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マグロの質をAIが目利き!職人技を継承する「TUNA SCOPE」

2020.07.08  | 
WRITER:
haruka
 

お寿司のネタの代表といえばマグロ。お寿司屋さんはもちろんスーパーや飲食店などが仕入れる時、美味しいマグロを見極めてくれるのは仲買人です。仲買人は長年の経験から食材を見極めていますが、「どうしてこれが良いのか」は言葉では表現しにくいもの。

 

そんな言語化しにくい「鮮度」や「美味しさ」といった目利きをAIに継承したシステムが登場しました。しかも、そのAIが美味しいと判定したお寿司があのお店で食べられるというのです!

美味しいマグロを見極める『TUNA SCOPE』

電通と電通国際情報サービス(ISID)が開発した『TUNA SCOPE』は、マグロの尾の断面をカメラで撮影することで、熟練した仲買人の目利きを再現します。

 

なんでも、マグロの尾の断面には味・触感・鮮度・脂のノリまでわかる情報が詰まっているんだとか!日本の職人たちは尾の断面を見て品質を判定しているといいます。これは職人の″勘″によるもので、そう簡単に習得することはできません。そんな言語化しにくい技術を実現したのがこのシステムです。

(出典:無添くら寿司 公式YouTube|TUNA SCOPE

目利きの技術を身に着けるには最低でも10年の修行が必要だそう。しかし目利きできる職人は年々減っており、このままでは日本の職人がもつ貴重な技がなくなってしまうかもしれないのです。さらに、仲買人によって目利きにばらつきがあるといい、後継者を育てるにもマニュアル化しづらいものでした。

 

これからも美味しいマグロが食べられるように、そして目利きの技術を保存するために開発に取り掛かりました。そして『TUNA SCOPE』は、4,000を超える尾の断面画像と職人の品質判定データをもとに学習させ、目利きの技術を継承させることに成功しました!

10年かかる目利きを1ヶ月で実現

目利きの技術をAIに学習させるには、データ=まぐろの尾の断面を集めることが必要です。開発ではこれに苦労したといい、マグロビジネスを展開する双日株式会社の協力のもと断面の画像データを集めました。

双日さんの協力を得たことで、4,000点ものキハダマグロのサンプルデータを集めることができました。そのサンプルの断面をスマートフォンのカメラでひたすら撮影し、職人の判定結果と照合。それらをセットにして、AIに読み込ませます。そしてたった1カ月で、職人が1日1体のマグロを見ると換算すると10年以上の修業に相当する量を学習させることに成功しました。

 

開発したAIをスマートフォンに実装し検証した結果、その道35年の職人による判定結果と比較して、約85%の一致率という精度を実現したのです。直近では、熟練の職人が高品質と判定したマグロを、90%を超える確率で「美味しい」と言い当てるまでになりました。

 

(出典:電通報|開発「TUNA SCOPE」〜匠の目利きをAIに託す〜

たった1ヶ月でこれだけの高精度を実現!すごいですね。2019年3月に回転すし店でAIマグロを5日間提供したところ、お客様から高評価を得ることができました。

 

『TUNA SCOPE』は美味しいマグロを判定するだけでなく、仕入れの効率化にもつながります。新型コロナウイルスの影響が続く中、これまでのように海外へ行って仕入れることは難しいのが現状です。こうした状況下でも、同システムをインストールしたスマホさえあればわざわざ海外へ行くことなく、だれでもその場で良いマグロを判定し仕入れることが可能になるのです。

 

日本の職人の目利きを世界中で活用できるようになるのは素晴らしいことですね!

(出典:電通報|開発「TUNA SCOPE」〜匠の目利きをAIに託す〜マグロ品質判定AI「TUNA SCOPE」を活用した輸出事業が水産庁補助事業に採択

「くら寿司」でAIが選んだマグロを食べられる!

大手回転すしチェーン・くら寿司は、2020年7月10日から期間限定で『TUNA SCOPE』で判定したマグロを提供します。その名も「極み熟成AIまぐろ」。

 

くら寿司は業界に先駆けて同システムを導入し、新型コロナウイルスの影響で海外へ行けない中でも質の良いマグロを仕入れました。今回、マグロの品質を「A(最上級)」「B(上級)」「M(それ以外の並品)」という3ランクの判定を実施しており、その中からAランクのマグロを選んで提供します。

 

(出典:くら寿司株式会社|「TUNA SCOPETM」による高品質なまぐろの仕入れを実現!「極み熟成AIまぐろ」7/10(金)より発売開始

 

『TUNA SCOPE』はマグロに特化したシステムですが、例えばサーモンやブリやアジなど他の魚にも応用できたら便利ですよね。一般向けにも品質を測るアプリがリリースされれば、今までより簡単にスーパーで美味しい食材を選べそうです。サクや切り身になった魚も判定できたらいいのになー!と期待しています。

 

『TUNA SCOPE』公式サイトはこちら

人の判断から「AIの判断」へ

『TUNA SCOPE』のように、人に代わってAIが品質管理を行うことが増えています。

 

マヨネーズでおなじみのキユーピーは、2016年にAIを活用した原料検査装置の開発に着手しています。原料検査装置はディープラーニングによる画像解析を行っており、「良品」を学習させることでそれ以外の全てを「不良」と検出できるようにしました。この装置は2018年8月にはベビーフードに使用する野菜の検査で本格導入を行い、2019年1月には惣菜工場での運用・検証を始めています。

 

この取り組みは「IT Japan Award 2019」で準グランプリを受賞、さらに2020年2月に表彰式が行われた「第2回日本オープンイノベーション大賞」では農林水産大臣賞を受賞しました。

 

(出典:キユーピー株式会社|AIを活用した原料検査装置をグループに展開AIを活用した原料検査装置の取り組みが 「IT Japan Award 2019」の準グランプリを受賞第2回日本オープンイノベーション大賞 AIを活用した原料検査装置が農林水産大臣賞を受賞

 

また、アメリカの大手スーパー・ウォルマートは、生鮮食品の鮮度を測定するシステム『Eden』を導入しています。同システムはセンサーと画像認識で鮮度を確認できたり、食べごろの食材を店頭に並べることもできます。さらに食品の廃棄削減にも役立っており、同システムを発表した2018年3月時点では8,600万ドル分の廃棄を削減しています。

 

(出典:Eden: The Tech That’s Bringing Fresher Groceries to You約90億7000万円相当の食料廃棄量を削減!野菜や果物の鮮度を自動測定できるシステム「Eden」

AIによる品質管理というと車など製造業が思い浮かびますが、私たちの生活に直結する「食」もAIが支えてくれているのですね。安全と美味しさを両立する″AIによる目利き″は一般的になっていくかもしれません。

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