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アバターロボットで修学旅行へ 社会インフラを目指す「newme」が実現する瞬間移動

2020.08.31  | 
WRITER:
haruka
 

新型コロナウイルス対策として3密を避けることや、できるだけオンラインで物事を進めていくことなどが求められています。教育現場にもその影響があり、修学旅行が中止となってしまった学校も。生徒たちの学びの機会をサポートすべく、ロボットを用いた実証実験が行われようとしています。

自分の分身″アバターロボット″で修学旅行へ

avatarin株式会社は2020年8月26日、修学旅行に行けなくなってしまった小学生を対象にオンライン修学旅行の実証実験を行うと発表しました。

9月2日に実施される予定で、avatarinが独自開発した普及型コミュニケーションアバター『newme(ニューミー)』を活用し、石川県の加賀市イノベーションセンターからANAグループの総合トレーニングセンター「ANA Blue Base」を見学します。

 

avatarinは「アバターを、すべての人の、新しい能力にすることで、人類のあらゆる可能性を広げていく。」をミッションに、ANAホールディングス初のスタートアップ企業として2020年4月に設立しました。

(出典:ANA Global Channel YouTube公式チャンネル

『newme』は同社がこれまで行った実証実験を元に開発し、高画質・首振り機能・折り畳み式・軽量化・カスタムデザインなど社会への普及に必要な機能を備えています。『newme』に″アバターイン″することで、例えば自宅にいながら遠く離れた場所へ行くこともできるのです。

 

同社が考える″アバター″とは「社会課題解決のために考えた遠隔操作ロボット」で、アバターで誰もが繋がることができる未来のプラットフォーム『avatar-in』により「物理的距離と身体的限界をゼロにする」こと、そして「アバターを社会インフラとして広げていくこと」を目指しています。

パソコンやスマートフォンからアクセスできるアバターインというプラットフォームを通じて、今後続々と登場するアバターたちがあらゆる場所であらゆる役割を果たしてゆく。
コミュニケーション、ビジネス、教育や医療、エンターテインメントなど。たとえば、海外出張先から社内会議に参加したり、自宅にいながら百貨店でのショッピングを楽しんだり、病院のベッドから水族館を見学したり、へき地から役場の行政相談を受けたり、海外から日本のスポーツを観戦したりと、さまざまな可能性が拡がっていきます。自分自身の「分身」が、あらゆる場所で活躍できる社会を実現します。
世界中に設置されたアバターで、宇宙へさえも瞬間移動できる社会は、もうすぐです。

 

(出典:avatarin株式会社:コンセプト

同社は今回の実証実験について「全国的に小中学校における修学旅行が中止となっている中、ポストコロナ社会における新たな修学旅行のあり方として実施するもの」と述べています。

修学旅行を楽しみにしていた生徒もいると思いますが、新たな試みに参加できる貴重な機会となるでしょう。

 

(出典:ANAグループの総合トレーニングセンター「ANA Blue Base」にアバターインして「オンライン修学旅行」の実証実験を実施〜~コロナ禍におけるnewmeを活用した全国初の取り組み~〜Avatar robot

ビジネス教育への活用も

2020年3月、株式会社ビジネス・ブレークスルーが運営する文部科学省認可の100%オンライン大学「ビジネス・ブレークスルー大学」にて、『newme』を導入した世界初の完全オンラインのアバター卒業式を開催されました。

(出典:BBT大学 YouTube公式チャンネル

アバターロボットをPCで遠隔操作し卒業証書を受け取るというこの取り組みは、コロナ禍における新しい式典のあり方として世界5大陸・300メディア以上で広く報じられたといいます。

 

7月には、avatarinとビジネス・ブレークスルー大学が、アバターロボットをビジネス教育に導入する『教育デザイン・ラボ』を設置しました。

第1弾として、リアルで参加する「生身の学生」とアバターで参加する「分身の学生」が一体となりグループワークで討議する公開授業が7月26日に行われました。

(出典:BBT大学 YouTube公式チャンネル

一般的なオンライン会議では実現できない「現場介入」の価値を最大限に引き出すことが可能となり、「メンバーにとっての一体感や信頼関係をつくるチームビルディングに大きく役立ち、結果的に良質な議論を促すというポジティブな効果が検証されました」と述べています。

カメラをオンにしてオンラインで会話する従来の形に比べ、自分の意思で動き回ることもできるアバターロボットは自由度が高く、より活発なコミュニケーションが取れますね。

 

