少ない理由は、人々が普段暮らしているような″複雑で構造化されていない環境″でロボットを確実に動作させる方法を見つけ出していないからだといいます。

同社はこうした環境を″ロボットが習得すべきもっとも複雑な環境のひとつ″として家庭に焦点を当て、実際の住宅のようにキッチン、ダイニング、バスルーム、リビングスペースがあるロボットの試験施設″モックホーム″を本社に設置し研究を進めています。

(出典:Toyota Research Institute Showcases Latest Robotics Research Aimed at Amplifying Human Ability in the Home

動画にあるように、もともとは従来のロボットのような床上を移動するロボットを想定していました。しかし、バッテリーやコンピュータなどにスペースが必要なため小さな冷蔵庫くらいのサイズになってしまい、それでは動作が制限されてしまうことから今回の形を考案しました。

ぶら下げることでサイズやバッテリーはあまり問題にならず、配線により無限にランタイムを実行できるようになります。さらに、ガントリーロボットが必要ないときは邪魔にならないよう押し込まれるといいます。

 

TRIのガントリーロボットは物を運んだり食器洗いをしたり、料理もすることを目指しています。高齢者向けに調理を担うことや食事を提供することも検討しているようです。

床上は移動しづらいから天井にぶら下げよう、って、言われてみればその手があったか!と思いました。TRIの″生きがい″を重視する考え方もとても素敵です。暮らしに馴染んだり介護に役立つよう、ガントリーロボットにできることが増えていくのを期待しています。

 

(出典:Toyota Research Institute Showcases Latest Robotics Research Aimed at Amplifying Human Ability in the Homeトヨタがコウモリのように天井からぶら下がる家庭用ロボットを発表Toyota’s ceiling-mounted robot is like GLaDOS for your kitchen

 

TRIのロボットは天井に滑車を設置して移動するタイプでした。一方、ワイヤーで吊るして人間の作業を支援するロボットもあります。

静かに・安全に空中を移動するロボットハンド

ファクトリーオートメーションや福祉機器の開発などに取り組むダブル技研株式会社は、ワイヤーを用いて空中を移動するロボットハンド『Flying Carry system』を開発しました。

 

『Flying Carry system』は、スポーツ中継などで活用される空撮ワイヤーシステムと同社の技術を組み合わせたもので、ウインチの巻き取りを細かく調整することで位置を制御できるといいます。また自動制御も可能です。可搬重量は約20キロ、宙に浮くことで床を占有せずに物を運ぶことができます。

 

″飛行して物を運ぶ″というとドローンがありますが、連続運転に限界があったり騒音や風圧が発生するという課題もあります。これに比べて『Flying Carry system』は静音性に優れ、風もなく、長時間稼働でき安全性も確保できるそうです!

 

活用例としてビニールハウス内での種まきから収穫までの作業、物流倉庫や市場での荷役作業、屋外での農作業などを挙げています。静音性・安全性を活かし、将来的には介護での活用も検討しているといいます。

(出典:ダブル技研 YouTube公式チャンネル

ワイヤーで吊るすことで自由自在になめらかに動くことができます。飲み物もこぼさず丁寧にコップに注いでいますね。静かで安全性が高いという点も室内向きと言えそうです。人の重さにも耐えるようになったら、介護現場の人手不足にきっと貢献するでしょう。

 

(出典:フライングキャリーシステム

福祉に活用されるロボットには現在、歩行を助けるパワーアシストロボットや見守りロボットなどがありますね。今回注目したTRIやダブル技研ような″宙に浮かぶロボット″は今後、私たちの暮らしや介護・福祉業界を支えるものとなるかもしれません。

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