(出典:BBT大学、完全オンラインで「アバター卒業式」を開催! 新型コロナ対応で、式典のあり方にブレークスルーBBT大学がavatarin社と「教育デザイン・ラボ」を設置! 世界初、アバターロボットをビジネス教育に本格導入へBBT大学「アバター授業」の動画を公開!コロナ禍の新しい教育手法をオープンソース化へ

 

このように、テクノロジーを駆使することでさまざまな制約から解放された体験ができるようになります。これは、人間はテクノロジーによって見る・聞く・話すなどのもともと備わっている能力をパワーアップできると言えるのではないでしょうか。

 

家電をスマホで遠隔操作したり、呼びかけて操作できるスマートスピーカなど、モノとインターネットが繋がるIoTは″普段の生活を便利にする″ことができました。

そしてIoTの次に私たちが手にするのは、便利だけで終わらない″人の能力を拡張する″ことができる「Human Augmentation」や「IoA」と考えられています。

テクノロジーで″能力を拡張″

Human Augmentation(ヒューマンオーグメンテーション/人間拡張)」とは、「人間と一体化して、人間の能力を拡張させるテクノロジーを開拓していく」ことを指します。

 

東京大学大学院情報学環教授および株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)の副所長を務める暦本純一氏が提唱するコンセプトであり、拡張する能力の範囲は「知覚能力・認知能力・身体能力・存在感や身体システム(健康)」と多岐にわたります。

(出典:Sony YouTube公式チャンネル

IoA/Internet of Abilities(能力のインターネット)」も暦本氏が第一人者として研究する分野で、「人間の能力の拡張を目的に、人やロボットが時間や空間の制約を超えて各々の能力を活用しあえるネットワーク環境」を指します。

IoAの用途には、
【体験の拡張】他人の体験を自らのものにする
【存在の拡張】代理のロボットなどを介して遠隔地を訪れる
【能力の拡張】各々の専門性を生かして共同作業する
などが考えられます。

 

「Human Augmentation」という学問について、研究開発・社会実装を推進しIoAの社会基盤を具現化することを目的とした「ヒューマンオーグメンテーション社会連携講座」が、2020年8月から3年間東京大学大学院情報学環に設置されます。ソニー株式会社、凸版印刷株式会社、京セラ株式会社、株式会社ティアフォー、東京大学が連携して行います。

なお、この講座はソニーと東京大学が2017年から2020年に実施した大学院情報学環「ヒューマンオーグメンテーション学寄付講座(ソニー寄付講座)」の活動を発展させたものです。

視線を認識するウェアラブルコンピュータや、ドローンやロボットによる体外離脱視点を用いたトレーニング支援、人間の体験をウェアラブルセンサーやネットワークにより他の人間と共有・接続する人間=人間接続型テレプレゼンス※などの研究を行ってきました。ヒューマンオーグメンテーションはまた、人間とテクノロジー・AIが一体化し、時間や空間の制約を超えて相互に能力を強化しあう、IoAという未来社会基盤の構築を視野に入れた、最先端の研究を体系化していく学問領域となります。

 

※人間接続型テレプレゼンス(テレプレゼンス・ロボット):遠隔地にあるロボットの視覚情報、センサー情報等を受けて、リアルタイムにロボットを操縦、制御することにより、遠隔地にいながら、その場にいるような臨場体験を持つことができるロボット技術。

 

(出典:ソニー、凸版印刷、京セラ、ティアフォーと東京大学「ヒューマンオーグメンテーション社会連携講座」を開始

新たに設置した講座では、前身となった講座で醸成されたヒューマンオーグメンテーション学のさらなる浸透を図るとともに、複数の企業や機関の参画による多様な領域からの人材で構成する産学連携推進体制の構築により産産連携、産学官連携を推進し、スピード感と安定感を両立した社会実装および学発ビジネスの具現化を目指すといいます。

 

(出典:ソニー、凸版印刷、京セラ、ティアフォーと東京大学「ヒューマンオーグメンテーション社会連携講座」を開始

 

″人間拡張″と聞くと肉体そのものが変化し能力を得るようなイメージを持つかもしれません。しかしそんなことはなく、すでに身近にあるテクノロジーなのです。

『newme』のように分身となるアバターロボットで遠くへ瞬間移動できたり、VRでライブ観戦やバーチャル空間へ行ったり、以前紹介した遠隔操作のできるロボット『Model-T』や『OriHime』も、″人間の能力を拡張する″と言えますね。

今後ますます発展し、だれもがヒューマンオーグメンテーションできるほど普及し人間の可能性を広げていくことを期待しています。

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